405.描けたら色をぬりましょう!

405.描けたら色をぬりましょう!
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 きのうの「ひよこ」の描画のつづきです。介助描きから、どうにかひとり描き出来るようになった生徒さんの作品、マルがゆがんでいても当然です。

 それをどうやって整った丸にもっていってあげるか?

・ひとつは、講師の意識の問題です。ゆがんだマルでも、まずは描けたことを評価するべきだとお話しました。そのとおりです。しかし評価した上で、講師としてはここのままで”よし”としないことです。次のステップへとさらに目標を高めていきましょう。

・ふたつめは、次の目標へと到達させるための技術を講師がもつことが求められます。ただ”がんばりましょうね””もっときれいに!”では、目標へはなかなか到達できません。
リズム造形のバリエーションは、認知能力と描画能力を確立させ、上達させるための方法論です。これに基づいて、繰り返し楽しみながら、描画技術を向上させていきます。

 このあたりが、講師の力量が問われるところです。教室では講師の力量を等しく水準以上に引き上げるために、毎月ケース会議を欠かさず行っていきます。

 さあ、生徒さんが一生懸命に描いたひよこの絵、やがては少しずつ整った形で描けるようにトレーニングを重ねていきますが、この段階で水彩絵の具による彩色をお奨めします。彩色は、多少手を添えてでも構いません。

 ひよこを黄色でぬり、くちばしはオレンジかピンク、からだとは異なる色でぬりましょう。そして、草を黄緑でぬってみましょう。

 そこには、ふんわりとやわらかいひよこと春の気配を感じさせるやわらかい草はらが現れでます。色には、線で描いたものをさっと面に変えてしまうような働きがあります。また、色は描いた対象物の特徴の大きな部分を占めているので、彩色することによって、描いたものが何であるのか、またどんなものであるのかを一目瞭然といったように描き手にフィードバックするのです。いわば、色の魔法です。

 子どもは、先生の賞賛の言葉と彩色によって返ってくる手ごたえによって、大きな満足を得ることでしょう。

ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 

nan

404.良さを見つけられてこそ

404.良さを見つけられてこそ
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 先日のセミナーでひとりの講師から、「○○くんはこれまで介助で描いていたんですけど、ひとりで描けるものがでてきました!」という報告を受けました。

 「それは、すごい!」と思いながらも、「たとえばどんなものが描けるようになってきたのですか?」と尋ねたところ、「ひよこです。・・・でも、きれいなマルで描くというわけではないんですよ。いちおうグルンっていうようなゆがんだマルでひよこの頭と体を描いて、まわりの草もここに描いてというと、グイーっと線を引くような・・・そんな描き方なんですけど」、とのことでした。

 これを聞いて皆さんはどう思われますか?

 「なんだ、そんなの描けるうちに入らないじゃない!」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんね。私もセミナーで時折、「ゆがんだマルでしか描けないんです!」「草っていっても、長めの線をただ描くだけなんです!」というような発言を耳にすることがあります。

 とすると、先にあげた講師は過大評価しすぎているのでしょうか?
 ・・・そんなことは、ありません。私はその報告を聞いて、「この講師は、生徒さんへの評価の仕方、言うなれば発達の捉え方を心得ている、講師としてその域に達したな」と感じました。

・たとえゆがんだマルであっても、何もない白い画面上にマルが描けるとはどういうことなのか?
・草に見立てて、画面上のいろいろな場所にいろいろな向きで直線が引けるとはどういうことなのか?

 特殊教育では、私達が当たり前に行っているようなことについて、それができるとはどういうことなのかを細かく分析できることが必要です。その分析的な尺度をもって、一つ一つの機能を育てていってあげる、ある意味それが特殊教育です。

 なぐり描きから、ゆがんだマルへ、そして整ったマルへ、そこまでに到るプロセスには、小さなさまざまなステップがあります。そういった発達のプロセスを分析的に捉えることができて初めて、ゆがんだマルをも評価することができるのです。普通教育でもそうですが、特殊教育においてはことに、発達をそのように分析して捉えられることが求められます。

 ゆがんだひよこを「描けます!」と評価できた講師は、発達をそのように分析して捉えることができているのです。そして、講師のこのような肯定的な評価は子どもに豊かで大きな自信を持たせることができます。講師が心からほめてこそ子どもの自信は育てられます。良さを見つけれられてこそ、子どもは育つのです。

ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 
nan

403.週末は・・・

403.週末は・・・
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 明日は土曜日、多くの方はお休みでしょうか?
 教室は土曜日が一番にぎやかな日ですが、それぞれのご家庭では週末を楽しみ、ゆっくり過ごしてまた来週への立て直しができるといいですね。

 土曜日の教室も、週末の楽しみであり、来週1週間の元気を蓄える場となっていてくれたら、とてもうれしいことです。

 小学校も中学校も高校も、また職場も、1週間が始まると日々あわただしく過ごされていることと思います。しかし、その1週間のあわただしさを土日の2日間をうまく利用することによって、もっとゆっくりとした落ち着いた時間にすることが可能です。

 たとえば、土日のうち一日はふだんできないお楽しみの時間に当てるとしたら、もう一日は1週間の整理と心身の休息に当てましょう。

 1週間の整理といっても、半日かけて行うほどの量はないはずです。せいぜい1時間くらいで済むことでしょう。この1時間を休日につくり出すかどうかで、次の1週間の流れが異なってきます。

 いつも忙しい忙しいと急かされていては、心身ともに疲労してしまいます。休日にこの1時間を作り出すことによって、そんな気ぜわしさから解放されます。机の上を片付ける、本棚を片付ける、おもちゃ箱を片付ける、ランドセルの中を整理する、・・・。

 それをしておくことによって、まず気持ちがすっきりします。また、片付いていれば、
明日からの行動がスムーズに行えます。ですから、あわてず、失敗や忘れ物も減ります。

 できれば、そんな時間を午前中にとりましょう。そして、午後は自由にゆっくりと。たんたんと普通にやればいいんだ、くらいの気構えの方が却って凝縮した仕事ができるものです。

 休日を生活の立て直しの日として、大切にしましょう。ほんの1時間の意識でいいのですから。

 
ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 

402.自らの中に動機付けを

402.自らの中に動機付けを
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 脳の活性化のために、いつもと違うことを心して行うとよい、という話を前に何かの本で読んだことがあります。たとえば、いつもとは違う道を通ってみるとか、入りなれているお店ばかりではなく時には初めてのお店に入ってみるとか、使い慣れているボールペンだけではなく時にはいつもと違うボールペンを買ってみるとか・・・。

 そう意味でも、今回歯医者さんに行ったことには大きな意味がありました。非日常のことを経験すると、異なる認識を得ることができます。また日頃感じていることを、異なる側面から改めて確認することができます。

 それは・・・、
「歯がきたないから、一生懸命磨きなさい!」というよりも
「歯がきれいだから、一生懸命磨きなさい!」という方がはるかに、歯みがきへの動機付けが高まる、ということです。

 これは学習においても全く同じです。
「できないんだから、がんばりなさい!」というよりも、
「得意なんだから、がんばりなさい!」という方がはるかに、学習への動機付けが高まる、ということです。

 これは、私たちの教室、発達支援教室 Elephas のモットーにそのまま通じることです。

・「楽しい」からのパートナー
・「新しく知る」からのパートナー
・「ちょっと簡単」からのパートナー

 その生徒さんにとって「楽しい」こと、その生徒さんにとって「新しく知ってうれしい」こと、その生徒さんにとって「ちょっと簡単」なレベル、それらを的を得て生徒さんに提示するのが講師の役割であり、腕の見せ所であり、やりがい、面白みです。

 口先だけで「得意なんだから」とおだてても、がんばる気持ちにはなれません。心から、「できた」「わかった」「得意だ」と感じさせること、学習のスタートはそこにあります。

「得意なんだから、がんばろう!」と自らの中に動機付けが働くようになれば、理想的です。言い換えれば、人から言われるのではなく自らのそんな気持ちになれること、私達が目指しているのはその辺りにあるのです!

ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 
nan

401.いいきっかけを!

401.いいきっかけを!
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 30分ほどの歯の処置をしてもらったら、思いのほかきれいになりました。そのことは、きのうお話ししました。数十年ぶりのことだったので、びっくりでした。きれいになったと思うと、何度も鏡で見てしまいます。そして、人にも話したくなります。今まで以上に歯もていねいに磨く気もちになります。歯みがきが、楽しみになります。

 学習もそうです。なにかいいきっかけがあると、いいリズムに乗ることができます。大変なところから立て直すのは、まさに大変です。うまくできた、簡単にできた、すぐできた、思いのほかよくできた、わかった、そんなきっかけが欲しいですね。

 ときに教室には、少々学習嫌いになってから来られる方もいます。でもそんな方に、1時間の短い学習体験で、いいきっかけを作ってあげられたらと思います。
「こんなに、集中できるとは思いませんでした」とか「初めてのところは苦手なのに」とか「こんなこともやってくださるのですか」とか・・・こんな声が聞けることは私たち講師にとって何よりうれしいことです。どのお子さんにも、学習のいいサイクルができればと思います。

 私もこれからは半年に1度くらいは、楽しみに歯医者さんに行こうと今、思っています。

 

ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 

400.授業を受ける側は?

400.授業を受ける側は?
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 何十年か振りに歯医者さんに行きました。どこが痛いというわけではなく、口腔衛生のために行ったのです。最近は機械もよくなったので痛くない、という予備知識もあって行ったのですが、やはり多少の不安はあるものです。通常通り、歯石を取り除きましょう、というあたりからスタートしました。

 とてもいい歯医者でしたが、直接処置をしてくれる歯科衛生士(?)の方は無言で処置を進めます。結構時間のかかるものですね。30分以上かかったでしょうか。痛くないとは聞いていたものの、無痛ではありません。多少歯茎に触れるような、神経に障るような痛みは時折あります。

 それでも、処置はたんたんと無言で進められます。

・今日はどこまでやるのだろう?
 下の歯だけ、それとも下の歯の右側だけ?・・・結局、上下左右、全部でした。
・全部で、何分くらいかかるの?
・うまく進んでいるのか?
・通常の人と比べてどうなのか?
・最初は、腕前にも少々不安がなくはありません、・・・内緒ですが。

 いつもは、講師として授業を行っている側ですが、時には何かを受ける側になってみるのも貴重な体験です。

 やはり処置の前に、どのくらい時間がかかるのか、どんなことをするのかの予告が欲しいですね。そうすれば、それなりの心積もりができます。多少の痛みも乗り切れます。

 →→授業では、終了時刻と、その日のプログラムを生徒さんに明示してあげましょう。そうすることによって、生徒さんも「もう少し!」と頑張れたり、「あと少しなら」と集中力を保つことが可能になります。

 処置の途中経過の解説も必要です。「きれいになってきましたよ」「ここは、少し手ごわいですね」「こっちは、きれいですね」・・・とか。そうでないと、処置がうまくいっているのかどうか疑問です。

 →→授業では、「きれいに描けたね」「ここは、もう少し伸ばそうね」とか評価を適切に伝えながら授業を進めましょう。
 次の課題の用意をするときも無言ではなく、「パソコン、次のプログラムを出すね」「10数えて、待ってようね」・・・など、今何をしているのかを簡潔に知らせてあげましょう。生徒さん自身は手を動かしていなくても、気持ちを一にして次の用意を待つことができ
ます。それは、集中時間の短い生徒さんの離籍を防ぐ一助となります。課題と課題の間の
間の持たせ方は、充実した50分の授業を構成する上でとても大切な要素です。

 処置を受ける側になって、生徒さんの気持ちが分かったような気がするところが多々ありました。無言の数十分の間、こんなことを思い巡らせていました。でも、今日の歯医者の処置には、結果的には大満足です。思いのほか、歯がピカピカになりました!さっそく、ほかの人に紹介してあげました。

ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 
nan

399.困ることありません!

399.困ることありません!
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 関東地方、今日も寒い一日でした。明日は、雪の予報ですね。

 テレビのある料理番組で、残った食材を利用したおかずを紹介していました。アナウンサーが「お鍋のあとの残った、白菜、水菜、白滝、お餅、鶏肉・・・、って困るんですよね」と発言したら、講師の料理家が「困るなんて、言ってはいけません。そこから、いろいろなアイディアが湧いてくるのです」という内容のことを言っていました。

 さすがですね、特殊教育でも同じことが言えます。「あれができないんです」「これができないんです」と相談されると、「困りましたね・・・」というより、「課題が明確だな」と思います。そして、料理ならレシピに当たる、指導プログラムを発想します。

「こんなものばっかり、好きなんです」とか「これしかやらないんです」という悩みを持ちかけられると、「そう、それが好きなんだ」と指導の糸口を得たような喜びを感じます。好きなことから始めることほど、効果があがるものはありません。生徒さんの好きなものをつかんだら、授業を成立させることは半分以上成功したものと思ってよいでしょう。

 たとえば「ビデオばかり見ていて、本当に困ってしまうのです」と言われる生徒さん、「そうですか、困りましたね」、と言ってしまえばそこまでですが、そんなお話を聞くといろいろと質問が浮かんできます。

「どんなビデオが好きなのですか」:好きなものや求めているもの傾向がわかります。年齢も体も大きな男の子が、”ディズニーが好き”というようなこともあります。そんな気持ちを知ってあげることも療育の上では役に立ちます。

「好きなビデオは自分で選ぶのですか」:タイトルの文字を見て選ぶのか、絵を見て選ぶのか、自分なりの区別の手がかりがあるのか、意志を持って自ら積極的に選ぶという能動的行動ができていることがわかります。それだけの意欲とエネルギーがあることも確認できます。

「ビデオの操作はひとりでするのですか」:機械の操作を記憶して適切に行う知的能力と指先の巧緻性が備わっていることがわかります。ここにも「見たい!」という意欲と見るためには「がんばる」だけのエネルギーがあることが確認できます。

「どのくらいの時間見ているのですか」:集中力と持続力を知ることができます。

「どんな時間に見ているのですか」「ビデオ以外の時間は、どんなことをしているのですか」:生活リズムを知ることができます。もし生活リズムが整っていないのであれば、好きなビデオ鑑賞の時間をうまく利用して、生活リズムの立てなおしを図ることもできます。

 このように、一見困ったことからは、いろいろなヒント、問題解決のための糸口を見出すことができます。そう、だから「困るなんて、言ってはいけません」、なのです。

ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 
nan

398.英語の語順も

398.英語の語順も
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 a car に new を加えて、「新しい車」とするには、 new a car それとも、a new car? 
 このような基礎問題でつまずいてしまうケースがあるのです。

 問題集にはこれと同様に、「古いラケット」「良い本」「アメリカ製の車」を英語にする問いが並んでいます。

 文法的には、「不定冠詞+形容詞+名詞」の順に語を並べればいいのですが、このようなレベルのことは文法的に理解するというよりは、フレーズで覚えていくほうが容易です。耳慣れない文法用語を覚える間に、a new car、an old racket、 a good book、an American car・・・、と繰り返し発音して感覚的に覚える方が効率的です。

 しかし、英語の導入時につまずいたり、はじめから苦手意識を持ってしまうと、基礎の学習させ十分に行うことができずに、かえって、文法的なややこしい取り組みをすることになり、いっそう英語から遠ざかってしまうことがあります。

 きのうの国語の学習ではありませんが、とにかく量的に繰り返し繰り返し、見て、書き、発音していくことが必要です。苦手意識さえ持たさなければ、気持ちよく繰り返すことができます。

 記憶することが苦手な生徒さんもいます。その場合は、必要以上に覚えるように迫らないことです。覚えることが苦手だったら、見ながら書くだけでもいいのです。とにかくある程度の量に触れていきましょう。そうしている間に、見慣れていきます。また書き慣れ、発音し慣れていきます。

 記憶できなければ、学校のテストにはしばらくの間努力が反映されないこともありますが、そこで焦らずに、見る・書く・発音する、を繰り返していきましょう。テキストのストーリを日本語で把握しておくことだけでも意味はあります。

 そんな学習を通して、記憶することも次第にトレーニングされてきますし、英語のスタイルが視覚的に、聴覚的にまた運動感覚として体得されてきます。すると、教科書を開いたときに、単語がポンと目に入ってくるようになります。そして、少々文法的な説明も少しずつ理解できるようになってきます。

 アルファベットの羅列が、単語の並びとして見えてくるまで、ここであせらず、たんたんと練習を積み重ねていきましょう。

ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 
nan

397.助詞の学習

397.助詞の学習
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 「明日午前はいない、昼(   )出かける予定なので。」
 「明日午後はいない、昼(   )出かける予定なので。」

 (  )の中には、「まで」と「までに」のどちらが入るのでしょう?これは、きのうのなぞなぞではありません。小学校6年生の国語の問題です。単元「言葉って、おもしろいな」からの出題です(教科書わかるわかるテスト:朋友出版)。

 「学校の教室(   )勉強する」
 「学校の教室(   )いる」
 (  )の中には、「に」と「で」のどちらが入るのでしょう?先の午前・午後の問題の前の問いに比べて、これは、かんたんですね。午前・午後の問題では、講師としても一瞬ドキッとしました。落ち着いて考えて、納得しましたが。

 ところが、国語を不得手とする発達障害をもつ小6の生徒さんが、5問中5問全部正解しました。二者択一の問題ですから、まぐれもあるかもしれません。でも、全部まぐれとは言えません。しかも、両方を読み比べて考えている風もありましたから。答えの理由までは明確に説明できなくても、きっと理解して正解したのだと思います。

 幼児期から、語彙が少なく、言葉での表現や理解に困難を示す生徒さんでしたが、在籍する普通学級の進度に合わせて国語の学習も進めてきました。教科書の読みをご家庭でも繰り返し、市販のワークには2回ずつ取り組み、理解しいくい問題には再度取り組む。意味の流れを把握させるためには、必要に応じてオリジナルワークで補充する。

 こんな進め方で、対応してきました。本人の好きなのはやはり漢字の問題ですが、読解や文法、言葉の言い回しの学習にも嫌がらずに取り組んできました。

 ここまで取り組めてきた理由は、教室でもご家庭でも叱らずに、また回答を迫らずに指導してきたことにあります。わからないところは回答を示し、短時間で効率よく学習を進めてきました。ですから本人も困らずに、またイライラすることなく取り組めたのでしょう。

 理解が不十分なところはまだまだあります、しかし、この6年間、たくさんの文章の読み書きに当たってきました。

 言葉を駆使するその量と経験が、言葉の自然な流れを獲得させてきたのでしょう。量だけでなく、質的経験から得るものも大きいと思います。理解が不十分だからと言って初歩的な文章にとどまっていては、学習能力もそこでとどまってしまいます。内容的にも難易度的にも年齢とともに更新させていくことは必要です。

 そんな中で、助詞も言葉の自然な流れとして獲得されてきたのでしょう。もちろん、まだ完璧ではありません。でも言語能力を駆使することによってこそ、言語能力は発達していくのです。発達したところで少し戻り、基礎を固めながら、さらに発達を促していきましょう。ここであせらず、楽しみながら。

 
ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール 
nan

396.なぞなぞ考

396.なぞなぞ考
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 造形リトミック・メソードの「歌唱造形」は、日本の伝統遊び「えかき歌」を科学的に方法論化したものですが、伝統遊びには学ぶべきことが多々ありますね。きのうブログを書きながら、「なぞなそ」の面白さも改めて感じました。

 誰かからなぞなぞで、「・・・・するもの、なーんだ?」となぞをかけられたら、ちょっとドキドキしながらも一生懸命考えます。その間はドキドキしますが、答えられれば歓声をあげて喜びます。わからなければ教えてもらって、「あっ、そうか」と納得します。

 そして今度は、誰かから聞いたなぞなぞを自分が他の人に問うてみます、「・・・・するもの、なーんだ?」と。自分が答えを知っていて、相手が一生懸命考えているというのは、何とも優位に立てます。相手が考えている間、こちらはワクワクしながら待ちます。

 相手が答えられたら、「あたり!」と言っていっしょに喜び、相手がわからなかっりしたら、こちらは心からゆとりを示して、「それは、・・・でした!」と意気揚々と教えてあげます。

 「なーんだ?」という、なぞなぞ独特のリズムもいいもんですね!これもひとつの歌ですね。

「生まれたときは、4本足。さいごは3本足のもの、なーんだ?」こんなのも、ありましたね。答えは、「人間」。生まれたときは、這い這いの4本足で、年をとったら杖をついて3本足ということです。答を聞くと、「なんだーっ」ということも多いのですが、そこがまた面白いところですね。

「下は大火事、上は洪水、なーんだ?」答えは、「おふろ」。今は蒔きで焚くお風呂はイメージしにくいので、このなぞなぞはしだいに消えていくかもしれません。

 子ども達の口を通して言い伝えられてきたなぞなぞ、まさに口承文化のひとつです。

 1対1で遊ぶこともあれば、1対多、また多対多で遊ぶこともあります。気持ちを合わせて、ドキドキしたり、ワクワクしたり。すばらしい、コミュニケーションツールですね。こうして、問いも答えもわかっているものを繰り返し繰り返し、行っていくのです。その時々の、人の反応が面白おかしいのです。

 なぞなぞは、
・かんたんな言葉から、映像をイメージする遊びでもあります。
・ひとつのものを異なる角度から見る遊びでもあります。そのとんち的要素は、比喩にも通ずるセンスです。
・繰り返し繰り返し、記憶して行われる言葉遊びです。

 楽しみながら、私達は知らず知らずのうちにこんな学習をしてきていたのですね。なぞなぞ、見直しました・・・雑感。

ーーーーーーーー
造形リトミック研究所
>>発達障害 知的障害 Elephas/エレファース 公式サイト http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール