46.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:意識の態勢

46.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:意識の態勢

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
  造形リトミック教育研究所  

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  

 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 学習態勢、体の態勢が整えられたら今度は意識の態勢です。机の上の学習の課題に、意識を向けさせるためにはどうしたらよいでしょう。

 まずは、机の上に目を引く課題、気を引く課題を広げておきます。こちらから何も言わなくても、子どもが「何だろう?」と思うような教材をです。

 造形リトミックの教室では絵を描くことを基礎教育として行っていますから、絵画から学習に導入することがよくあります。一人ひとりの子どもの好きな絵をパステルカラーで描いたものをトレース用教材として広げておきます。

 その絵は、果物だったり、かわいい動物だったり、大好きな乗り物だったり・・・。課題にするものの写真を画用紙の片隅に貼っておくことも、効果的です。

 学習を絵画(リズム造形・歌唱造形)から始めることの理由はそれだけではありません。音楽に乗って、歌いながら描くことは、気持ちや体に「整ったリズム」を生じさせます。またメロディを感じることによって、気持ちや意識が活性化されます。

 その上、歌うことや描くことを通して、微細な動きを引き出し活発化させます。言ってみれば、学習をはじめるに当たってのウォーミングアップです。そこから学習への意識が集中していきます。毎回の学習のはじめも、「楽しい」から、「簡単」からのスタートです。

 学習がスタートしたら、生徒さんの様子を見ながら指導に変化をつけていきます。課題を深めたり、少しやさしくしたり、具体物やパソコンを使ったり、書く(描く)ことを続けたら、話すこと(発声)に変えたり。

 生徒さんの無理のない集中時間を知って、課題を転換していくことも大切です。

 幼児や小学校低学年頃までは、学習の態勢作りが目標の半分を占めることが少なくありません。そこであせらずあわてず、いらいらせずに、上記のような工夫をして学習態勢を育てていけば、その後の学習はとても楽になり楽しいものとなります。

 教師の多くの生徒さんは、ブースに入り何も置いてない机に向かって講師とのご挨から学習を始めることができます。走って教室に来てくれたり、学校を休んでも教室に来てくれることは嬉しいことです。

 このようにすれば、1ヶ月(4回の授業)も経てば幼児でも40~50分の授業に取り組めるようになります。

 ご家庭では、はじめはもっと短い時間で構いません。5分・10分・・・からはじめましょう。プリント1枚・2枚・・・からでもいいのです。

 教室から、宿題も出しますが、「叱らないでやってきてくださいね」「子どもさんが、宿題中にふらっといなくなったら、そこまででいいですよ!」「お母さんが叱りたくなったら、そこで宿題ストップ!でいいですよ」と言葉を変えその点、繰り返し念を押しています。

 この約束を守ってくれたご家庭のお子さんは、本当に喜んで学習に取り組んでいます。楽しいから宿題もがんばれる、だからお母さんも叱る必要がない・・・というプラスの循環が生まれます。

 学習意識の態勢を育てる、はじめはこちらの工夫と辛抱が必要ですね。

 造形リトミック教育研究所

45.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:学習態勢を作る

45.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:学習態勢を作る

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 学習、「わかる」ためにはその妨げになっている要素を書き出してひとつずつクリアしていきましょう。

 いつ?どこで?どのくらい?という、学習の体制作りについて昨日は考えました。今日は、学習に取り組む本人の態勢の問題です。学習態勢。

 机に向かっていても気持ちは他所に、ということがあります。気持ちを学習に向けさせるためには、まず形(姿勢)から入っていきましょう。といっても、「背中を伸ばしなさい!」と叱り付けるのではありません。

 椅子はきちんと引けているでしょうか。椅子の高さは調整されているでしょうか。その上で、「背中を伸ばしましょう」と促します。「背中を伸ばす」「良い姿勢をとる」という意識を育てていくことは大切です。毎日の積み重ねで、姿勢を保持する神経の働きと筋肉の働きを少しずつ高め、活性化することができるからです。

 ただこの姿勢も、その子どものできる形、一番学習に取り組みやすく楽な姿勢でよいのです。特にハンディを持つ子どもの場合は身体的問題(筋緊張、筋力、側湾症・・・)に配慮しなくてはなりません。姿勢の保持ばかりに意識を使わせてしまっては、学習どころではなくなってしまいますから。

 さて、体の態勢がとれたら、今度は意識の態勢です。(あしたにつづく)

nan

44.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:学習体制を作る

44.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:学習体制を作る

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 「わかる」ことは楽しいのに、「わからない」ことはストレスになります。昨日は、彼らを「わかる」ことから遠ざけているのもの、その原因を考えてみました。

 今日は、原因の1)「学習する体制ができていない」について:

 ならば、「学習する体制」を作りましょう。そのためには・・・
 まず生活のリズムを見直しましょう。1日のどの時間帯ならば学習が可能か。疲れていない時間帯、周囲も落ち着いている時間帯、どなたか付き添ってあげられる時間帯。一日の生活表を作って、お子さんと一緒に考えましょう。
 
 お子さんも、大人の都合で「さあ、今から勉強よ!」と突然言われるより、心積もりができてスムーズに学習に入れるでしょう。時刻や時間を体験する学習にもなります。

 次に、お子さんは1日にどのくらいならば学習が可能か、考えて見ましょう。5分・10分・15分・30分・1時間、それ以上。無理をしないことです。短い時間から始めましょう。はじめは学習に向かう習慣を作ることが目標ですから。

 プリントを1枚とか、学習の量で決めても良いでしょう。

 さらに次に、どこで学習するか部屋やコーナーを考えましょう。整理整頓して、座ればすぐに学習できる場所を考えましょう。しかも、その場が好きになるように工夫しましょう。
 
 「ここがあなたの場所ですよ」ということを暗に明示し、さらに楽しくて好きな場所になるように、お子さんの好きなものの絵や写真を貼ってあげましょう。また好きなものをワンポイント置いてみるのもよいでしょう。いずれも学習の妨げにならない程度にです。お子さんと楽しく場所作りをしましょう。

 消しゴムがひとつ新しくなっただけでうれしかっっというような思い出はありませんか?何でもいいですから学習への気持ちをそそるものをひとつ新調しましょう。安いお店を利用して買い物学習もかねて、お子さんの気に入ったものを選びましょう。

 このように、まず準備の段階からいっしょに楽しく行うことが大切です。ここで決して叱ってはいけません。小言もいけません。

 それでは、スタートしてみましょう!

造形リトミック教育研究所

nan

43.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」

43.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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*楽しいからのパートナー
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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 今までわからなかったことがわかると、それは楽しいですよね。 
子どもにとっては、学校の勉強がわかる。大人にしても、パソコンやソフトの使い方、デジカメや携帯電話、新しい機械の使い方がわかると楽しいですね。

 小さな一歩からでも、わかることは楽しい。人を前向きにさせ、次への意欲をもたらします。

 ではわからなくて悩んでいる子どもたち、何が彼らを「わかる」ことから遠ざけているのでしょう?それには、いろいろな原因が考えられます。

・学習する体制ができていない。
・見る・聞く・読む・書く・数える・覚える、という学習の基礎機能が形成されていない。
・つまずきがどこにあるのか、その所在が見つけられていない
・わからないところに、次々とその上の課題が出されてしまっている
・本人がわかろうとしない
・教えてもらう環境がなかった
・聞いたらバカにされた
・わからないと叱られた

 原因がつきとめられれば、その手立ても考えられます。
ではそれぞれの問題についてどのように対応すればよいのか、
明日はそんなことを考えてみたいと思います。

造形リトミック教育研究所
nan

42.ちょっと一息 (ペットについて)

42.ちょっと一息 (ペットについて)

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 私は子どものころ、犬2匹、猫数匹、ウサギ数匹、リス、アヒル・・・といろいろ飼っていました。それぞれ特徴があって面白かった。とてもいい思い出です。アヒルが犬をお父さんだと思っていつも後ろを付いて歩いてました。アヒルが通りがかりの人の買い物袋の中のキャベツなど葉物をつついて困ったこともありましたが、笑い話です。今は、小型犬プードル(11歳)を飼っています(まだプードル人気のまえのことですが)。W.ディズニーもプードルを飼っていたそうですね。

私と同じく動物好きの息子のたっての希望で、お店にいたちょっと大きめで値引きのプードル選びました。子どもにとって、小さくても夢がかなうことはとても大切です。

 「レイダ」と名づけられたこの犬、いやパートナーは私の近くに一番長くいます。私は自分が大のおやつ好きですので、何か食べる時はいつも必ずレイダにも少しあげます。お風呂は私の係り、トイレも私が多いですか。犬は感心するほど忠実です。近くにいるとほっとします。

 私は特に、犬族は好きです。ですから、親戚筋のオオカミも大好きです。この2種のことは、どちらも尊敬しています。犬とオオカミはそもそも同族でしたが、それぞれに強い思いがあって種として分かれていったのではないかと私は考えています。昆虫も植物も、すべての生き物はそうなのではないでしょうか。

 まず、「オオカミ」は本来自然界での狩人です。肉食で集団行動をとります。トラやライオンほどの力はありませんからチームワークで生きているのです。リーダーは常に、先陣きって闘うと聞いています。平均寿命は5~6年。自然界は厳しいですね。これが自由の代償です。伝統と誇りを感じます。

 モンゴルではオオカミは害獣ですので、イヌワシを使って狩をします。まず馬賊が追い最後にイヌワシが空から、追い詰められた1頭にトドメをさします。そのオオカミが絶命する瞬間に、「仲間は逃がしたぞ」というような声が聞こえてくるのは私だけでしょうか?

 *最近知りましたが、野生のオオカミでも種類によっては人に危害を加えず、少しずつ時間をかけて近づくとなつくことを知りました。頭が良くむやみに争わない姿勢に、さらに驚きと尊敬の念がわきました。

 一方「イヌ」ですが、彼らはまったく逆の生き方を選択したように私は感じます。「闘い」ではなく、「友好、信頼、忠実、愛」に生きることを選びました。彼らも尊敬に値します。その恩恵は平均寿命が10~12年です。言葉を理解し、信頼を持ち、忠実で、愛に生きる。私には、ペットという言葉が「パートナー」と聞こえます。

 何か、人間が失いかけているものを感じます。「かわいい」「笑顔」「おちゃめ」「元気」「くいしんぼう」「前向き」「いつもいっしょ」・・・良いイメージが次々にわいてきます。
 
 犬はきっと、子どもたちの良きパートナーともなるでしょう。もちろん、手間はかかります。しかし、犬から得るものはその手間よりもはるかに大きいでしょう。

 「友好、信頼、忠実、愛」に生きる犬、彼らは全身で喜びを表現します。療育において、子ども達にとっても、親御さんにとっても、療育者にとっても、心の安らぎと充足が何よりも必要なのです。

造形リトミック教育研究所

41.心の軸(5)期待に応える

41.心の軸(5)期待に応える

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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*楽しいからのパートナー
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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 療育に携わる私たちにとって、最高の報酬は「生徒さんの満足感や達成感」であり「親御さんの喜ばれる声や姿」です。私が大学院で教えていただいた恩師は、「親御さんからの感謝の言葉だ」とも言っておられました。

 そんな心の報酬は、具体的にはこんな形で得させて頂いています。

 ・お子さんが毎週楽しみに通ってきてくれる
 ・走ってきてくれる
 ・学習に真剣に集中して、鼻息が聞こえてくる
 ・教室の教材(絵かき歌、言語教育の歌、問題解決の歌、工作、パソコンソフトなど)を楽しんでくれて、さらに出来なかったことが出来るようになること
 ・生徒さんや親御さんと講師の間に信頼が生まれる
 ・講師が生徒さんを大切にしている
 ・講師が生徒さんの期待に応えられた
 ・講師が創造的に療育に取り組んでいる
 ・・・・

 日々経験しているこんなプラスの状況をイメージしながら教育法の開発を続けていると、開発者には常の「生みの苦しみ」の中にも、大きな喜びと楽しさがあります。

 あるとき小学生の生徒さんから、手紙をもらいました。

「たまのせんせいえ

 こんどの絵かき歌は、新幹線(0系)・かもつれっしゃ・とうざいせん・やまのてせん・とっきゅうあずさ・じょうききかんしゃ
 のうたをつくってください。」

 鉛筆をにぎって一生懸命に書いたようすが目に浮かびます。また、電車へのワクワク感や「描きたい!描きたい!」という気持ちもビンビン伝わってきます。

 先月のテーマ「鉄道」のきっかけはこの手紙でした。

 「期待に応えたい」、これが私たちの研究所を支えている大きな力です。

造形リトミック教育研究所

40.心の軸(4)自分の子どもに実践してみたか?(つづき)

40.心の軸(4)自分の子どもに実践してみたか?(つづき)

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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*楽しいからのパートナー
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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 昨日は、私が造形リトミック・メソッドを自分の息子にも実践したことをお話しました。実は私自身も、父から教えられています。そもそも造形リトミックのサブメソッドのひとつ「リズム造形」は、幼児だったころの私が、壁の落書きコーナーに好きなアニメの絵をなぐり書きのように描いていたところから発想したものだと後に聞きました。

 幼稚園でもらったクレヨンで所かまわず落書きしていた私に、父は「ここなら描いてもいいよ!」と壁の一箇所に落書きコーナーを作ってくれました。私は「ダッダッダッダッダー」とか、「ビューン」とかと声を出しながら点や線を描いていたとのことです。たぶん「鉄人28号」の闘っているようすを描いていたのです。

 そこで父は、「発声と描画とが同調する」ということを発見したのです。線の形態、線の強弱、線描の速い・遅い、それらは発声と同調して変容します。この気付きが「リズム造形」の理論の根幹となっています。

 その後成人して、数え切れないほど「造形リトミック・セミナー」に出席して父の理論・方法論を学びました。

 「歌唱造形」という「無限に変わる新しい絵かき歌」。大人になって改めて絵を描き、歌いながら、わずか1分程度で満足のいく魚が描けた日のことは今も覚えています。そのころは大学で機械製図こそ少しすれ、絵など描く機会は余りありませんでしたので驚きました。

 率直に「うまく描けたな」と思いました。また、「楽しいな」と思いました。この日がある意味で、「造形リトミック」との出発点だったのかもしれません。

 その後、後継者にありがちな事ですが、広い世界にはもっとすばらしい教育法があるのではないかと特殊教育の専門の道へ進み、様々なメソッドを見る機会を得ました。

 その時の感想は私の当初の考えとは逆で「親父、すごいかも?」という、孫悟空の話やねずみの嫁入りの話のような笑い話です。結局この教育法にとり憑かれて、今日に至っています。

造形リトミック教育研究所

39.心の軸(4)自分の子どもに積極的にしてみたか?

39.心の軸(4)自分の子どもに実践してみたか?

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
  造形リトミック教育研究所  

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 私は、息子にも造形リトミックを実践しました。作品を絵画展にも出しました。といっても、息子に造形家は目指させようとしたわけではありません。造形リトミックは、造形家を育てるためだけのものではありません。

 「描くことを通して、ものを見る目と脳の機能を育てる」ことを目的とする教育法です。いろいろなことを造形を通して、楽しみながら学ぶ。対象に興味を持ち、探求しいろいろなテーマや事物から多くのことを学ぶ。

 自然の力、生物の進化、生きる仕組み、技術の発展、事物の構造、美しさ、ユニークさ、世界の多種多様なあり方・・・。

 造形リトミックを通して養われた「ものを見る目と機能」は対象とする事物についてだけではなく、仕事や生き方においても感性や探求心、創造的見方という点で生かされるのではないかと長い目で見ています。

 教室の生徒さんに対しても、
 ・目で見る機能を育てる
 ・耳で聞く機能を育てる
 ・手指を使う機能を育てる
 ・ひいては脳の機能を育てる

 というこれらの機能の開発と育成はもとより、長期的にはいかに生きるか、生き生きと楽しみや生きがいをもって能動的に生きられるように、ということも見据えながら療育に当たるという視点を大変重要なものであると考えています。

 前者の機能の育成は、日々のトレーニングとして継続的に繰り返し繰り返しプログラムに則って行っていきます。

 さらに後者については、療育者が生徒さん一人ひとりの近い将来と遠い将来、その生き方を視野に入れながら療育に当たることが求められます。

 そのことによって、前者の機能トレーニングのプログラムの組み方も変わってきます。ともすると地味になりがちな機能トレーニングも、楽しく豊かな、無理のないものとなり得るのです。

 無理がなければ、また楽しければ繰り返したくさん行うことができます。このようないい循環を生んでいきたいものですね。造形リトミックには、そんな力があると信じてこの教育法に長く携わってきています。今も開発、研究中です。

造形リトミック教育研究所

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38.心の軸(2)自分が体験して感動したか?

38.心の軸(2)自分が体験して感動したか?
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  

 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 研究所ではスタッフに対して、「月々のテーマをまず私たちが楽しみましょう」と数十年間言い続けています。指導者が楽しいと思って取り組むと、生徒さんにとってもそれがさらに楽しく興味のあるものとなります。

 時に指導者は、「自分の好きでないテーマ」や「あまり関心のないテーマ」にも挑戦していくことが求められます。それは、生徒さんにいろいろなものに触れる機会を提供するためです。たくさんの中から生徒さんには選べる環境を用意してあげることが大切です。

 ある時こんな月がありました。テーマに「建設機械数種」と「秋の花コスモス」を設定しました。

 「建設機械」とは、クレーン車やブルドーザー、ショベルカー、ダンプカー、ロードローダーなどです。いずれも、ブームだのアームだの、シリンダーだの旋回台、アウトリガーなど、切りのないほどの聞き慣れない部品の名前が出てきます。
「これはお手上げ!」と多くの講師が思ったであろうとき、ひとりの講師が言いました、「これらの言葉をスラスラ言えたら、かっこいいですよね!」。

 そうなんです!これまで直接的にはほとんど無関係だったような「建設機械」にもこんなふうに積極的に挑戦していくことが求められているのです。それも無理やりではなく楽しく。それが、指導力の若さです。実年齢とは関係のない若さです。
指導者にはそんな若さが必要です。

 もし、無難な「コスモス」だけで終わってしまったのでは指導者としては片手落ちです。生徒さんの新しいものとの出会い、たくさんのものから選ぶチャンスを奪ってしまいます。

 はじめは興味のなかった「建設機械」でも、描いてみると構造が見えてきます。歌とともに工事現場の作業の音が聞こえてくるようです。町を車で走っていても、「あっ、ブルドーザーだ!」「ショベルカーだ!」「クレーン車だ!」と目をやるのに忙しいほどです。

 それほど関心が「建設機械」に向かうようになりましたし、「建設機械」は今あちこちで大活躍で、私たちはさんざんお世話になっていることがわかりました。今では私も、かっこよく略して「建機」と呼ぶようになりました。

 親御さんは逆に、お子さんの興味のあるものに心から付き合ってみてください。
「レゴなんて・・」「電車なんて・・」「国旗なんて・・」と、はじめから敬遠せずに。それらの楽しみを親子で共感できたら、すばらしいですよ!

 発達障害の方は、「気持ちの理解ができない」とか「共感性が乏しい」などととかく言われますが、無理やりこちらに引っ張ってこちらの気持ちを理解させようとするのではなく、こちらからお子さんの気持ちに近づいていってみましょう。

 造形リトミックの教室の生徒さんたちは、なにやら突然「建機」を描き出した、「家電」を描き出した、昆虫の中でも「ゲンゴロウ」を描き出した、というようなことがあるかもしれませんが、親御さん方もぜひ一緒に描いて楽しんでください。新しいテーマを体験してみてください。お勧めです!

造形リトミック教育研究所

37.心の軸(1)自分がほれ込んだものに懸ける


37.心の軸(1)自分がほれ込んだものに懸ける
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  

 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 一人ひとりの子どもの周囲には親御さんをはじめ、学校の先生、職場の指導者、療育機関の医師や指導者、生活の支援者などさまざまな人たちがいます。

 私は知的障害・発達障害の療育機関に携わる者として、今週はその理想的なあり方について考えてみたいと思います。

 これまで理想的な指導者を内に外に探し求め、何人かの方に出会えました。その結果、理想的な方たちの有する共通点に気がつきました。それは、精神面に軸となる確かなものを持っている、ということでした。

 療育のプロセスには良いときも厳しいときもありますが、それを乗り越えて継続できるには軸となる精神性をもっていることがとても大切です。それは使命感であったり、探求心であったり、メソッドや人との出会いであったり・・・・・さまざまです。

 中途半端だったり疑心暗鬼で行っている取り組みは、十分な力を発揮できません。療育そのものやひとつの教育法にほれ込んで打ち込んでいる方たちは、一本筋の通ったしっかりした療育を行っておられます。

 これは、単に年齢の問題ではありません。先輩方だけではなく、若い方にもすばらしい療育者はおられます。

 療育も人生と同様、山あり谷ありです。晴れの日もあれば曇りの日もあり、雨の日や雪の日もあります。途中で目標を見失わずにやり遂げるには、「ほれ込む」ということが不可欠であると私は思います。本物を目指すには、思い入れや、こだわりが大切。本当に自分が気に入ったもの、良いと思ったもの、ほれ込んだものなら、多少困難があってもチャレンジし続けることができます。

 一度決めたら、多少の困難があっても楽しみながらやり抜いていきましょう。きっと大きな収穫があるでしょう。これは、療育に携わろうとするこれからの若い方たちに望むことでもあります。

 「理想的な指導者」のポイント
 ・プラス思考 (逆:マイナス思考)
 ・ほれこんで主体的に取り組む (逆:教育法に一貫性がない、中途半端)
 ・感謝の気持ちがある(逆:言い訳やグチばかり)
 ・まじめで努力家 (逆:要領だけでこなす、お調子者)
 ・壁にチャレンジする勇気 (逆:初めから諦めている)
 ・豊かな自分の世界をもっている (逆:無趣味で感動がない)

 ・・・しかしいつも120%でやりきる人もいますが、疲れたなと思ったときは、一休み。気分転換はとても大切です。

* 写真は、観覧車の各ゴンドラ(釣りかご)を支えている支柱です。この一本
  にすべてを託してのっています・・・大丈夫? 大丈夫!!

造形リトミック教育研究所

知的障害・発達障害の療育に携わる指導者、
理想的な指導者について今週は考えてみたいと思います。

一人ひとりの子どもの周囲には親御さんをはじめ、学校の先生、職場の指導者、療育機関の医師や指導者、
生活の支援者などさまざまな人たちがいます。

その中で、療育機関の指導者について。
私は、次のように考えます。

これまで理想的な指導者を内に外に探し求め、何人かの方に出会えました。

その結果、理想的な方たちの有するいくつかの共通点に気がつきました。
 それは、精神面に軸となる確かなものを持っている、ということでした。
療育のプロセスには良いとき厳しいときがありますが、それを乗り越えて継続できるには
軸となる精神性をもっていることがとても大切です。それは使命感であったり、
探求心であったり、メソッドや人との出会いであったり・・・・・さまざまです。

 中途半端だったり疑心暗鬼で行っている取り組みは、十分な力を発揮できません。
療育そのものやひとつの教育法にほれ込んで打ち込んでいる方たちは、一本筋の通ったしっかりした療育を
行っておられます。
 これは、単に年齢の問題ではありません。先輩方だけではなく、若い方にもすばらしい療育者はおられます。

 療育も人生と同様、山あり谷ありです。晴れの日もあれば曇りの日のあり、雨の日や雪の日もあります。
途中で目標を見失わずにやり遂げるには、「ほれ込む」ということが不可欠であると私は思います。
本物を目指すには、思い入れや、こだわりが大切。
 本当に自分が気に入ったもの、良いと思ったもの、ほれ込んだものなら、多少困難があってもチャレンジ
し続けることができます。
また一度決めたら、多少の困難があっても楽しみながらやり抜いていきましょう。きっと大きな収穫がある
でしょう。これは、療育に携わろうとする若い方たちに望むことでもあります。

 「理想的な指導者」のポイント
・プラス思考 (逆:マイナス思考)
・ほれこんで主体的に取り組む (逆:取り組みが中途半端、教育法に一貫性がない)
・感謝の気持ちがある(逆:言い訳やグチばかり)
・まじめで努力家 (逆:要領だけでこなす、お調子者)
・壁にチャレンジする勇気 (逆:初めから諦めている)
・豊かな自分の世界をもっている (逆:無趣味で感動がない)

「ワンポイントアドバイス」
・・・いつも120%でやりきる人もいますが、疲れたなと思ったときは、一休みや気分転換はとても大切です。

 研究所ではスタッフに対して、「月々のテーマをまず私たちが楽しみましょう」と数十年間言い続けています。
指導者が楽しいと思って指導すると、生徒さんにとってもさらに楽しく興味のある指導が可能になります。
注意点としては、まだ経験の浅い指導者は「自分の好きなテーマ」を選ぶことがありますが、
これは考え違いです。
あくまで「テーマ」は一人ひとりのお子さんの今一番興味を引くものを選ぶ必要があります。
 昨年秋に、「コスモス」と「建築機械」を
同時に取り上げましたが、男の子でブルドーザーやクレーン車等が興味があるお子さんはまず
そちらを選ぶべきです。

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