329.言葉を紡ぐ

329.言葉を紡ぐ
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 日常の面白い言葉にまた出会いました。今度は生徒さんから出てきた言葉です。
「ポワン、ポワン、フワ、フワ」

「クラゲがたくさんいた!」
「そう、クラゲはなに色?」
「クラゲは、とうめい!」

「クラゲは、どんな感じだった?」
「ポワン、ポワン、フワ、フワ」
「そう、ポワン、ポワン、フワ、フワ、・・・なるほど、ね」

「ポワン、ポワン、フワ、フワ」は、水族館で見たクラゲの形容です。自分から紡ぎだした言葉、楽しいですね。こんな言葉を紡ぎだす土壌は、どのように育てられたのでしょうか。

 ひとつは、小さいときから絵本を通してたくさんの言葉に触れたきたことにあるのかもしれません。教室の月ごとのテーマに即して、親御さんはよくご自宅にある絵本を持ってきてくださいました。絵を描くことに加え、絵本を通して言葉の世界を広げてきました。ご本人も兄弟も大きくなって要らなくなった本は教室に下さるほど、ご家庭にはたくさんの本の環境があるのでしょう。
 

 もう一つは、何につけても無理なく楽しく取り組んできたことにあるかもしれません。学校の授業や行事にも、地域の生活にも、もちろんご家庭での生活にも。教室でも、絵を描くことも工作をすることも、国語の勉強も算数の勉強も、どれも区別なく楽しんでしまうようなところがあります。これも、才能ですね!

 仕事に就きながらも、毎日(月~金)の日記と決めた6枚のワークは必ずやってきます。でも時に、宿題の計算問題にまるをつけてあげようとすると、「計算機でやっちゃった・・・ふふふ」と笑っています。こちらも「えーっ、あらーっ」と言いながらも、「でも、宿題できたね」と大きなまるをあげます。お陰で、3桁でも4桁でも数の読みは得意です。計算機の操作もとても早いのです。思えば私たちだって、暗算で出来るもの意外は、計算機を使っています。携帯電話にも、計算機はついているのですから。

 無理なく、楽しく、でもやるべきことはきちんと行い、本や、さまざまな場での人との交わりをもって豊かに生活していく、そんなところから言葉は紡ぎだされてくるのかもしれませんね。

 

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328.Aちゃんのスケッチブック

328.Aちゃんのスケッチブック
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 教室の大切な生徒さんのひとり、Aちゃん(小学4年生)が急性脳症で天に召されました。突然の訃報に、私たちも言葉を失いました。なんとも、悲しいことです。講師が、お母さまと電話で少しお話しさせていただきましたが、、涙声の中からいくつかの言葉が聞き取れるだけでした、とのことです。ご両親のお悲しみはいかばかりかと、悲しみをあらたにします。

 そんな中でも、「(教室に置いてある)Aのスケッチブックをいただきに伺います」とお母さまはおっしゃっておられたそうです。教室で毎月、その月におけいこした絵を描きとめていっているスケッチブックです。7月6日の教室ブログは、ちょうどAちゃんのこんなお話でした・・・、

「教室では、月末にその月のテーマの絵をスケッチブックに描いて残しています。ひと月取り組んだテーマの仕上げです。Aちゃんはこのスケッチブックを出すと、1枚1枚めくりながら熱心に見ます。私が”おしまいね”と言って閉じると、
やっと手を離してくれるくらいです。その描きためたスケッチブックもいっぱいになって、家に持って帰りました。

 家ではお母さんと一緒に見て、普段はAちゃんの手の届かないところに隠しておくそうです。が、ある時、置き場所に気がついたAちゃんは、その前から動かなかったそうです。自分の描いたスケッチブックを見るのが大好きなAちゃん、きっといろんなことを思ったり感じたりしながらページをめくっているんでしょうね」(F講師)

 Aちゃんがそんなに楽しんでいてくれたスケッチブック、親御さんもそれを隠しておくほど大切にしてくださっていたスケッチブック。一緒にスケッチブックをながめるひと時は、どんなにか幸せな時だったことでしょう。

 親御さんがかつてこうもおっしゃっていました、「先生にお会いするととてもうれしそうな顔をするので、授業が楽しいのだと思っています。・・・授業で造ったのがわかるのか、毎月のカレンダーを部屋に貼ってあげるとよく見ています」。お子さんの小さな表情や行動を感じとられて、本当によくお子さんの気持ちをくみ取っていらっしゃいます。まなざしのやさしさを感じます。

 ご両親のこれほどの深い愛情に包まれて育たれたAちゃん。愛されること、何より幸福なことですね・・・。今はただ、ご家族へのお慰めとAちゃんの安らかなることを心よりお祈りしています。

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327.国語の教科書(つづき)

327.国語の教科書(つづき)
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 国語の教科書を毎日読むことのおすすめ。その目的は、
1)学校で勉強している箇所の内容を知ること
2)書き言葉の流れに慣れること

 今日はその3つめ、
3)新しい語彙に触れていくこと、新しい世界に出会うこと、新しいことを知ること

 教科書では詩や物語や説明文、表現や発表などを通して、いろいろなジャンルの言葉に触れていくことができます。

 特に物語では、舞台が都会であったり、農村、漁村、山村であったり、また外国であったり。時代的にも現代であったり、民話の世界であったり、少し前の時代の話であったり。場面も学校であったり、家庭であったり、地域であったり、また戦争中のことであったり。それぞれの舞台、それぞれの時代、それぞれの場面での言葉があります。

 もちろん分からない言葉もあるでしょう。でも雰囲気や情景を感じることは出来るでしょう。挿絵を見て、何となくでもいいのです。親御さんがお子さんの理解できる言葉でやさしく説明してあげてもいいですね。でも、説明しすぎないことです。たとえ分からなくても、触れるだけでいいのですから。それでも、少しずつ新しい語彙や、その語の意味するものがお子さんの中には蓄積されていきます。

 しかも、新しいものに触れていくこと自体が、脳への刺激にもなっています。新しい語彙に触れていくことによって、言葉に対する反応や言葉を情報として得る力や、感じ取る力が敏感になっていくことでしょう。

 また説明文では、大人でも感動をもってはじめて知るようなことに出会います。
 たとえば、小2の教科書の「たんぽぽのちえ」。
 「・・・花がしぼむと、たんぽぽの花のじくは、ぐったりとじめんにたおれてしまいます。けれども、かれてしまったのではありません。花とじくを休ませて、たねにたくさんのえいようをおくっているのです。・・・たねがふとり、わた毛ができると、たんぽぽはたおれていたじくをぐうっとおこし、せいいっぱいせいをたかくして、よく晴れて風のある日にはわた毛のらっかさんをとおくまでとばすのです・・・」(要約「たんぽぽのちえ」)

 たんぽぽのちえをお子さんと一緒に味わえたらすばらしいですね。その時季に、道で見かけるたんぽぽに対する思いも変わってくることでしょう。

 教科書では続いて、「サンゴの海の生きものたち」というまたすばらしい説明文が上巻のさいごにあります。詳しくは割愛しますが、「イソギンチャク」「クマノミ」「ホンソメワケベラ」、教科書にもすばらしい写真がありますし、図鑑の索引から調べても学習が広がります。水族館までいけば、最高ですね。

 
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326.国語の教科書を読みましょう

326.国語の教科書を読みましょう
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 学校の授業に合わせた学習をしていくことを希望されるのでしたら、国語の教科書を毎日読むことをおすすめします。それは、少なくとも学校で何を学習しているかをお子さんが知るためです。

 物語だったら、題名と登場人物を知っておけば、授業中に耳に入ってくる言葉も増えるでしょう。説明文についても、題名と例として書かれていることを知っておけば、これもまた授業に参加しやすくなるでしょう。

 月の初めには学校から学習の予定表が配られると思いますので、一足すすめて前もって読んでおかれれば効果的ですね。つまり、予習型です。

 教科書を読むことをおすすめする理由は他にもあります。
 ひとつは、書き言葉の流れに耳を馴染ませることです。話し言葉を獲得するのに誰しも文法の学習から始めたのではないように、書き言葉においても、教科書を見日読むことによって、言葉の流れを体得するような感覚で読み慣れ、聞きなれていきましょう。

 国語のワークに接続詞を問う問題が時々あります。「だから」なのか「しかし」なのか。ひとつのフレーズとして
流れを体得できるようになってくると、それを順説か逆説かを文法的に考えるようなやり方ではなく、感覚的に二つの接続詞を使い分けられるようになります。

 私達は言葉の流れと共に、やはり気持ちを動かしているのです。
「雨が降った。だから・・・」まで読むと、穏やかな気持ちで次に続く言葉を予測しています。しかし、
「雨が降った。しかし・・・」となると、いささか不穏な「えっ」という気持ちになります。

 接続詞だけでなく、他の語の流れについても同様です。言葉にそって気持ちを動かし、先を予測しながら読んでいっているのです。予測どおりであったり、予測を裏切られたり。慣れてくれば、その変化を楽しめるようにさえなるのです。書き言葉独特のフレーズの流れを感得、体得していきましょう。(つづく)

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325.たくさんのSくんへ

325.たくさんのSくんへ

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 きのうのSくんのようなお子さんがたくさんいらっしゃると思います。Sくんのようなお子さん、つまりこれからの学習への向かわせ方によって、学習が好きになれそうなお子さんです。

 学習の導入で初めに躓いてしまうと、学習に苦手意識を持たせてしまうことがあります。それをそのまま押し切って学習を続けさせたり、さらに頑張らせてエスカレートさせてしまうと、なかなか回復しにくい”学習嫌い”になってしまいます。

 でも、絵や工作など何でもいいのです、好きなもので机に向かわせ、それに一緒に取り組んであげると、もう一度学習に向かうきっかけを作ってあげることが出来ます。

 その好きなものに取り組んでいるときに、お母さんならお母さんといい関係を作っていくことが大切です。「お母さんと、一緒に何かをするのは楽しいな」という、関係です。ですから、「早く勉強の方に・・・」とあせらずに、お母さんも心から一緒にお子さんと楽しみましょう。

 2年生ならば、これからのほぼ半年の取り組み方によっては、3年生からは学校の学習のペースに少しずつ合わせていくことも不可能ではありません。普通学級を希望していながら、少々勉強嫌いで困っている方、そろそろ勉強をあきらめ気味の方、ここでもう一度学習に取り組みなおしましょう。

 かといって、来春に向かって猛勉強をさせようというわけではありません。まず、好きなことから机に向かわせます。それから、ゆっくり、ていねいに、出来ているところから学習にとりくんでいきましょう、ということです。

 親御さんももう一度目標をはっきりと意識なさり、1日に短時間でもいいですから規則正しくお子さんとの学習の時間を持ちましょう。そして、叱らずに楽しく学習を進めていくことです。

 ”ゆっくり、ていねいに”、春に向かっていい半年が過ごせるといいですね。

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324.小学校2年生(普通学級)のSくんへ

324.小学校2年生(普通学級)のSくんへ

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 お教室に来られて数ヶ月。少々お勉強には苦手意識を持っているようですが、絵画や工作には相当な集中力。独創性もあって、いつも面白い作品が出来るんです、と担当の先生からも聞いています。玄関に飾ってあった粘土工作の昆虫は、Sくんの作品ですか?重量感もあって、迫力ですね!

 そんなSくんには、お勉強も楽しくがんばれる可能性がとっても大きいと思います。Sくんの作品をとってもほめてくれるご両親と一緒に取り組めば、お勉強もきっと好きになることでしょう。

 国語の教科書を使って、読むことと書くこと。算数の足し算と引き算。20まで数えることが出来ているのですから、足し算はいくつの足し算だってできます。引き算だって、10の中の引き算まで出来ていれば、あと補数の勉強をすれば、いくつの引き算だって出来ます。でも、まずは2桁の足し算と引き算を「かんたん!」と思えるくらい練習しちゃいましょう。

 「補数ってなに?!」・・・「補数は合わせて10になる数」です。数カードを見ながら、歌で覚えちゃいましょう。

 歌と言えば、かけ算も歌で覚えましょう。教室では、パソコンで「かけ算ってなにか」を先生と目で見て、感得・体得のトレーニングを毎週していきましょう。歌で覚えた九九とパソコンの映像がSくんの中で合致すれば、かけ算の文章題だって、「あっ、そうだ!」ってわかるようになりますよ。

 Sくんが3年生になるまでの5ヶ月間、こんな目標をもって「お勉強大好き計画」を立てて取り組んでいきましょう。ご両親と、大好きなお教室の先生と、いっしょに取り組んでいけばだいじょうぶ!

 これからクリスマスがきて、お正月が来るのに来年の春の話なんて早すぎる、と思うかもしれませんね。でも、私はいつも少し先を見ています。桜が咲くころのSくんのことを想像するとわくわくしてきます。

 絵画や工作の力がお勉強の力にも変わっていった先輩がたくさんいますよ!Sくんも「お勉強大好き計画」、今週からスタートしましょう!

 
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323.日常の言語~”しゃおっ”

323.日常の言語~”しゃおっ”

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 ”しゃおっ”って、何のことでしょう。これは、揚げたてのえびフライを口の中に入れたときの音。生徒さんと、国語の教科書で読みました(光村図書中2)。三浦哲郎作「盆土産」に、こんな表現があったのです。三浦哲郎1931年生まれ、青森県出身の作家です。
 
 このお話の舞台も青森県。素朴な家族のお話です。時は、昭和30年代くらいでしょうか。都会に働きに行っている父親(父っちゃ)が盆に休暇が取れて急に帰ってくることになり、そのことを知らせる便りに「土産にえびフライを買って帰る」と
あったのです。「えびフライ」と聞いても、話の中心人物である少年(おら)もその姉(あんね)も祖母(婆っちゃ)も、またその友達も、「えびフライ」がどんなものなのか見当がつきません。

 見当がつかないだけに気になって仕方なく、つい「えんびフライ」と口に出てしまうほどです。分からないけど、「とびきりうまいものにはにちがいない」と、父の帰りを心待ちにしていました。そして父親が帰ってえびフライ揚げてくれた、
そのえびフライを食べたときの音が、”しゃおっ”なのです。

 「えびフライ」という言葉だけ聞いて、そのものを知らない。そんな未知のものに対する想像力、期待、気持ちの高まりが実によく表現されているお話です。今の私達は、エビフライがどんなものだか知っています。しかし、このお話を読みながら、この少年といっしょに、「えびフライ」ってどんなものだろうかというように、想像を働かせていくのです。「とびきりうまいものにはにちがいない」というこの確信と共に。

 エビフライのにおい、大きさ、長さ、太さ、ころもの具合、色、揚げたての熱々、油で光るエビの尾・・・、この想像のプロセスの終点が、この”しゃおっ”です。これまでの想像のすべてが、この”しゃおっ”に集約されています。未知だったえびフライが口の中に入ったときの食感です。読み手の口の中にも、”しゃおっ”という食感が広がります。あのにおい、旨みを追体験します。

 夕方のお腹の空いている時刻に、このお話はたまりませんね。「あー、エビフライ、食べたい!」こんな気持ちでいっぱいになります。(実際、この間に2度、エビフライ、食べましたけど。すごい、誘惑です。)

 言葉の力はすごいですね。言葉の力を生徒さんと共感、共有していきたいと思います。発達障害の生徒さんは、言葉の感性が乏しかったり、言葉の意味の把握が難しかったりということがありますが、私達の言葉の感性はどうでしょうか。

 雑事に追われる日常では、私達の言葉も単に道具としての言葉、記号としての言葉になってしまっているようなことはないでしょうか。

 気持ちの動きや揺れ、感性や感動、魂が伴うような言葉を私達が発し、投げかけることによって、生徒さん、お子さんの言葉も本来的なものとして育まれていくことでしょう。日常のほんの束の間でも、そんな言葉のやり取りを持ちたいものですね。

 

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322.日常の言語~

322.日常の言語~

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

(つづき)「百聞は一見にしかず」、日常で実際のものや場に直面して「言葉」を経験するメリットについてきのうお話ししました。ちょうどその日、ひとりの講師が言っていました、

・・・国語のテキストで「いろいろな鉄道」について読んでいるので、そこに出てくる路面電車や地下鉄、貨物列車を「実際に見に行ってください」って、みんなに言っているんです。するとどの親御さんも、「はい、行ってきます!」と答えてくれるんです!・・・

 いいですね。そういうことなんです。テキストで、
「路面電車は、道路の上の線路を走っています」と読んでも、リアルに読み取り、感じ取れる生徒さんは少ないでしょう。
「路面電車は、自動車のように信号で止ります」、「本当だ!」とテキストの言葉を実際に体験してきてください。

 電車は電車でも一両の電車、路面電車の速度、振動、音、匂い、感触、形態、デザイン、道路の上の線路・・・さまざまな要素の中から、その生徒さんなりに親御さんと言葉を交わしながら何かをぜひ経験してきてもらいたいものです。

・・・ホームで貨物列車が通過したら、「これが、貨物列車!」と”その場で”教えてあげてください!とも言ったんです・・・

 そうですね、まさにその場で教えてあげてください。「金太郎」「桃太郎」の名にふさわしく、先頭の電気機関車が十何両もの貨車を力強く引っ張っていきます。私たちも、圧倒されます。その感動を伴って「これが、貨物列車!」、と教えてあげてください。

 さて、日常における言語トレーニングのメリットは、こんなところに求められます、として
・日常はまさに実際の場であるので、具体的なものや状況と言語が直結しています。
・日常はまさに実際の場であるので、話し手にも聞き手にも感情が伴います、までお話してきました。

最後にその3つめです。
・日常はまさに実際の場であるので、ダイナミックな言葉の働きを感じ取ることができます。

 先の電車たちのように、対象のダイナミックさがまずあります。それに加え、日常にはその場にいる人たちの関わりのダイナミックさがあります。言葉のやり取りの中に身をおいて、雰囲気や臨場感を味わい、吸収することができます。

 言語教育にとっては、幼稚園や保育園、学校での統合教育はお勧めです。言葉のダイナミズムがあるからです。しかも子どもの声は直截的で、表現はストレートで端的です。

 あちらからもこちらからも元気な声、あちらではけんか、こちらでは泣いている声、先生の声と友達の声、先生の言葉がけに対する子ども達の声・・・。たとえ自分からの言葉がまだ出ていなくても、クラスでの全体の言葉の流れが、言葉を生み出し発しさせる”感情の動き”を起こさせます。

「今日のプールは中止でーす」「えー!」「どうしてー?」
「雨が降ってきたからね」「やだー」「はいりたーい」・・・というような、ごく自然な言葉のやり取り。そんな中で気持ちは、この全体の言葉の波に乗るように動き出します。この気持ちの動きは、まだ言語にはならずとも言葉の発芽と言っていいものです。

 教室やご家庭の「学習の場での言葉」と「日常での言葉のやりとり」、言語トレーニングとして何れにもそれぞれに貴重な要素があります。ですから、何れの場も大切にしていきましょう。両者に共通に言えることは、言葉とは、人と人との関わりにおいてじっくりていねいに「育てていくもの」だと言うことです。
 

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321.日常の言語

321.日常の言語

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 教科の個別の学習自体が言語トレーニングになっています、ということを昨日お話しました。今日は、日常における言語トレーニングの意味合いについて考えてみます。

 日常における言語トレーニングのメリットは、こんなところに求められます。

・日常はまさに実際の場であるので、具体的なものや状況と言語が直結しています。
 
「百聞は一見にしかず」の言葉のとおり、そのもの自体と言葉との直結は言葉の理解を深めます。「ピン!とくる」というのがそれです。学習の場では、記憶をたどって想像で言葉を理解するしかありません。その記憶と想像を助け補うために、教室では絵や動画を駆使しているわけですが。これは、なるべく言語のやり取りの場を日常に近づけようとする努力です。

・日常はまさに実際の場であるので、話し手にも聞き手にも感情が伴います。

 話そうとする、つまり言語を発しようとする動機付けは、「必要性」と「感情」です。「必要性」も言ってみれば、「言いたい」「言わなければ」という感情です。相手への感情、対象への感情、事態への感情、状況に対する感情、これが日常の場では当然ですがリアルです。

 この、感情がリアルに動きやすい日常は、言葉を発せさせ、感情語を獲得させる絶好の場です。「あついね」「さむいね」「きれいだね」「おなかがすいたね」「のどがかわいたね」「つかれたね」「すごいね」・・・などのごく日常的な感情語からはじめ、「なつかしい」「梅雨、うっとしいですね」「今日は、さわやかね」・・・。

 さらに「人のあたたかさ」「言葉のあたたかさ」「風の音のなぐさめ」「都会の冬の冷たさ」・・・最後は詩のレベルですが、その基礎はやはり日常語から学んでいくものです。

 どの分野でも基礎を学べば応用や予想、想像が可能であるように、感情語においても基礎から育てていけば、自分とは異なる相手や第三者の感情を理解したり、経験していないことも想像する、といういことができるようになります。

・・・こう考えてくると、言語を育てるトレーニングと感情を育てるトレーニングとは表裏の関係にあるようですね。今あらためて、つくづく感じます・・・。そうですね・・・(つづく)。

 

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320.宿題:叱らないで・・(つづき)

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 きのうの生徒さん、「長男」・・・「長い男の子」だけでなく、楽しい例は他にもあります。

「人工」の反対語は?・・・「・・・?・・・人工衛星!」
「うーん。人工は人が作ったものだから・・・」「人作!」。知恵を総動員して答えます。

「山や川や海は、人が作ったものではないよね。そういうものを・・・?」「・・・?」
「自然って言うよね。だから、人工の反対は、自然」「ふーん、自然か。そうなんだ・・!」

「そうなんだ」と言いながらも、言葉としてピンと来ていない様子です。ですから、同じワークを宿題にして、同じような説明をもう一度ご家庭でも繰り返してもらいます。そのためにも、生徒さんの反応やこちらの説明をワークの余白にメモしながら授業を進め、親御さんにも細かく報告します。楽しく、笑いながらの報告です。

「未来の反対は?」「天国!」
どういう回路か、この生徒さんの中ではこういう理解になっています。何か、遠い次元のものとの結びつきなのでしょうか?定かではありません。
そこで、具体的に説明します、
「今、○○くんは小学校6年生でしょ。それが、中学生になって、高校生になって、大人になって・・・と、今から先のこと、今から後のことが未来。そして、小学校2年生だったり、幼稚園だったり、赤ちゃんだったときが過去。だから、未来の反対は、過去!」

「かこ~?!」なんだか初めて聞くことばであるような反応です。でも、どこかでは見聞きしているようで、その場で教えなくても漢字では書くのです。生徒さんの中には、語彙がぱらぱらと、関連しないで入っているのです。

 関連していない語彙、しかしそのことをマイナスに捉えないでプラスに捉えましょう。関連していなくとも、とにかく語彙は蓄えらていっているのです。そもそもこの生徒さんの問題は、語彙が極端に少ないことにあり、そこからのスタートだったのですから。

 国語に限らず、こうして学習を日々繰り返す、この言葉のやりとり自体が大きな言語トレーニングになっています。まだ関連していないところがあるとは言え、ずい分関連付けられてきてはいます。

 日常会話ももちろん言語トレーニングになっていますが、学習の場での言葉のやり取りは文字を通し、図を通し、またゆっくりと言葉を選んで進められますから、視覚的にも聴覚的にも、トレーニングの密度は日常よりも高いものとなります。

 しかも、日常では経験しないさまざまな世界を切り取って対象とする学習においては、日常では触れない言葉を経験することができます。そこからやがて、抽象的な言葉や概念的な言葉も獲得していくことが出来ます。

 叱らないで学習させる、ましてや楽しく学習をさせれば、子どもは聞く耳を持ち続けることが出来ます。反対に、学習を苦痛にするようになると、生徒さんはまるでスイッチを切るかのように脳の働きをストップさせてしまいます。

 お子さんの名答を楽しみ、一緒に笑いながら、学習に取り組んでいきましょう。その方が脳はいっそう活性化されてずっと効果があがります。

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