16.テーマの力(1)


 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

知的障害・発達障害 個性と可能性を伸ばす

* 楽しいからのパートナー
* 新しく知るからのパートナー
* ちょっと簡単からのパートナー  

16.テーマの力(1)

 造形リトミック研究所には、月ごとのテーマ(≒モチーフ)があります。

 テーマにはそれ自身に大きな魅力があります。種類、色、形、味、音、存在感、名前、部品、部位、機能、、歴史や開発者の思い、研究の蓄積、自然の恵み、雄大さ、智恵・・・・・、ほんとうにさまざまな要素を個別にもっています。
そのひとつひとつの魅力が大きな魅力を創り上げています。

 それぞれのテーマに対して、一人一人はそれぞれに興味や経験をもっています。
自分がもっとも魅かれるテーマに出会えることはとても幸いです。それを自らの生涯のテーマとして楽しみ、追求していくことができれば、どんなに豊かな人生となるでしょう。

 造形リトミック研究所の今月のテーマは「鉄道」です。

・電車の顔
・快速電車
・都営副都心線
・特急電車
・新幹線500系「のぞみ」
・蒸気機関車
・・・・・・

「鉄道」といってもこのように複数の対象を用意しているのは、一人一人の生徒さんにとって最も心の動く対象を講師が選べるようにとの思いからです。造形リトミック研究所が当初から貫いてきている個別教育ならではの計らいです。

 画一的な教材でのマニュアルどおりの指導は、私たちの思いとは異なるところにあります。それはある意味、提供する側にとっては楽で効率が良いでしょう。しかし、ひとりひとりの個性や可能性をほんとうに伸ばす教育は実現しにくいと思われます。

 「創造性を伸ばす」「個性を伸ばす」、ひと言で言うことはたやすいのですが、実現するには大変に手間隙がかかります。一人一人の生徒さんとの対話(言語を介さない対話の場合もあります)、親御さんとの対話が、まずそのきっかけ(糸口)
を作ります。そこから、研究所と講師とが周到な用意をしてテーマと学習対象を提供します。

 「特別扱い」、どちらかと言うとマイナスの意味合いで用いられる言葉ですが、一人一人の育ったプロセスや好みは異なるのですから、私たちはより積極的な意味で一人一人の生徒さんを「特別扱い」していきたいと考えています。

 「特別扱い」=「オーダーメード」です。一人一人、正にその子(その人)の心が動くものを提供していくのです。子ども・・・大人もそうですが、よほどの必要性に迫られない限り、自ら取り組もうと思うのは自らの「心が動くもの」です。

 教育は、心を動かすことから始まるといっても過言ではないでしょう。そしてテーマには、「心を動かす力」があるのです。提供する側の私たちもテーマから力をもらって、楽しみながら十分手間隙をかけて、生徒さんのテーマとの出会いの場を創っていきたいと考えています。

 造形リトミック教育研究所

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15.すばらしい引き立て役 4(テクノロジー)


 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

知的障害・発達障害 個性と可能性を伸ばす

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15.すばらしい引き立て役 4(テクノロジー)

 この力はもうだれもが認めるところです。

 毎日の生活、この力を利用しないでは現代の生活が成り立ちません。携帯電話、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、インターネット、ナビゲーター、ATM、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ。また、今や乗り物はすべてこのシステムが入っています。自動車、電車、飛行機、船。ご存じのようにディズニーランドもコンピューターがいろいろな乗り物を制御しています。これらすべてのものは、問題解決として発明されました。

[毎日のテクノロジー]

・グローバルで幅広い世界(映画、テレビ、インターネット)
・物理的な便利さ(乗り物、家電、電話、インターネット)
・迫力ある演出(遊園地)
・わかり易い表現(テレビ、インターネット、CG)
・驚きの楽しさ(映画、テレビ)
・実物を記録する(文字、絵、写真、動画)
・情報収集
・快適な生活
・安心、安全の支援

上手に活用すれば同じことを楽しく元気よくできます。

 言葉や文字は大きな発明です。図や絵も記録という大きな役割を果たしてきました。白黒写真、カラー写真、録音という技術。レコード、カセット、ラジオから、テレビ。静止画から動画にと、その表現力もどんどん向上しています。コンピューターグラフィックによる新しい表現も増えてます。感性やイメージが豊かに表現できるようになってきました。今までできなかった表現が可能になりました。

 造形リトミック研究所では、中でもタッチパネルを中心にしたシステムが活躍中です。キーボードやマウスと比べると、受け入れられる生徒さんの幅がぐっと広がります。指一本で一人一人の生徒さんがパソコンでの学習に楽しく取り組めます。タッチでリズミカルに、わかりやすく。

 文字の発明から現代のハイテクにいたるまで、発明の歴史は人類の思いの集積・集約です。その恩恵を教室に取り入れ、どの生徒さんにも役立つようにクリエイティブにアレンジしていくのが私の仕事であり楽しみです。がんばってます!

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14.すばらしい引き立て役 3(身体表現)

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14. すばらしい引き立て役 3(身体表現)

 第3回は身体表現です。動物(ゴリラなど)の威嚇行動や昆虫(蜂)のダンス、鳥の求愛行動なども身体表現です。

 人類においてもはるか遠く原始時代から、感情の表現やシャーマンの祈祷などに身体表現が見られます。雨乞い、収穫の祈り、戦勝祈願、勝ち鬨など儀式的なことや形式的なこと、共同的なことには、多くの場合に身体表現が伴われています。

 また現代においても、オーケストラの指揮、応援団長の振り、野球のサイン、車の誘導、交通整理、商業的なコミュニケーション手段・・・・・。精神性や感情、情景の表現として、意志の統率として、言葉の代替としてまた言葉や意味づけのより効果的かつ微妙な表現として、身体表現は実に多種多様に用いられています。 

 意図された身体表現としては、次のようなものがありますね。

・ダンスや舞踊など広い意味での踊り
・手話やジェスチャー
・リトミック
・ミュージカルや劇や映画など
・表情(笑顔、その逆のにらみつけ・・・)
・スポーツ(新体操、スケート、シンクロナイズドスイミング)や武道
・体操やヨガ
・数を数えること
・指差し

 これらとは別に、自然発生的にアドリブとして発現するものは、数え上げれば切がありません。私自身、車の誘導での「オーライ、オーライ」「ストップ」とか、、「ご飯にしましょう」と言うとき、自然に手が動きます(招くしぐさ、制止するしぐさ、箸を持つしぐさ)。

 言葉(気持ちや感情、意思や意図)は自然に「身体表現=動き」を伴います。また同時に「身体表現=動き」は言葉を引き出します。

 造形リトミックのサブメソッドである「リズム造形」・「歌唱造形」は、まさにこの動きと言葉の同調的関係を教育方法に取り込んだものです。このような意味合いでの言語に対して、私どもはそれを「造形言語」と銘打っています。

「リズム造形」「歌唱造形」「造形言語」いずれの用語も、造形リトミック・メソードの理論と方法論を語るために私どもが造り出した造語です。

 造形リトミックが認知教育や描画機能教育であると同時に言語教育でもありうる所以は、ここにあるのです。

造形リトミック教育研究所
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13.すばらしい引き立て役  2 (歌)

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13.すばらしい引き立て役 2(歌)

 第2回は歌です。歌の力もだれもが認めるところ、長い歴史を持っております。

 音楽に言葉が加わることで、記憶の効果が高まります。

・紙面で伝えることのできなかった時代は、歌が記録と伝達としての大きな役割を果たしていました。

・メロディーから言葉を思い起こし、また逆に言葉からはメロディーを思い起こすことができます。

・言葉による意味の流れ(ストーリー)をメロディに乗って理解することができます。つまりメロディは言葉をチェーンのようにつないでくれるので、初めから終わりまで意味を順に理解していくことがよりたやすくなるのです。

・コミュニケーションとしての使い方もあります。赤ちゃんに話しかける母親語は歌に近いものです。大人でも感情が大きく動いているときの発語はイントネーションの幅が広がり、語気の強弱も生じて歌に近いものとなります。

・それを劇として造りあげたのが、ミュージカルでありオペラです。

・仕事や作業を楽しくリズミカルにするような使われ方もあります。「田植え歌」のような仕事歌がそうです。仕事歌は、協働性(共働性)も生みます。

 造形リトミック研究所では、歌に乗って絵をかく、歌に乗って言葉を学習する、歌に乗って算数を学ぶ、歌に乗って生活力をつける、歌に乗って作業手順を覚える・・・・・など、歌が大活躍です。

造形リトミック教育研究所

12.すばらしい引き立て役 1 (音楽)

おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

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12.すばらしい引き立て役 1(音楽)

 昨日の昆虫と同じくらい私が好きなものは、音楽です。父が作曲家であったからでしょうか。幼い時から家の中にはたくさんのレコードがあって、こっそり聞いていました。クラシック音楽「運命」「田園」・・・から、映画音楽「野生のエルザ」「第三の男」「007」・・・、ラテン音楽にいたるまでのさまざまな音楽。

 父親がピアノに向って夜中まで曲を作っていたことも鮮明に覚えています。パソコンが世に出てからは、コンピューターを使ってにこにこ楽しそうに作曲していました。曲ができると、なぜか父はいつも踊っていました。頭の中では、出来立ての曲が鳴っているのでしょうか。

 今ではいつの間にか、私も曲を作るようになっています。そして父と同じように楽しんでいます。何かを表現できることは、上手い下手にかかわらずとても楽しいことです。私もいつの間にか踊っています。

 さて今日からは、何かをするときに「すばらしい引き立て役になるもの」について考えてみたいと思います。第1回は、私も大好きな音楽です。

 音楽の力はもう誰もが認めるところです。一歩街に出るとヘッドホンをした若者から中高年や高齢の方に至るまで、多くの方が毎日またいろんなところで音楽に触れています。

 音楽には、いろいろな力があります。

・同じことを楽しくする力
・雰囲気をつくる力
・言葉のイメージや映像の印象を膨らませる力
・動きや作業にリズムをつける力
・やる気を出させる力
・作業を継続させる力
・作業に集中させる力
・即効的に気持ちを切り替える力
・特別な記憶をする力
・緊張をほぐす力
・疲労を軽くする力
・マイナスの思いを消す力
・・・・・

 私は、時々室内プールに行きます。プールのコースでは、かなり高齢の方たちや少々太目の方たちがアクアビクスを楽しんでいます。アクアビクスとは、エアロビクスの水中版です。本当にたくさんの方たちが参加されていることには、びっくりです。

 曲は、ビートの聴いたハイテンポの曲です。とてもハードな動きですが、若いコーチにリードされて、約30分間水中で苦にすることなく楽しそうに動き続けています。しかも皆さんの動きは、音楽のリズムにぴったりです。

 アクアビクスには、ここにあげた音楽の力のほとんどが有効に生かされています。

 面白いことに、この横で泳いでいる周りの人たちも皆いつもよりテンポが上がってきます。音楽の力を知らぬ間に享受しているのです。私もそのひとりです。

 造形リトミック研究所では、このようなすばらしい音楽の力を学習に活用し、音楽のあふれる教室であることを心がけています。

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11.自分はどう育てられたか?


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11.ちょっと 一息 (自分はどう育てられたか?)
 
 初代所長すなわち父がよく言っていたことが、「逆を考える」です。

 療育において子育て考えるとき、逆に自分はどう育てられたかを振り返ってみましょう。

 私の父は中国の大連育ちで、比較的裕福な家庭の一人っ子でした。非常に甘やかされて育ったそうです。箸の使い方も下手で、ただ好きなことを一生懸命やるように祖父に言われて育ったようです。従って、私も同じように育てられました。父に叱られたり、怒られたりはほとんどなく、片手に収まってしまいます。

 私が子どもの時に特に好きだったのは、昆虫です。とにかく虫が好きで、蝶もたくさん採りました。ただ普通とちょっと違う点は、採った後に昆虫の展翅をすることです。子どもでも、大人のコレクターがするのと同じように父から指導を受けました。

 40年以上前ですが、渋谷にある志賀昆虫店にいくことが楽しみでした。そこには、本格的な方が使う3段4段の虫とり網や世界の蝶などがあったように思います。このときに大人が使う、本物にふれるチャンスがありました。

 昆虫については、こんなこともありました。友達からアフリカの蝶(マダラチョウ)をもらったこともあります。彼はお父さんの仕事でアフリカに行っていたのです。そのお礼に、私はブラジルの蝶を彼にあげました。私も父の仕事の関係で、ブラジルに行っていたことがあるのです。

 標本を見るのもとても楽しみでした。その時の父の解説がとても印象深く、今も言葉として耳に残っています。
nan
・「昆虫はすごいなあ。空も飛べるし、木にも止まれる。水の中でも水の上でも、 いろんなところで生活できる」

・「昆虫の形には意味がある。必ず左右対称だ」

・「蝶の飛び方と翅には関係がある。その構造には自然の美がある」
nan
 父の説明を繰り返し聞いていたので、私も昆虫を見るとそのように感じるようなりました。

 また近所の昆虫好きの大学生(当時)もよく父と昆虫の話に熱中していました。父と図鑑を見ながら、「この蝶はこれかな?」「こっちじゃないですか?」など会話が弾み、毎日のように行き来がありました。

 その大学生の部屋に行くと、ベッドの下の引き出しに標本箱がごっそり入っていて、自分の持っていない昆虫があるととてもうらやましかったのを覚えています。一番ほしいと思ったのが、「ギフチョウ」でした。その大学生は、後に生物学者になりました。

 「子どもだから・・・」という発想は父にはなく、小さいときから本物に触れさせてくれました。採集道具や標本、図鑑(分厚くて、詳しくて学者が見るような)、本当に好きな人の思い、考え方にじかに触れてきました。ここで、探求していく面白さを知りました。

「好き」なものから広がっていく世界には、非常に魅力があります。楽しみや元気、力を与えてくれます。またそれは、ものの見方や考え方をまなぶ場でもあり、忍耐力や根気、逆に達成感や満足感を楽しみながら養ってくれる場でもあります。

 造形リトミック研究所は、「好きなもの」を、絵描き歌という「簡単な手法」で、「楽しみながら」描くことを通して、見る力を育てることを目指しています。最終的には、ひとりひとりが好きな世界をもち、その世界が広がっていくことを願っています。
nan
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10.「ケースに学ぶ 1」(後編)

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10.「ケースに学ぶ1」(後編)

「電車の顔を描きたい!」(NHKテレビ「きらっといきる」)のタイトルで、本岡秀則さんが紹介されていました。本岡さんは自閉症とのことです。

 彼の「電車の顔」の作品は、アール・ブリュットとして評価されているとのことでした。VTRを見ると、実に楽しそうに紙一面に何百という「電車の顔」をきれいに並べて描いていかれます。その大きさは、縦3cm、横1cm。週5日のホテルでの皿洗いの仕事も楽しそうにこなし、余暇や休日は電車の取材旅行や描画を楽しんでいらっしゃるようです。

 だれもが、本岡さんのようにすばらしい楽しみや生きがいを持てるといいですね。本岡さんは、どちらかと言うと自然発生的に絵を描くことを身につけられたケースかもしれません。でも、そうでなくても学習によってそんな楽しみを造り上げていくことができます。

 造形リトミック研究所では、だれもが楽しく簡単にちょっとから始められることを目標としています。

・まず自分の好きな課題やテーマからはじめましょう

・描き方が楽しく簡単に身につけば、描く楽しみとテーマについて知る楽しみが広がります

・好きで楽しい趣味の世界があると、余暇の時間を活用してその世界がどんどん広がります。

・楽しい生涯学習を造り出すことが大きな目標です

 研究所では、数百種類の新しい絵かき歌を二代にわたり創作し続けています。
だから、いろいろなテーマの中から、好きなテーマを選ぶことができます。

一人でも多くの方が、楽しく生き生きと生きていくことのお役に立てることを願っています。

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9.「ケースに学ぶ 1」(前編)

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9.「ケースに学ぶ1」(前編)

 先日テレビで、「電車の顔」を描く本岡秀則さんを拝見しました(9月5日 ch:3)。本岡さんは、自閉症とのことです。

 驚いたことに、たまたま教室の今月のテーマが「電車シリーズ」。その中のひとつが絵描き歌「電車の顔」です。テレビ番組表に「電車の顔を描きたい!」のタイトルを見つけ、大変楽しみにまた興味深く見ました。

:番組で印象に残ったこと:

・本岡さんは表情がとてもにこやかで、本当に楽しんで描かれていますね。

・仕事と趣味のバランスが取れていて、多くの親御さんの希望になるのでは。

・本岡さんの仕事はホテルでの食器洗いで、扱う食器は50種類以上。「仕事大変ですね」の問いに「大丈夫、大丈夫よ」と笑顔で答え、職場では信頼される存在とのこと。

 彼にとってこの仕事に無理がないという点が、彼の生活すべての基盤になっているように思いました。毎日同じ食器を重ねて、同じ場所にきちっとしまう。この繰り返しが、彼にとって安心感と達成感につながっているのでしょう。

・余暇の時間が、好きなことで充実しています。そしてその趣味が、生きた社会の勉強になっているようす。観光地にも興味が出てきて、お土産屋さんを覗くようにもなったとのことです。

・電車の種類は万の単位?ここもポイントですが、彼が選ぶ電車の取材旅行のコースはバラエティに富んでいます。いつも同じでは、飽きることもあるでしょう。

・本岡さんは、生涯学習のお手本ですね。家内とつねづね話していますが、人生は社会に出てからが長い。好きなことや楽しめることがあって、それが広がり続けられれば最高の生涯学習ですよね。楽しく、張りのある人生となります。

・「アール・ブリュット」(正規の美術教育を受けていない人の芸術作品)として、本岡さんの独自の表現方法と並外れた緻密さに関心が持たれ、評価されているとのことでした。

 とても、楽しく参考になりました。

 本岡さんは、幼少期よりどのように育たれたのでしょう。親御さんをはじめ、ご家庭でのかかわりは?学校での先生や友達とのかかわりは?学校や就職などの進路、これまでのいろいろな出来事や選択の場での親御さんの基本的なお考えは?

 番組の中での、家族3人でりんごを剥きながらくつろがれる様子、取材旅行に出かける本岡さんを玄関で送る親御さんの様子からは、とても穏やかなものを感じました。(後編は明日に)

造形リトミック教育研究所

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8.学習 : 楽しく・やさしく・確実に

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8.学習:同じ内容を楽しく、やさしく、確実に学習する

Q:同じ内容をどうしたら楽しく、やさしく、確実に学習できるでしょう?
 
 これが一番良いという方法はなかなかありません。○か×かではなく、良いと思われる方法を試しながら進めてみましょう。私は△がとっても好きです。△からいかに○にもっていくかです。ここに面白さが出てきます。

 楽しみながらうまくいったらそのまま先に進む、もしうまくいかなかったら違う方法でトライする。これが造形リトミック研究所の初代からの基本姿勢です。「療育に行き詰ったときは、自らの指導法を省みてみる」、私も若い日に学んだ言葉です。

 生徒さん自身の認知の仕方や段階には、個人差があります。そのため、ある生徒さんには効果的であっても、ある生徒さんには不向きな指導法である場合もあります。 

 ですから造形リトミック研究所では、インストラクションがとても大切であると考えています。インストラクションとは、「講師による生徒さんの状況に応じた指導」です。

 たとえば「1桁の足し算」のソフトには次のような工夫を盛り込んでみました。

 1.足し算(1桁)のすべての問題が選べるように問題を設定する

 2.簡単に指一本で操作が出来るタッチパネルを利用
   *まだ落ち着いて対応できないお子さんの場合は、タッチ機能を停止することができます。
 
 3.学習段階に合わせて、課題への取り組み方のコースを選ぶことができる

   1)意味を理解させる(概念形成)ためにアニメで数のタイルの動きを提示する:つまり生徒さんは見て学ぶ

   2)指でポインティングすると数のタイルが動く:触れるというアクションによって学ぶ。課題への抵抗が小さくなり、「やってみようかな」と思いはじめた段階の生徒さんに有効。

   3)タッチパネル上で、数のタイルを指で動かす。:2)より積極的、能動的に学ぶ。数のタイルの動きを理解しはじめた生徒さんに有効。

   4)次は・・・・・というように 細かいコンテンツを用意していく。

 どの問題を選ぶか、その問題からどの問題へと発展させるか、つまずいたらどこに戻ったら良いか?どの段階の学習方法を選択するか?これらを的確に瞬時に判断して学習を楽しく無理なく進めていくのが、インストラクションの働きです。

 生徒さんをできそうな気持ちにさせる、面白そうだからく触ってみようかな、タイルの動きの予想がついてきた、今度はこうなるのかな?なんだかわかってきた、わかるから面白い、面白いからもっとやる・・・
 
「楽しい」「面白い」は、趣味やあそびに限ったことではありません。教科の学習においても十分楽しめ、面白さを感じることができます。こうなったら逆に、教科の学習もいわば「あそび」です。

 「楽しい」「面白い」、教室からこんな声がもっともっと聞こえてくるように、所長としては毎日研究しているところです。

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7.楽しんでいる人に聞く!

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7. 楽しいから~その3 「楽しんでいる人に聞く!」

Q:知りたいことがわからないときどうしますか?  

 昨日、高校時代の友達が仕事の合間をぬって来てくれました。お互いに知りたいことがあったのです。彼はマッキントッシュ(MAC))のことを、私は鉄道のことを知りたかったのです。私はマッキントッシュ(MAC)が大好きで、楽しく長く使っています。友達は鉄道が大好きで、かなり深く広く楽しんで人生を豊かにしているようです。

 先日、高校時代のプチ同窓会がありました。その時、彼のお父さんのパソコン(MAC)が故障して困っているということを知りました。お父さんのMACは96年ごろの機種で、私はその前後の機種にはちょっと詳しいほうです。 私は私で、彼に教えてもらいたいことがあったのです。今月のテーマの「電車シリーズ」の内容に間違いがないか?また、曲のイメージや絵の仕上がりはどうか?彼に意見をもらいたいと思っていました。なにしろ彼は高校時代からの鉄道マニアですから。

 プチ同窓会の後、何回かメールのやりとりをして私の家で会う日程が決まりました。

 私は事前に、現役引退の空いているMACを準備しました。そして当日、実際にパソコンをオープンして彼に説明しました。彼のお父さんのところで役に立つと良いなと思います。

さて、今度は彼にいろいろ尋ねてみました。サプライズです!彼が本当に鉄道に詳しく、鉄道を楽しんでいることが伝わってきました。絵かき歌の曲を聞かせると、それに対応する絵を数枚の中から見つけ出します。
「うーん、副都心線、新宿三丁目の感じだね」
「蒸気機関車、雰囲気出てるな」

 絵や用語の訂正箇所も的確にわかりやすく教えてくれました。

「電気機関車の上に載っているのはクーラーでなくてふたなんだよ」
「蒸気機関車のC、Dは動輪の数をさしている。CはABCつまり123と同じで動輪が3つある機種、Dは動輪が4つのタイプ」
「新幹線は500系がたぶんお子さんには人気が高いと思うけど、西がメインなので、多く見かけるのは700系だろうね」
「この辺で蒸気機関車に乗るなら秩父鉄道と・・・・・」
「電気機関車の曲、もっと重い感じ。重量感がほしいね!この電車は、一台で貨物を何台も引っ張るからね!」

 次から次に適切に出てくるコメントを、家内ともども驚きと尊敬をもって聞いていました。

「蒸気機関車に乗っていると、自分より年配の人たちがこちらに向かって、懐かしそうに、うれしそうに手を振ってくれる。そんなのを見ると、こみあげてくるものがあるよ」

・・・やはり好きな人の話は、知識の量や質だけでなく、思いが伝わってきます。蒸気機関車に乗ったことのない私たちにも情景が広がり、その時の友達の気持ちが浸透してくるようでした。聞いていて本当に楽しいし、力があるなと思いました。

知的障害や発達障害を持つ生徒さんにも、こういう本当に好きなことを心から楽しんでいる人の話に触れる機会を作っていきたい。その楽しさと魅力によって、生徒さんたちの人とのコミュニケーションもうまく広がるのではないかと思えた一日でした。感謝の気持ちがおのずとわいてきました。

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