399.困ることありません!

399.困ることありません!
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 関東地方、今日も寒い一日でした。明日は、雪の予報ですね。

 テレビのある料理番組で、残った食材を利用したおかずを紹介していました。アナウンサーが「お鍋のあとの残った、白菜、水菜、白滝、お餅、鶏肉・・・、って困るんですよね」と発言したら、講師の料理家が「困るなんて、言ってはいけません。そこから、いろいろなアイディアが湧いてくるのです」という内容のことを言っていました。

 さすがですね、特殊教育でも同じことが言えます。「あれができないんです」「これができないんです」と相談されると、「困りましたね・・・」というより、「課題が明確だな」と思います。そして、料理ならレシピに当たる、指導プログラムを発想します。

「こんなものばっかり、好きなんです」とか「これしかやらないんです」という悩みを持ちかけられると、「そう、それが好きなんだ」と指導の糸口を得たような喜びを感じます。好きなことから始めることほど、効果があがるものはありません。生徒さんの好きなものをつかんだら、授業を成立させることは半分以上成功したものと思ってよいでしょう。

 たとえば「ビデオばかり見ていて、本当に困ってしまうのです」と言われる生徒さん、「そうですか、困りましたね」、と言ってしまえばそこまでですが、そんなお話を聞くといろいろと質問が浮かんできます。

「どんなビデオが好きなのですか」:好きなものや求めているもの傾向がわかります。年齢も体も大きな男の子が、”ディズニーが好き”というようなこともあります。そんな気持ちを知ってあげることも療育の上では役に立ちます。

「好きなビデオは自分で選ぶのですか」:タイトルの文字を見て選ぶのか、絵を見て選ぶのか、自分なりの区別の手がかりがあるのか、意志を持って自ら積極的に選ぶという能動的行動ができていることがわかります。それだけの意欲とエネルギーがあることも確認できます。

「ビデオの操作はひとりでするのですか」:機械の操作を記憶して適切に行う知的能力と指先の巧緻性が備わっていることがわかります。ここにも「見たい!」という意欲と見るためには「がんばる」だけのエネルギーがあることが確認できます。

「どのくらいの時間見ているのですか」:集中力と持続力を知ることができます。

「どんな時間に見ているのですか」「ビデオ以外の時間は、どんなことをしているのですか」:生活リズムを知ることができます。もし生活リズムが整っていないのであれば、好きなビデオ鑑賞の時間をうまく利用して、生活リズムの立てなおしを図ることもできます。

 このように、一見困ったことからは、いろいろなヒント、問題解決のための糸口を見出すことができます。そう、だから「困るなんて、言ってはいけません」、なのです。

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398.英語の語順も

398.英語の語順も
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 a car に new を加えて、「新しい車」とするには、 new a car それとも、a new car? 
 このような基礎問題でつまずいてしまうケースがあるのです。

 問題集にはこれと同様に、「古いラケット」「良い本」「アメリカ製の車」を英語にする問いが並んでいます。

 文法的には、「不定冠詞+形容詞+名詞」の順に語を並べればいいのですが、このようなレベルのことは文法的に理解するというよりは、フレーズで覚えていくほうが容易です。耳慣れない文法用語を覚える間に、a new car、an old racket、 a good book、an American car・・・、と繰り返し発音して感覚的に覚える方が効率的です。

 しかし、英語の導入時につまずいたり、はじめから苦手意識を持ってしまうと、基礎の学習させ十分に行うことができずに、かえって、文法的なややこしい取り組みをすることになり、いっそう英語から遠ざかってしまうことがあります。

 きのうの国語の学習ではありませんが、とにかく量的に繰り返し繰り返し、見て、書き、発音していくことが必要です。苦手意識さえ持たさなければ、気持ちよく繰り返すことができます。

 記憶することが苦手な生徒さんもいます。その場合は、必要以上に覚えるように迫らないことです。覚えることが苦手だったら、見ながら書くだけでもいいのです。とにかくある程度の量に触れていきましょう。そうしている間に、見慣れていきます。また書き慣れ、発音し慣れていきます。

 記憶できなければ、学校のテストにはしばらくの間努力が反映されないこともありますが、そこで焦らずに、見る・書く・発音する、を繰り返していきましょう。テキストのストーリを日本語で把握しておくことだけでも意味はあります。

 そんな学習を通して、記憶することも次第にトレーニングされてきますし、英語のスタイルが視覚的に、聴覚的にまた運動感覚として体得されてきます。すると、教科書を開いたときに、単語がポンと目に入ってくるようになります。そして、少々文法的な説明も少しずつ理解できるようになってきます。

 アルファベットの羅列が、単語の並びとして見えてくるまで、ここであせらず、たんたんと練習を積み重ねていきましょう。

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397.助詞の学習

397.助詞の学習
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 「明日午前はいない、昼(   )出かける予定なので。」
 「明日午後はいない、昼(   )出かける予定なので。」

 (  )の中には、「まで」と「までに」のどちらが入るのでしょう?これは、きのうのなぞなぞではありません。小学校6年生の国語の問題です。単元「言葉って、おもしろいな」からの出題です(教科書わかるわかるテスト:朋友出版)。

 「学校の教室(   )勉強する」
 「学校の教室(   )いる」
 (  )の中には、「に」と「で」のどちらが入るのでしょう?先の午前・午後の問題の前の問いに比べて、これは、かんたんですね。午前・午後の問題では、講師としても一瞬ドキッとしました。落ち着いて考えて、納得しましたが。

 ところが、国語を不得手とする発達障害をもつ小6の生徒さんが、5問中5問全部正解しました。二者択一の問題ですから、まぐれもあるかもしれません。でも、全部まぐれとは言えません。しかも、両方を読み比べて考えている風もありましたから。答えの理由までは明確に説明できなくても、きっと理解して正解したのだと思います。

 幼児期から、語彙が少なく、言葉での表現や理解に困難を示す生徒さんでしたが、在籍する普通学級の進度に合わせて国語の学習も進めてきました。教科書の読みをご家庭でも繰り返し、市販のワークには2回ずつ取り組み、理解しいくい問題には再度取り組む。意味の流れを把握させるためには、必要に応じてオリジナルワークで補充する。

 こんな進め方で、対応してきました。本人の好きなのはやはり漢字の問題ですが、読解や文法、言葉の言い回しの学習にも嫌がらずに取り組んできました。

 ここまで取り組めてきた理由は、教室でもご家庭でも叱らずに、また回答を迫らずに指導してきたことにあります。わからないところは回答を示し、短時間で効率よく学習を進めてきました。ですから本人も困らずに、またイライラすることなく取り組めたのでしょう。

 理解が不十分なところはまだまだあります、しかし、この6年間、たくさんの文章の読み書きに当たってきました。

 言葉を駆使するその量と経験が、言葉の自然な流れを獲得させてきたのでしょう。量だけでなく、質的経験から得るものも大きいと思います。理解が不十分だからと言って初歩的な文章にとどまっていては、学習能力もそこでとどまってしまいます。内容的にも難易度的にも年齢とともに更新させていくことは必要です。

 そんな中で、助詞も言葉の自然な流れとして獲得されてきたのでしょう。もちろん、まだ完璧ではありません。でも言語能力を駆使することによってこそ、言語能力は発達していくのです。発達したところで少し戻り、基礎を固めながら、さらに発達を促していきましょう。ここであせらず、楽しみながら。

 
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396.なぞなぞ考

396.なぞなぞ考
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 造形リトミック・メソードの「歌唱造形」は、日本の伝統遊び「えかき歌」を科学的に方法論化したものですが、伝統遊びには学ぶべきことが多々ありますね。きのうブログを書きながら、「なぞなそ」の面白さも改めて感じました。

 誰かからなぞなぞで、「・・・・するもの、なーんだ?」となぞをかけられたら、ちょっとドキドキしながらも一生懸命考えます。その間はドキドキしますが、答えられれば歓声をあげて喜びます。わからなければ教えてもらって、「あっ、そうか」と納得します。

 そして今度は、誰かから聞いたなぞなぞを自分が他の人に問うてみます、「・・・・するもの、なーんだ?」と。自分が答えを知っていて、相手が一生懸命考えているというのは、何とも優位に立てます。相手が考えている間、こちらはワクワクしながら待ちます。

 相手が答えられたら、「あたり!」と言っていっしょに喜び、相手がわからなかっりしたら、こちらは心からゆとりを示して、「それは、・・・でした!」と意気揚々と教えてあげます。

 「なーんだ?」という、なぞなぞ独特のリズムもいいもんですね!これもひとつの歌ですね。

「生まれたときは、4本足。さいごは3本足のもの、なーんだ?」こんなのも、ありましたね。答えは、「人間」。生まれたときは、這い這いの4本足で、年をとったら杖をついて3本足ということです。答を聞くと、「なんだーっ」ということも多いのですが、そこがまた面白いところですね。

「下は大火事、上は洪水、なーんだ?」答えは、「おふろ」。今は蒔きで焚くお風呂はイメージしにくいので、このなぞなぞはしだいに消えていくかもしれません。

 子ども達の口を通して言い伝えられてきたなぞなぞ、まさに口承文化のひとつです。

 1対1で遊ぶこともあれば、1対多、また多対多で遊ぶこともあります。気持ちを合わせて、ドキドキしたり、ワクワクしたり。すばらしい、コミュニケーションツールですね。こうして、問いも答えもわかっているものを繰り返し繰り返し、行っていくのです。その時々の、人の反応が面白おかしいのです。

 なぞなぞは、
・かんたんな言葉から、映像をイメージする遊びでもあります。
・ひとつのものを異なる角度から見る遊びでもあります。そのとんち的要素は、比喩にも通ずるセンスです。
・繰り返し繰り返し、記憶して行われる言葉遊びです。

 楽しみながら、私達は知らず知らずのうちにこんな学習をしてきていたのですね。なぞなぞ、見直しました・・・雑感。

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395.だれかに伝える

395.だれかに伝える
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 中央線の中、ドアの上あたりに液晶画面があって、時折「大人の60秒講座」が流れます。クイズ形式なので、興味をそそられます。きのうは、
「江戸時代の火消しの仕事は、水で火を消すことともうひとつは何でしょう?」というものでした。

 もうひとつは・・・、隣家を壊すことだそうです。燃えやすい木造の家を壊すことで、延焼を防いだのだそうです。

 ふーん、そうなんだ、と知りました。そう感心すると、だれかに教えてあげたくなります。ちょっとしたことでも、知ることは楽しいですね。それをだれかと、また楽しめればもっと楽しいですね。クイズ形式であることもまた楽しめます。

 お子さんとそんな経験をしたら、いっしょにだれかに教えてあげましょう。
「江戸時代の火消しの仕事は、水で火を消すことともうひとつは何でしょう?」と今度は自分の口で、自分の言葉で、お父さんかお母さん、または兄弟にクイズを出してあげましょう。

 出来事を再生して語ることは、記憶の学習になります。まず、その場で聞いて(見て)記憶する。さらにだれかに語ることによって、記憶が確実になります。2度目の記憶は、いったん再生というプロセスを経た後の記憶ですから、いっそう記憶は確たるものとなります。

 さらに自分の言葉によって語ると言う能動的な行為を通して、いっそう記憶は確実なものとなります。

 昔ながらの子どものなぞなぞ遊びは、面白おかしく楽しみながらも、こんな記憶の要素を十分に含んでいるのですね。

「江戸時代の火消しの仕事は、水で火を消すことともうひとつは何でしょう?」、相手が「何だろう・・・?」と考えている数十秒間は、答を知っている者としてはちょっとした優越感も持てて楽しいものですね。

 相手が、わかったら「すごい!」とほめ、もしわからなかったら優しく教えてあげましょう。だれかに教えてあげることにも、たまには優越感を味わえますね。

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394.笑顔、気持を和める

394.笑顔、気持を和める
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 小田原の「寿獅子舞」、江戸期から受け継がれて来たと言われています。先日折あって、それを間近に見ることができました。この舞には、単純なストーリーがあります・・・、

・・・里に下りて遊びつかれた獅子が眠っているところにおかめとひょっとこがやってきました。打ち仕留めて食べてしまおうと相談して一撃を加えたところ、獅子を起こしてしまい、逆に獅子に追われて逃げていきました・・・(インターネット:寿獅子舞より)。

 現在の形に到るまでにはいろいろとアレンジもあったようですが、お囃子と掛け声と、獅子とおかめとひょっとこの滑稽な動きによる素朴な芸能です。

 それでも不思議と獅子頭や面をかぶり、それが動き出すと、そこには獅子やおかめ、ひょっとこが実在するかのように現れ出ます。面の不思議ですね。中でも最もインパクトがあったのは、おかめです。皆さんもご存知の、あの目を細めて口を吊り上げたようにして笑っているあのおかめ顔です。

 笑顔を見ていると、こちらも笑顔になります。生後間もない乳児でも、笑顔と怒り顔との弁別をしているという実験報告がありますが、私達は笑顔を見ると、気持も和むような学習をしてきています。しかもそれは、乳児の実験にもあるように、相当初期の時期から獲得しているようですね。

 教室に、人の顔はもちろん、動物であれ虫であれ、鳥であれ魚であれ、必ず「笑っている顔」にする生徒さんがいます。知的障害や発達障害を持つお子さんの多くは平和主義で、争いごとやマイナスの出来事を嫌います。通常以上に平穏への強い志向があります。環境が平穏であることによって、自己の平穏を保つのでしょう。環境の平穏に多少でも揺らぎがあると、自己の平穏も崩されやすいのです。

 おかめを見ていて、笑顔に感じ入る人間の作用に驚きました。そういう意味で、生徒さんも、笑顔の絵や写真を生活環境の目に見えるところにいつも貼っておかれたらどうでしょう。最近、無謀な交通行為を戒める目的か、隈取をされた怖い目の顔がよくバスの側面に貼られているのを見かけますが、ちょうどその逆です。

 気持を和ませてくれる笑顔を、いつも見えるところに貼っておきましょう。私達もなるべく笑顔を見せましょう。気持を和ませ、気持に働きかけるような笑顔を。来月は、そんな作品作りを試みてみましょうか・・・。

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393.知的障害:書字への導入(記憶)

393.知的障害:書字への導入(記憶)
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 この1週間は、書字について改めえ考えてきました。巧緻性と空間の把握(構成も含め)の両方の機能が保障されれば、文字を書くことはできます。ただし本当の意味でのひとり書きのためには、さらに文字を正確に記憶していることが必要です。

 巧緻性と空間の把握の機能が保障されていても、書くべき文字が頭の中になくては、ひとり書きにはいたらないからです。そこまででは、お手本を見て書くという模写の段階にとどまります。

 しかし、なぞることはできても模写することはできないというケースがあるように、なぞり書きと模写との間の壁は意外に高いのです。しかも、空間の把握ができていないということは、傍から認識されにくいために、そこで大きなつまずきやストレスを抱えて文字嫌いや学習ぐらいになるケースは残念ながらとても多いのです。ですから、月曜日から昨日まで触れてきた書字へのプロセスはとても重要なことです。

 それを踏まえた上で、本当のひとり書きへと進めるためには、1文字1文字を記憶していくことが必要です。「あを書きましょう」と言われて、「あ、あの文字だ」とわかって初めて、「あ」が書けるのです。

 こう考えてくると、日頃文字を書くという行為において、私達はいろいろな機能を働かせ、いろいろな作業を連動的に行っているということがわかりますね。知的障害や発達障害をもつお子さんに対しては、この緻密な作用を細かく分析して、一つ一つ保障していってあげることが必要なのです。これが、特殊教育です。私はそこに、特殊教育の面白みと誇りを感じるのです。

 さて、では文字を記憶するにはどうしたらいいでしょう。・・・書字のための巧緻性のトレーニングや空間認知のための学習をしている間に、文字の読み学習はどんどん進めていきましょう。

・五十音表を読む。
・「あひるの あ」「いちごの い」のように、基本単語と文字とを連動させてイメージで記憶していく。
・好きなものの名前と文字を関連させて、イメージで記憶していく。
・絵本の読み聞かせを通して、文字に触れさせる。
・興味のある看板やタイトルを通して、文字に触れさせる。

 決して強要せずに、生活の中で文字にゆっくりと十分に触れていくことです。まずは、文字があるんだ(文字の存在)ということに気づかせ、興味を持たせ、見慣れていく環境を作っておかれると良いと思います。文字を覚える、学習するという前のそんな素地作りを大切にしていきましょう。

 
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392.知的障害:書字への導入(空間認知)

392.知的障害:書字への導入(空間認知)
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 ひらがなの書字(模写)ができるための条件は、空間の把握と手指の巧緻性です。ここ3日間は空間把握のトレーニングについて考えてきました。巧緻性は、空間認知のトレーニングを通して養われます。巧緻性は、運動の要素が高いのでトレーニングすればするほど機能は高まります。

 また巧緻性の問題は、鉛筆の持ちかたが悪いとか、手指の動きがぎこちないとか、傍から見ていて捉えやすいものです。ですから、お子さんがまだ上手に文字が書けなくても、がんばっていることは認めてあげることができます。

 それに対して、傍から捉えにくいのが空間を把握する機能です。紙の真ん中に、またはマスの真ん中に縦線を書かせようとしても、とんでもないところに書くことがあります。「ちゃんと見てるの?」「よく見て!」と言いたくもなるような状況です。しかし、お子さんはちゃんと見ていないどころか、相当真剣に見ているのです・・・、でも真ん中がどこなのかがわからないのです。

 真ん中がわからなければ、上も下も、右も左も、ましてや斜めなんて、それを捉えるのは至難のわざです。

 そこを理解してあげることが、何よりも大切です。本人は一生懸命に取り組んでいるのに、「そこじゃないでしょ!」となると、鉛筆を紙面に下ろすこと自体が恐怖になります。まず、鉛筆を置く最初のポイントがどこなのか、それがわからないのです。

 お子さんを書字嫌いにさせないためには、そこのところを理解してあげることです。ひらがなでつまずくと、当然カタカナや漢字の書字でもつまずきます。せっかく持っている力を損なわないためにも、ゆっくりと上手に書字へと導いてあげましょう。

 書字の前には、絵、絵の前には基本描画、その前には彩色やなぐり描き、どれも書字へといたるプロセスの大切なステップです。あせらずに、お子さんと楽しみながら一つ一つのステップを進んでいきましょう。

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391.知的障害:書字への導入(円描)

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 枠の中に十字形が描けるようになったら、今度は丸を描く練習をしましょう。なぐり描きがとても大切なプロセスであることは前にお話いたしましたが、これから練習する丸はなぐり描きとは少し区別してより形を意識して描けるように、大きな丸をトレースして描くことから練習を始めましょう。

 画用紙の中央にできるだけ大きな丸を太い線で描いてあげましょう。その上をくり返し、くり返し、トレースさせましょう。線からはみ出さないでトレースできるようになったら、丸をだんだん小さくしていきましょう。最初の丸の6分の1くらいの大きさまで小さくしていき、そのトレースができるようになったら、先に学習した十字形と組み合わせて、文字のトレースの学習に入りましょう。

 ひらがなの半分近くの文字は十字形を含んでいますが、それに加え、6割以上は丸(曲線も含め)を含んでいます。従って、十字形と丸が描ければ、ほとんどのひらがなは書けることになります。しかも、丸は多くの場合、縦線や横線、十字形とのつながりで書く場合が
ほとんどです。たとえば、「す」。十字形を描いてから丸を描き(回転)、下にすーっと伸ばします。

 ですから円描は、縦線、横線、十字形ほどには、ひとり描きの練習は必要とされません。もちろん、ひとり描きできるに越したことはありませんが。それよりも教室では、だ円や弧線を描く練習に進めることによっていろいろな形態の曲線が描けることようにと、書字プログラムを進めていきます。

 さあ、書字へのスタート!なぐり描き、縦線、横線、十字形、丸、曲線、ひとつひとつのプロセスに意味があります。楽しく、くり返しくり返し練習していきましょう。

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390.知的障害:書字への導入(十字形)

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 白い紙の上に縦線や横線が描けるようになったら、今度は縦線と横線を組み合わせて十字形を描きましょう。ひらがなの半数近くは、文字の中に十字形を含んでいます。なぐり描きを存分に行い、縦線描きや横線描きを十分に行ったように、十字形も楽しく楽に描けるようにくり返し練習しましょう。

 はじめに描いた横線が基軸となって、縦線の位置が決まります。十字形が描けるとは、まず十字形の形の把握ができて、その上でそれを再現できることです。十字形を描くなんてかんたん!と思われるでしょうが、書字へのつまずきを示すお子さんにはそこが難しいのです。十字形の横線は描けた、でも次の縦線の描き出しの位置がわからない。紙の上で迷子になってしまっているのです。

 十字形をどうにか描いているこんな段階で文字書きに進めてしまうと、本人は相当苦労をして文字を練習することになってしまいます。ともすると、書字嫌いになるおそれもあります。書字嫌いや漢字嫌いにさせないために、♪「よこたて、よこたて」といろいろな色のクレヨンで楽しくくり返し描きながら、十字形描に習熟させてあげましょう。

 この間、文字学習をしてはいけないということではありません。文字の読みを進めておくことは有効です。また、手を添えて、無理なく書かせることも有効です。無理さえさせなければ、お子さんの興味の向くままにどんどん進めてあげて全く構いません。

 しかし、なぞり書きや介助書きはできても、「ひとり書き」は難しいというケースがあるのです。空間の認知に困難を示すタイプのお子さんの場合です。本当に「ひとり書き」の機能を獲得させるためには、何もない空間に楽に十字形が描けるような、認知と巧緻性の機能を十分に保障していってあげることがとても大切なのです。

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