56.生活にリズムを作る(1)前日用意のポイント

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56.生活にリズムを作る(1)前日用意のポイント
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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*ちょっと簡単からのパートナー  

 おはようございます。

 あくせくした生活に区切りをつけるためには、まず朝のスタートが大切です。そして、朝を気持ちよくスタートさせるためには、前日からの用意が大切です。

「前日用意」のポイント

・いつ行えばいい?  
 昼間、疲れていないときに行いましょう。夜、眠くなる時間は避けましょう。

・どんなふうに行えばいい?
 1)時間割表または持ち物表を作りましょう。
   絵で表したり、大きな文字で表したり、お子さんのわかるものを。

   ※毎日、同じ絵や文字を見て言葉にし、実物と照合することは作業を通しての認知学習であり文字学習であり、言語学習です。机に向かって10回言うのは難しくても、毎日実践的に繰り返せば、相当数こなせます。学習の定着だけでなく、記憶する力もそんなことから養われてきます。

 2)用意した表を確認しながら、ひとつずつかばんに入れましょう。

 3)入れるものがたくさんある場合は、3つか、5つに決めましょう。
   はじめは、お子さんの良くわかっているものや関心のあるものを選んで入れさせましょう。
   ex.給食の用意/体操服/お絵かきノート・・お子さんによって異なります。

   ほかのものは示しながら入れてあげましょう。「全部」を狙わないことが大切です。負担にならないように、あくまで楽しく。

 4)いつもと違う持ち物がある場合は、明日のいつ、何に使うのかお話しながらかばんに入れてあげましょう。それが、翌日の幼稚園や学校でのプログラムの予告となります。普段と異なることが苦手な発達障害のお子さんには、とても有効です。

 5)明日が楽しみになるように、明日の予告をしながら行いましょう。

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55.生活にリズムを

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 おはようございます。

 連休明け、「前日用意」で気持ちよいスタートがきれましたか?

 うまくできなかった方は、今度の日曜日に試みてください。いつからでも大丈夫です。少しずつ、「前日用意」の習慣をつけていきましょう。朝の気持ちよいスタートのための「前日用意」です。

 朝がスムーズだと、一日の生活の流れもよくなります。生活リズムを整えていくと、逆に遊びの時間や自由時間、お楽しみ時間を十分作り出していくことができます。

 知的障害や発達障害をもつ子ども達の個別教育を通して感じるのは、「障害そのものよりも、ストレスが学習の妨げとなっている」ということです。「あくせくした生活」も、ストレスをもたらす大きな原因のひとつです。

 いつも時間や学習や用事に追われ、いつも何かにせかされている。ぼやぼやしていると、周囲から「あれしなさい」「これしなさい」「早くしなさい」と指示が次々に飛んでくる。これでは、身も心も休まる時がありません。親子共々、疲れてしまいます。

 これからしばらく、「生活リズムを作る!」ことを考えていきたいと思います。

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54.学校の支度は前日に

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 おはようございます。

今日は3連休の最後の日です。明日からまた学校だと思うと少々億劫に感じることがあります。そんなマイナスをプラスに切り替えるために、保育園や幼稚園、学校や職場への仕度を昼間のうちに早めに楽しみながら済ませておきましょう。

・宿題:一緒に付き合って、短時間で気持ちよく終わらせましょう。
・文房具やハンカチ・ティッシュなどそろっているかチェックしましょう。
・足りないものは、補充しましょう。洗濯・買い物:楽しく行いましょう。
・時間割表や持ち物表に従って、持ち物をかばんにつめておきましょう。
・明日着ていくものを用意しておきましょう(だいぶ寒くなってきました)。

親子お互いに気分的にも時間的にもゆっくりできるときに、明日の準備の「仕切り直し」をしておきましょう。ふだん慌てて用意しているものをゆっくり念入りに一度整えておくと、しばらくは毎日の用意が楽になります。これが、「仕切り直し」です。鉛筆1本でも新しくなると気持ちがいいですね。ハンカチ1枚でも洗ってきれいにたたむと気持ちがいいですね。

夕方から夜は、ゆっくり過ごして早寝を心がけましょう。明日気持ちよく目覚めて、出かけられるように。

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53.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:叱らずに・・・

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53.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:叱らずに・・・
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 おはようございます。

 わかれば学習も楽しいのに、「わかる」ことから子どもを遠ざけている原因の8つ、

・学習する体制(態勢)ができていない。
・見る・聞く・読む・書く・数える・覚える、という学習の基礎機能が形成されていない。
・つまずきがどこにあるのか、その所在が見つけられていない
・わからないところに、次々とその上の課題が出されてしまっている
・本人がわかろうとしない
・教えてもらう環境がなかった
・聞いたらバカにされた
・わからないと叱られた

 ここ10日程かけて、一つ一つをじっくり考えてきました。今日は、その最後「わからないと叱られた」。

 知的障害や発達障害をもつ生徒さんの療育に取り組んで私も20数年が経ちますが、当初は生徒さんの「わからなさ」を本質的な意味で理解することができませんでした。しかし療育の年月を重ねていくうちに、わからなくて困っている生徒さんが、まるで頭の中で汗をかいているような様子が伝わってくるようになりました。そして次第に「どこで躓いているのか」また「何が妨げとなっているのか」がわかるようになってきました。

 私は宿題を出すときにいつもこう言います。
「わからないとことがあったらそのまま持ってきてください。また教室でやりますから」
「やり終えられないようでしたら、そこまでにしておいてください」
「叱りたくなったら、そこでストップしてください」

 甘い・・・と思われるかもしれません。しかし、急がばまわれです。学習嫌いにさせるより、何十倍もましです。無理な学習で潰されそうになっている子どもは、見るに耐えません。知的障害や発達障害をもつ教室の生徒さんも、楽しく学習をしてきた生徒さんは毎週10枚ほどの宿題を欠かさず持ってきます。

 「わからない」「叱られた」というような学習についてのマイナスの経験を過去にしていない限り、子どもは学習が好きです。子どもに限らず、今のクイズブームやかねてからのカルチャーブームはその証です。ノルマはなく、わからなくても叱られることもなく、自分の好きな分野から始められる。学ぶことは、楽しいのです。

 集中力も持続力も根気も、難しいことへの耐性も学習をとおして徐々に養われますから、心配しないで楽しく学習を進めていってあげましょう。決して、叱らずに・・・。

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52.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:その子のペースで

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 おはようございます。

 わかれば学習も楽しいのに、「わかる」ことから子どもを遠ざけている原因の
 7つめ:「聞いたらバかにされた」

 教育の形態には学校のような集団教育と私塾のような個別教育とがあります。それぞれにはそれぞれの利点がありますから臨機応変に切り替えられることが理想です。

 しかし、時に集団教育においては「聞いたらバカにされた」とか「間違えると恥ずかしい」「わからないと恥ずかしい」というような心理が働いて、それが学習の妨げになることがあります。

 学習に限らず幼児の遊びにおいてもそのような心理を垣間見ることができます。ずい分前のことですが、あるダウン症のお子さんを持つ親御さんがおっしゃっていました、「この子はほかの子どもたちがおもちゃで遊んでいるときは見ているだけ
で、みんながいなくなるとそのおもちゃで遊んでみるんです。そんなところがあるんです」。

 このような心理は誰もが多かれ少なかれ持っています。人前で歌うなんて恥ずかしい。街中で写生をするなんて恥ずかしい。つまり「人目が気になる」、ということです。

 そのような心理が大きく学習の妨げになる場合には、個別に学ぶ場を与えて、そこで心置きなく自分のペースで学習をさせてあげることは効果的です。

・質問にはていねいに答えてあげる
・わからないときにはいっしょに考えてあげる
・焦らさずに、じっくり待ってあげる

 このような環境で「わかる」経験をたくさん積ませること、「できる」という自信をもたせることはとても大切です。さらに「質問することは良いことだ」ということも体得させたいことです。自信が持てれば、ある程度の「人目」くらい乗り越えていける強さも備わってきます。

 そうしたら、集団の中で集団教育のダイナミックさという利点を楽しみながら学んでいくこともできます。家庭学習もいわば個別教育ですから、これまで考えてきた1~6を考慮しながら毎日少しずつでも行えればとてもいいですね。集団教育と個別教育という両輪の関係を生かしていくことができます。

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51.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:どんどん教えましょう!

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 おはようございます。

 わかれば学習も楽しいのに、「わかる」ことから子どもを遠ざけている原因の
 6つめ:「教えてもらう環境がなかった」

 学習の体制作り(10月22日)ができたら、これまで考えてきた1~5を考慮しながらどんどん教えてあげましょう。「教えること」「介助すること」は、決して悪いことではありません。

 描画の学習でも、はじめは描いて見せます。次に手を添えて(介助)描かせます。そして、さいごにひとりで描かせます。自転車の乗りはじめの練習と同じです。介助でくり返しくり返し練習しているときに、描き方を体で覚えるのです。
この段階の練習を十分行うことが大切です。これが十分でないと、一人描きのときに失敗して苦手意識を与えてしまいます。

 子どもは手伝ってほしいときには、自分から手の甲を差し出してきます。逆に介助が要らなくなったときには、添えた手を払おうとします。これが、介助するかしないかの目安です。

 時に、まだひとりでは難しいのにひとりでやろうとすることもあります。そんなときは「順番にね!」と言って、介助と介助なしを交互に行いましょう。

 「描く(書く)」ことだけでなく、「読む」ことも「数える」こともこんなふうに練習を進めることができます。読み・書き・数えるに比べ、「考える」ことを教えるのは難しそうに感じられますが、基本的には何らかわりません。考えるプロセスを少し口に出しながら(多くならないように)、一緒に作業として学習を進めていけばよいのです。これについては、昨日お話しました。

 「教える」ことは悪いことではありません。どんどん教えて、「できる!」「わかる!」という気持ちを育てていきましょう。

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50.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:考える!

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 おはようございます。

 わかれば学習も楽しいのに、「わかる」ことから子どもを遠ざけている原因の
 5つめ:「本人がわかろうとしない」

 これは、すでに学習嫌いになってしましている場合と、「考える」ということがわからない場合、また疲れていたり学習環境が整っていなくて学習する気にならない場合とがあります。

 後者については、「学習体制」を整えるというテーマで先日(10月22日)考えました。前者2つについては、これまでに考えてきた原因の1~4を考慮に入れつつ、ゆっくりと寄り添って学習に付き合ってあげることです。

 特に「考える」ということがわからない場合、子どもはどのように頭を使っていいのかがわからないのです。いわば頭が働かないのです。スポーツを行う前のウォーミングアップのように、「考える」前のウォーミングアップをしてあげましょう。

 その子どもにとって、
・簡単に読めるものを読む
・簡単にできる計算をする(計数=数えることでもOK)
・簡単に書ける単語や文字や漢字を書く
「読む」「書く」「数える」の学習の基礎機能を働かせるような課題です。
 ※造形リトミックでは、「リズム造形」や「歌唱言語法」「歌唱数量法」が
  その役割を担っています。

 頭や目や耳、体(姿勢・意識)が目覚めてきたら、「思い出す」という記憶・再生の機能を働かせるような課題を行いましょう。

 午後に学習するのでしたら午前のことを、午前に学習するのでしたら昨日のことを思い出させるようなインタビューをしましょう。
 
 食べたもの・見たテレビ・何して遊んだの・だれと遊んだの・どこに行ったの・・・。子ども自信や子どもの生活に優しく関心をもって尋ねましょう。心理テストの問のようにではなく、共感的かつ同調的に。その楽しい会話自体がお互いの気持ちを和ませてくれます。

さてそろそろ、学習の本題に入りましょう。算数の文章題や国語の文章読解問題。「一緒に読もう」からはじめ、「一緒に考える」といったペースで進めましょう。
苦手意識を持った子どもに、はじめからわかることを期待しすぎてはなりません。答えを教えながら、書き込ませていきましょう。「教えてあげて、書かせる」、当初はそのくり返しでいいのです。

 その間に子どもは、答え方や考え方を少しずつ学んでいきます。やがて「ちょって待って、考えてるから」と言うようにもなれば、大したものです。「・・・だから、・・・なんだよね」と、時に少々とんちんかんな理由づけのこともありますが、すぐに訂正させずに「うーん、そうだよね」と肯定してあげます。せっかく考えたのですから。

 「わかる」から子どもを遠ざけている原因、数回にわたりいろいろ考えてきました。あと、少しです。

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49.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:仕切り直しを!

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 おはようございます。

 わかれば楽しいのに、「わかる」ことの妨げとなっている原因の4つめ:
 「わからないところに次々と課題が出されてしまっている」

 こういう問題を抱えてしまっている子どもはどちらかといえばまじめで、学習に取り組もうという気持ちを持っている子どもです。しかし、やってもやっても効果が出ず、やがては学習がストレスとなり、自信をなくしたり、何もかもやる気が出ない、・・・というようにさまざまなマイナスを生んでしまいます。

 どこかで1回区切りをつけましょう。仕切り直しです。では、どのように仕切り直せばよいのでしょうか?

・一週間の生活表を作って、生活の中に学習時間をきちんと設定し直しましょう。 しかも短めに。
・科目を絞りましょう。教科の学習であれば、まず1科目に。「わかる」というこ とを経験するためです。
・1科目の中でも、問題のタイプ別または難易度別に学習の範囲を絞りましょう。 100%をねらわないことです。半分でも3分の1でもいいですから、確実に「わ かる」ところを作りましょう。

 「ただでも勉強時間が足りないのに、短めでもいいの?」「えっ、ほかの科目はどうするの?」「悪い点でもいいの?」と思われるかもしれません。しかし、だらだら勉強していても成果は上がりません。全部の科目がわからないよりも、1科目でもわかるほうが良いのです。また、まるで「0」よりも少しでもわかる方が良いのです。

 ボーダーの子どもが普通学級で次から次に課される学習課題と奮闘している間に、知的にはよりハンディの重い子どものほうが確実に学習力をつけている、というような例もあるのです。たとえ知的ハンディがより重くても、その子どものペースでじっくりと楽しみながら学習を進めていけば学習力は付いていくものです。

 学習の取り組み方によっては、生き生きと確実に学習を積んでいけそうな子どもが、あふれる課題と課題の出されるスピードに追われて潰されそうになっているのは、見ていられないものがあります。

 一度、仕切り直しましょう。「やらなくちゃ、やらなくちゃ」「できない、できない」というストレスから解放されれば、学習態勢は高まりますし、集中力は増し、「わかる」ことが増えてきます。わかれば、持続性も増し、学習の範囲も少しずつ広がっていきます。このように、仕切り直すことによって、プラスの回転を作りましょう。

 私が相談業務のほとんどのケースで申し上げているのは「学習の妨げになっているのは、ハンディよりもストレスですよ」ということです。しかしこのストレスは、周りの対応によって軽減してあげることはできるのです。

 親御さんも講師も、対応の仕方や指導の仕方を定期的に振り返ってみましょう。子どもの近い将来、遠い将来を見据えながら。

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48.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:つまずきを把握する

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 わかれば楽しいのに、「わかる」ことの妨げとなっている原因の3つめ:
「どこでつまずいているのかを発見しようとしない。」

 これは前回の「原因の2つめ」と表裏の関係にあります。なぜならば、学習のつまずきの原因は、その学習の「基礎機能」が十分に獲得されていないことにあるからです。または、前の段階の学習課題が理解できていないことにあるからです。

 親御さんからも教室の講師からも問題としてあげられることに、「字がきたない」「マスからはみだす」ということがよくあります。
 どこでつまずいているのか、検討してみましょう。

・再三「きれいに書きなさい!」と言われて、子どもがイライラしていませんか?
・再三「はやくやりなさい!」と言われて、子どもがあせっていませんか?
・一度にたくさんの文字を書かせようとしていませんか?
・文字の構成(たて・よこ・ななめ・くるり)がわからないうちから文字に取り組 んで、文字への苦手意識や拒絶感を持ってしまっていませんか?
・手指は分化して十分に機能していますか?

 子どものイライラやあせりは、こちらの言葉がけや態度、対応の仕方で徐々に緩和されます。

 一度に文字をたくさん書かせようとする、子どもは「文字を書くことは大変なこと」という認識を持ってしまいます。書くことに不慣れなうちは、書く量を加減してあげましょう。

 線(画)の構成がわからないうちに文字を書かせると、子どもは一文字を書くのに相当な集中力と神経を要してしまい、これも一文字書くことが重労働となってしまいます。まず、縦線や横線の模倣、十字形の模倣、それらとまるの組み合わせなどを大きくきれいな色で楽しく描く学習を繰り返し行わせてあげましょう。「見る」という学習の基礎機能を十分に育ててあげることです。

 鉛筆を正しく持つほどに手指の機能が発達しているでしょうか。腕で書く段階から、手首から先で各段階、手指で書く段階、お子さんはどの段階にいるでしょうか。マスの中にはみ出さずに書くためには、手指を器用に動かして書くことができなくてはなりません。まずは「書く」という学習の基礎機能を十分に育ててあげることです。

 つまずきを発見する、どこで子どもがつまずいているのか分かれば、指導者も納得して学習を進めてあげることができるのです。

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47.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:学習機能を育てる

47.どんな時に楽しいか?(1)「わかる」:学習機能を育てる
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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 わかれば楽しいのに、「わかる」ことの妨げとなっている原因の2つめ:
「見る・聞く・読む・書く・数える・覚える、という学習の基礎機能が形成されていない。」

 「わかる」ためには、学習の基礎機能が備わっていなくてはなりません。造形リトミックの創始者である玉野良雄は、「特殊教育は0ステップの教育です」とかつて言っておりました。「読み・書き・数える」という学習の第1ステップの前に、まず第0ステップの教育が大切です。

 発達テストに「垂直線模倣」という課題がよくあります。検査者が子どもの前で縦線を描いて見せ、「これと同じように描いてください」という課題です。「そんなの簡単!」と思われるかもしれませんが、知的障害や発達障害の子どもは、そこでつまずくことが少なくありません。

 この課題をクリアするためには、どんな機能が備わっていなくてはならないのでしょう。

 ・学習態勢(机に向かって取り組もうとする意識)
 ・指示に向かう力(相手に注目し聞こうとする意識)
 ・指示を理解する力(言語理解力・判断力)
 ・見る力(中心視・焦点化)
 ・何が描かれているかを見る力(認知力)
 ・長さや方向などそこから情報を得る力(認識・分析力)
 ・記憶する力(見てから、記憶して描く)
 ・描く力(筆具を持つ機能、目と手の協応性)

 ざっと並べてもこのくらいあります。これらの基礎機能を形成せずに、「縦線くらい描けるでしょ!」「ほら、よく見て!」「もう1回!」というような指導が行われると、「わかる」「できる」どころか、学習嫌いになってしまいます。

 まる・3角・4角など図形の弁別ができていないのに、名称を教えようとする指導。
 手指がまだ分化していないのに鉛筆持ちをさせようとする指導。
 手指での書字がまだできていないのに、マスの中に書かせようとする指導。

 毎日の学習において、このような無理を子どもに強いてしまうという誤りはないでしょうか。

 今日のテーマである原因の2つめは、原因の3つめ「つまずきがどこなのか見つけられていない」と表裏の関係にあります。次回に、もう一度逆の視点からも考えてみたいと思います。

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