30.今月のねらい


30.今月のねらい

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  

 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 教室の親御さんへの年度末のアンケートから、各ご家庭で親御さんが現在抱えていらっしゃる問題や課題を知ることができました(ご協力ありがとうございました)。その親御さんからのご希望になるべくお応えできるように、毎月新たなチャレンジとしてテーマを設定しています。

 10月のテーマは「身近なテクノロジー」、その中でも「家庭の中のテクノロジー=家電」です。今月は「家電と家具の区別がつかない」というご報告に応えて、テーマに「家電」を選びました。

 アプローチとしての着目は、両者の違い。(例外はありますが)電気で動いているものか、否か。即ち、コンセントにつながっているか、否かです。従って、今回はコンセントの付いている家電を中心に素材を用意しました。

 造形リトミックでは、楽しみながら描くことで、まず興味を持たせるところから始めます。造形リトミック・メソードの中の歌唱造形(無限に変わる絵かき歌)、これは1960年代に父の代に発表し、それ以降、親子で40数年にわたって作り続けてきましたので、すでに500曲を超え1,000曲に向かっています。

 今月はその中から、「テレビ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、携帯電話・・・・」を。携帯電話はちょっと家電とは異なるかもしれませんが、やはりコンセントに差し込むものということで、「携帯電話」も加えました。

 また、「家電」とは別ですが、秋ということで「お月見」「秋の七草」などを新しく発表しました。「家電」のように、形態を学び、用途や技術を学ぶテーマもあれば、このように季節やその行事、慣習に触れ季節を楽しむといったテーマもあります。いずれにしてもテーマによる学習は、一人ひとりの生活を生き生きと楽しくさせたいという気持ちから始めました。

 なお、「カタカナの書字の歌」が前月の書字シリーズの一環として加わっています。

 私たちは、歌という身近なものを活用して、楽しく、やさしく、ちょっとから、だれもができるということを願っております。父の願いは、「10000人に一人の天才のためでなく、残りの9999人を落とさないメソード」でした。なかなか高いハードルですが、この目標に限りなくアプローチしてきたいと思っています。

* 写真はたまたま見つけた雲です。何に見えるでしょうか? 感じ方は様々だと
  思います。私は、「ブダイ」「ドラゴンの頭」「新幹線の先頭」・・です。
 「ちょっとから楽しむ!」ことで、個性と可能性を広げることが願いです。

造形リトミック教育研究所
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29.「メソッドって? 流派?」(つづき)


29.「メソッドって? 流派?」(つづき)

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

(つづき)
 父が創作した造形リトミックの「歌唱造形」は、無限に変化する絵描き歌です。従来の絵かき歌の逆を行くアプローチです。はじめはだれが描いても同じ形態のものが出来上がる基礎描画からスタートしても、そこから一人ひとりが好きな形態や様式で描けるようにしたいという願いが込められています。

 またそれまでの絵かき歌はリズムにのって描いていったり、俳句や短歌のような語調に合わせて描いていくものが多かったようですが、「歌唱造形」ではいわゆる「歌」を、しかも世界の旋律を「歌」にしています。

 父は敗戦で、満州から両親と三人で引き揚げてきました。16歳のときでした。
祖父が築いた財産、土地、家、その他の資産のすべてを失い、空襲で焼け野原となった東京に渡ってきました。そんな父の願いは世界平和でしたので、世界の音楽を
取り入れたのです。一つ一つの曲は魂と祈りの込められたメッセージです。

 またさらに父の息子として感心するところは、作詞作曲には著作権がありますが、一般的な絵には権利がなかったので、絵を描かれた方に作詞の権利を差し上げる形をとっていたことです。多くの絵描きの方が関わっていましたが、厳しい世界ですので名前は存じ上げていない方がほとんどでした。

 さて私たちは、その後を引き継ぎ、
・知的なハンディキャップを持つ方
・発達にハンディキャップを持つ方
・さまざまな病気で運動や記憶などにハンディキャップを持つかた
・不器用だったり緊張が高かったりして、失敗経験が多く苦手意識のある方

・・・このような方たちの教育や、脳の活性化や機能訓練として役立てるように改良を加えてきています。ある意味遊びから療育法へと、総合的で、楽しく、簡単で、誰にでもすぐできる内容を目指しています。

 また、その時その時のトレンドや発見なども考慮して新しいテーマをどんどん増やしています。ご期待下さい。ないものは作りますので、リクエストください。

 「メソード」として一番大切なことは、その担い手が自らそのメソードを体験し、本当に社会に役立つものだと確信してほれ込んで打ち込むことです。気の進まない「メソード」をやってみても効果は半減です。

 造形リトミック研究所では、日本の「伝統絵かき歌」の先輩方から学び、父の「歌唱造形」の新しい理論を引き継ぎ、「メソード」をさらに磨いている最中です。生徒さん方からのリクエストや「楽しい!」「○○だ、うれしい!」といった声が、この営みにいっそう拍車をかけ充実させてくれます。

*写真は、神奈川県南足柄市大雄町にある、曹洞宗 大雄山最乗寺の350段を超え る階段です。人里はなれた山中にあります。広大な修行の場で静寂な空間です。
 約600年前に最上段が完成しました。この景観です!!

*伊豆箱根鉄道大雄山線は、ローカル線で無人駅が多い線です。すいています。
 のびのび周りをあまり気にしないで乗れます。お勧めです!

造形リトミック教育研究所

28.「メソッドって? 流派?」


28.「メソッドって? 流派?」

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 メソッド【method】 広辞苑には、「方法。方式。メトーデ」とあります。

「○○メソッド」に対する私のイメージは、ある創始者いてさまざまな試行錯誤の末に勝ち取った方法、または偶然に出会った方法、というような感じがします。メソッドとは、簡単に言えばある意味ひとつの流派であるといつも考えています。

 造形リトミックは、創始者の玉野良雄が偶然出会った「伝承遊びの絵かきうた」に端を発しております。たった1分たらずの歌で、だれにでもひとつの絵が描けてしまうという遊びです。玉野良雄は、この遊びの中にある科学と可能性に着目しました。そしてさらにこの遊びの先を開拓していこうと、夫妻で数多くの創作絵描き歌を世に出していきました。今私たちが、さらにその先を目指しています。

 いろいろな研究や発明のほとんどは、さきがけを担った先輩たちの思いや成果が基礎になっています。そのあとを引き継ぎ、進めるのが後輩の役割だと私は考えています。

 絵かき歌は非常に面白いのですが、最初にだれが作ったのかわかりません。また、なぜ作ったのか、どうやって作ったのかは、想像するしかありません。子ども達を前に「鼻かいて、目ーかいて、口かいて・・・お顔ができた!」と口ずさみながら描いていたのが、いつの間にか歌になったのでしょうか?そしてそこにだんだん滑稽な歌詞が面白おかしく歌われるようになったのでしょうか?

 しかし何れにしても結果的に長く伝承されていることは、やはりそれに足る価値が絵かき歌にはあるからです。

 最初に絵かき歌が作られた時を想像してみましょう。作られた先輩は、きっと誰かに教えたくなったのではないかと思います。そしてその時、感動やサプライズ(驚き)、楽しみを満喫したのではないかと思います。

 また私の想像では、最初の先輩はおそらく続けていくつか作ったのではないかと思います。一般に人は、自分がほれ込んで作ったものが何かの形で役に立つのであれば、伝えたいと思うものだからです。そして、さらにもっともっと作りたくなるものです。

 明日は、造形リトミックの歌唱造形(絵描き歌)の発祥を振り返ってみたいと思います。

*写真は、神奈川県南足柄市大雄町にある、曹洞宗 大雄山最乗寺の350段を超え る階段です。人里はなれた山中にあります。広大な修行の場で静寂な空間です。
 約600年前に一段から上を目指して工事は始まっつたと感じました。

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27.ちょっと一休み:「アプローチ」という言葉


27.ちょっと一休み:「アプローチ」という言葉

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 よくアプローチという言葉を聞きます。広辞苑には、以下のようにありました。
 
アプローチ【approach】
 接近すること。働きかけること。「希望する会社に―する」
 学問・研究で、対象への接近のしかた。研究法。「自然科学的―」
 門から玄関までの間。また、その通路。
 陸上競技・スキーのジャンプの助走。スタートから踏切までの間。助走路。
 ゴルフで、グリーンに近い地点から打つ打ち方。アプローチ‐ショット。

 私はその言葉に、「いろいろな方法である目標に近づく」といったような感じを持ちます。

 時に目標に向かって立ち止まって方法を思案するときに、私はいつも○×の二進法的な考え方だけでなく「△」を心して考えるようにしています。ずば抜けた方法とか、ダントツな方法いうのはなかなか難しいので、少しずつ近づくという意味でこの「△」を大切にしています。

 いろいろな課題や問題を解決していく方法はひとつではなく、複数あります。
療育においても、その中で今その子どもに最も適した方法はどれかと考えてひとつを選択していくわけです。

 ある方法を選ぶということは、別な見方をすればそのほかの方法を(とりあえず)選ばないということです。そこには、あるひとつ方法を選んだプラスと他の方法を選ばなかったマイナスというものが常にあります。

 いつも「100点や100%をねらう」というような固い考え方でなく、まず気持ちをゆったりともちましょう。そして多少遠回りになっても、とりあえず今一番良いと思われる方法を選ぶというゆとりが大切です。

 また補助線志向もそのような考え方のひとつです。本当はまっすぐ進みたいが、道がないので一度右に折れてそれから左に折れて目指すべき道に進む、という考え方です。直線距離と道のりのような関係です。鳥なら、まっすぐ飛んでいけますが、人やワンちゃんは道に沿って目的地をめざします。

 たとえば富士登山を考えてみましょう。体力に自信があれば、一合目から徒歩で登っていくのもいいでしょう。多少不安であれば、五合目まで車で行ってそこから徒歩で登っていく方法もあるでしょう。もしかすると、頂上に立つことが目的であればヘリコプターという選択肢もあるのかもしれません。

 約二十年ぐらい前に、大学院の仲間数人で富士登山をしました。その中に台湾からの留学生で非常に行動的で何でも良くできる女性がいました。ただ足が悪かったので、松葉杖をいつも使っていました。ふだんは侍のように背中に松葉杖をかついで三輪のバイクに乗り、歩いている私たちを横目にあっという間に風のように通り過ぎて行ったものです。

 さてこのようなメンバーで、どのようにして富士登山という課題を乗り越えるか。この時は頼りになるダントツ頭も体格もよく、その上行動力もある兄貴分のような友達がいましたので、彼がいつもその場その場で一番合ったアプローチを考えてくれました。

 私たちはとりあえず行けるところまで行こう、という考えで登り始めたのです。途中から彼が彼女を負ぶったり、馬を使ったりしてどうにか七合目まで登ったことを昨日のようによく覚えています。
 
 たとえ頂上につけなくても非常に大きな満足となりました。頂上にたどり着けなかったということでは、結果としては「△」だったのかもしれません。しかし、そのことが大きなプラスになるというケースはたくさんあります。私達としてはそのプロセスはとても楽しく、今でも鮮明な思い出となっているのです。

・・・実はこの彼は常に私のお手本でもありました。ドーマン法というアウトサイドのメソードにほれ込んで一時アメリカの本部のスタッフとして勉強していました。帰国後は落馬した競馬の騎手の意識の回復に彼の仲間と二人で立ち向かい、
かなり奇跡的なところまで回復させたのです。どの医療機関からも回復不能と言われていたケースでした。

 回復に至るまでには計り知れない苦労と努力があったことでしょう。でも同じアプローチでも心底ほれこんで信じて実行するアプローチは、たとえ遠回りでも大きなすばらしい力を持っていますね・・・。

*絵は「大地・山・空・太陽・雲」という絵描き歌です。造形リトミック教育研究所のオリジナルです。「絵描き歌」は最初に誰が考えついたか、どんな思いでつくったか は想像するしかありませんが、未知の可能性を秘めている世界です。たった1分 たらずで、ほとんどだれでも楽しく描けるというのはすばらしいアプローチですね!!

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26.指導のポイント(9)


26.指導のポイント(9)「飽きる?」このことを常に頭の隅に

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 「飽きる」ということ、療育について考える時これもとても大事なことです。

 発達障害をもつ子ども達について、とかく次のようなことがよく言われます。

・こだわりが非常に強い
・いつも同じでないと我慢できない
・いつもと違うとパニックになる

 そのために、療育者は同じことばかりを指導しているということがあります。しかし発達障害をもつお子さん達も、やはり「飽きる」のです。そのことを知って、療育に当たることが必要です。

 「飽きる」ということは別の観点からみると、「自分の好きな事をさらに先に進めてみたい」ということかもしれません。「探求心」とも言えます。

 たとえばある子どもは電車が好きで、中でも中央線が好きだとします。いつもの通り中央線に乗っていると、ある日新型の車両が来た、そこで新型車両に乗ってみた。こんなきっかけから、さらに別の中央線にも乗ってみたいと思うようになるでしょう。また、いつも使っている駅よりも、先に行ってみたいと思ったりするかもしれません。

 たまたま他の路線との連絡のある駅で見かけた西武線や南武線、横浜線などにも乗ってみたくなる。

 いつもは快速に乗っていたが、たまたま目の前を通り過ぎた特別快速や通勤快速に乗ってみたくなる。

 また目の前を通過した特急あずさや特急かいじなどに興味が広がったり。

 さらにまた通過しただけだけど、たくさんの貨物を連結して引っ張っていたディーゼル機関車や電気機関車に興味が湧いたり。 

 このようにプラスの流れが拡大していくことは、とても大きなチャンスです。無理に学習を進めることはリズムを崩したり、大きなストレスなったりするのでマイナスですが、慎重になりすぎて、また固定観念に捉われて、同じことばかりをやっていることには、チャンスロスという大きなマイナスもあります。そのことを意識していなくてはなりません。

 もしできるのであれば、許容範囲の中でちょっとしたサプライズとして、いろいろ小さなことからチャレンジしていきましょう。小さなきっかけから、お子さんの可能性が広がっていきます。

*写真は、大宮にある鉄道博物館にあった「人車」です。人力車ではなく、線路の上を人が引っ張る「人車」が存在したことを初めて知りました。驚きでした。
 現代の便利な乗り物にいたるまでの苦労、願い、思い、喜びのプロセスの歴史を感じました。

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25.指導のポイント(8)


25.指導のポイント(8)「記録は常に破られる?」

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 今の方法が最高ではありません。常に新しいものにトライし、超えていくことが求められています。

 コンピュータなどまだなかった30年以上前、私は中学生でした。その頃は手動のタイプライターを打っていました。当時はこのような機械を扱うのはは早くて中学生ぐらいからで、小さな子どもが使うことはまず考えられませんでした。

 しかし現在はタイプソフトなどの開発により、五歳ぐらいの子どもでもコンピューターのキーボードでブラインドタイプをします。こんなことも、決して珍しいことではなくなりました。

 オリンピックで記録がどんどん更新されるように、テクノロジーも次々にこれまでの壁を乗り越えて行っています。それによって社会もどんどん変わってきています。

 療育者も、それに伴って積極的に革新的なものに取り組んでいかなくてはなりません。
 
 今や、電子マネーで交通機関を利用し、また買い物をする時代となりました。かつてのお金の学習と今の学習とでは、当然違いがこなくてはなりません。これまでのように、お金の種類を知り、お金を財布から取り出す学習はほとんど不要になってきます。それよりも、お金(金額)の多少や価値を知ることが学習の中心になってくるでしょう。

 何よりも良いことは、これまでは自立した買い物は難しいと思われていた人たちにも買い物のチャンスや楽しみが広がるということです。

 買い物に行く、新しくできたお店を覗いてみる、自分の好きなものを選んで買う、買う楽しみを知る、お土産を買う、誰かにプレゼントする、・・・いろいろな楽しみが出てきます。生活自体に、張りが出てくるでしょう。

  大切なことは、楽しむことです。こんな青年がいます。幼児期から造形リトミック研究所に通っているダウン症の青年ですが、今は成人して社会参加しています。当時の常識からすると、彼が携帯電話を使いこなすようになるということは
おそらく考えられなかったでしょう。

 しかしこの青年は携帯電話が大好きなので、いえ携帯電話が彼の生活の必需品になっているので、時間さえあれば自発的に操作しています。特に天気予報が非常に気になるので、一日に何度も天気予報を携帯電話で確認します。友達や知人の住所や情報も携帯電話に入っていて、折に触れ適切に利用しています。メールや写メール、インターネット・・・携帯電話に関しては、私よりもはるかに詳しいのです。

 もちろんパソコンやSuicaも、クーポン券も貯まったポイントも使いこなしています。彼の生き生きと、楽しく張りのある生活は、教室の彼に続く生徒さん達の目標です。

 「楽しむ」という力は、本当に一人一人の可能性を大きく広げていきますし、日々進歩していくテクノロジーはそれを適切に用いれば、より多くの人たちの夢を少しずつ実現させる力となります。

 *写真:昨日、埼玉県大宮市にある鉄道博物館にいってきました。サプライズです!!すごいです!!中央になんとターンテーブルがあるではないですか!中央にある蒸気機関車(C57:3つの動輪がデカイ!びっくり!大きな汽笛も良かったです!)と周囲の歴代の電車が語り合っているようでした。神田にあった旧交通博物館からは大きく変わりました。年間フリーパスは大人3000円、小中高生1500円、幼児600円、目玉です!!日曜日で混んでいましたが、童心にかえって楽しめました。1日で見るには特盛りでした。また、行きます!!

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24.指導のポイント(7)


24.指導のポイント(7)「裸の王様」になっていませんか?

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 指導者が一番陥りやすいのは、固定観念や知識偏重の落とし穴です。そこに嵌っていては、ブレイクスルー(壁を突破すること)はできません。

 「病気を診て人を見ず」という言葉があります。知識に偏重すると、当たり前のことも見えなくなってきてしまいます。

 かねてから療育の世界では、「自閉さん」「ダウンちゃん」という言葉がよく使われてきています。親しみを込めて言われているのかもしれません。しかし私には、とても抵抗があります。

 もし自分の子どもだったら当たり前のことですが、「○○ちゃん」と名前で呼んでもらいたいと思います。「自閉症」や「ダウン症」である前に、一人ひとりには、「○○くん」「○○ちゃん」という名前があるのですから。

 「自閉症の○○くん」ではなく、「○○くんは、自閉症」つまり「○○くんには、自閉症状がある」という認識の方が
療育における子どもとの関わりとして、本質的であると思います。前者には、子どもを「自閉症」というひと括りで捉えてしまう危険があります。すると、指導書の規則ばかりがひとり歩きしてしまいます。

・自閉症だから、いつも同じ対応をしなくてはいけない(親や指導者が言ったことは、覆してはだめ)。

・自閉症だから、ルールどおりにしなくてはいけない(ルールを変えたら混乱する)。

・自閉症だから、いつも同じ言い方で分りやすく話しかけなくてはいけない。「くつ、は・く!」「手、あ・ら・う!」

 こういった指導に拘束されてしまっている状況を時おり目にします。そのたびに、私は思います。

「この子は何を望んでいるのだろう」
「どんなことに興味があるのだろう」
「どんなことにわくわくしたり、気持ちを惹かれるのだろう」
それが一人ひとりの「テーマ」です。「テーマ」は、人に生きる力を与えます。

 生徒さんが言葉で伝えてくれなくても、生徒さんの反応や様子を見ていたり、親御さんから日常のようすを伺うことでわかります。一人ひとりが生き生きと生きるための「テーマ」は、生徒さん自身が示しています。

 多くの生徒さんは本当に好奇心や学習意欲が旺盛ですから、人対人としてその意欲にしっかりと付き合って行きたい、それが私たちの療育です。こちらも図鑑や専門誌で調べたり、インターネットで最新情報を求めなくては対応しきれないことも多々あります。

 「自閉症である」とか「ダウン症である」とかという前に、まずはこのような人として共に生きるものどうしとしての学習を大切にしていきたいと常々考えています。

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23.指導のポイント(6)


23.指導のポイント(6)「逆」という冷静な眼

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 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 行き詰まったときには「逆」を考える、これはひとつ思考の仕方の原点です。自ずと、思考に柔軟性が生まれます。

 学習指導での問題解決という視点で考えてみましょう。

・学習への不安が強い時期に自立を求める指導が優先する
 ←→実は傍らにいてあげて、やさしく安心できる指導が必要

・一人で考えるように指導する、「もっと考えて!」「ちゃんと考えて!」
 ←→実は言葉がけをして回答へと導いてあげる指導が必要

・全科目を平均的に解らせようとするする
 ←→実は1科目で何か成果を出させてあげる指導が必要

・指導者がどうしても教科書から離れられず、将来必要でないことを形ばかり指導している
 ←→実は教科書の内容を吟味、選択して指導することが必要

・学習中は注意を散らさないで30分、1時間と集中することを求める
 ←→実は障害のもつ器質的要素を理解し、本人の集中できる時間を計ってそこから集中時間を伸ばし、深める指導が必要

・姿勢が崩れたりだらけていると、「がんばれ!」とはっぱをかける
 ←→実は姿勢の保持困難や睡眠異常、その日暑かったり、泳いできたりなどで本当に疲れている場合もある。その時はプログラムを検討する。

・「早くやりなさい!」←→実はゆっくり進める指導が必要

・「この子にこんなことできますか!」力があるのにできることだけをやらせている
←→子どもの持つ力は一様ではなく、興味のあることや好きな教科の理解力や学習意欲は思いがけないほど大きい

・できるのに教科学習を全く無視している←→実は子どもの学習への欲求度は高い。興味に応え、知的好奇心を刺激するような指導が必要。理科も社会も。

 次のように、良い悪いでは判断しきれない「逆」もあります。

・経験的に、過去に指導した生徒さんと重ねてしまう
 ←→経験があるにもかかわらず、これまで指導した生徒さんと重ねられない

・いつも同じことだけをする(飽きる)
 ←→いつも違うことをしている(変化に対応できない・習熟しない)

 
 一見「熱心」というベールに隠れて、実は「逆」を行ってしまっている状況もあれば、状況に応じた判断の求められる「逆」もあります。名人と言われる人たちは思考が柔軟で、子供を中心にしてその時々の状況に最も合う形を選ぶことができる人たちです。私が師として尊敬している人から「目の前の子どもがテキストです」と教えられたことがあります。目の前の子どもが発している事柄を感性と分析力をもってキャッチしていかなくてはなりません。

 それに少し行き詰まった時には「逆」を考えて見ましょう。子どもから発信がストンと読み取れるかもしれません。「逆」というのは意外な近道なのです。

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22.指導のポイント(5)


「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 
 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

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22.指導のポイント(5)「教科指導、その他の指導どっち?」

 普通学級に在籍している生徒さんや、そうでなくても教科学習を中心としている生徒さんも、教室にはたくさんおられます。全科目を平均的に進められる生徒さんもいれば、勉強は苦手、がんばっているけれどなかなか効果が出ない、と困っておられた生徒さんもいます。

 後者の場合、どのように教科学習を進めていくか?

 まず一科目に絞って、成果を出させるように取り組みましょう。
「○○君は、漢字の読みが得意だ」、「算数の計算が早い」、「社会にはくわしいよ」・・・というような目標をもって。

 成果はもちろん自分の自信になりますが、親御さんから認められる、友達から認められる・・・というように周りの目が違ってきます。また親御さんにとっても、マイナスの充電(ストレス)を多少なりとも減らすという大きなメリットもあります。

 しかしながら発達が緩やか、また発達の偏りが大きくてなかなか教科学習になじみにくい場合は、思い切って教科以外でも好きなことからアプローチしていくこともひとつの方法です。 昔から「読み書き計算」と大切にされた3つのことがありますが、これは何も教科学習でなければ絶対学べないというものでもありません。

 たとえば電車が好きであれば、駅の名前で漢字の学習を、電車や路線の雑誌を使って文章の学習を、地名の学習を、名産品の学習を、歴史の学習を、機械や技術の学習を・・と広げたり掘り下げていくことができます。

 この時、親御さんや指導者など周囲も「これも学習だよ」「勉強だよ」「これでいいんだよ」という気持ちで見守り、一緒に楽しむことが大切です。「また電車?!」「駅名ばっかり覚えたって、役に立たないわよ」というような焦りをもったら、せっかくの集中、根気、持続、興味、探求の芽生えも台無しです。

 造形リトミック研究所ではいろいろなテーマを設けて、ちょっと簡単なことから、楽しみながら、知る面白さを感じることができるよう、一人ひとりの生徒さんの学習との出会いの場作りを心がけています。コンピューターと関連させたり、歌や音楽や身体表現によって楽しい演出をしたり。

 学習をコーディネートすることで、より確実に脳に定着させ、楽しいので繰り返し学ぶ、学習自身が遊びになっているような学習システムを開発することも可能と考えています。

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21.指導のポイント(4)


 21.指導のポイント(4)「集団指導、個別指導どっち?」

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おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

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 集団指導と個別指導、これはどちらもとても大切です。それぞれに意味と目的があります。ここでは、個別指導について考えてみたいと思います。

 個体における認知能力・基礎学習能力を育てる学習においては、個別指導が欠かせません。また、既に苦手意識を持っていたり、自信をなくしていたり、躓いてしまっている場合はいっそう個別のケアが求められます。

 これらの場合、集団教育ではメリットよりもデメリットが出てくる場合が多いからです。

・解らないのに置いていかれてしまった
・自分はやっぱりできないのではないか?
・常に他人と比較して、あぁ劣等感・・・
・将来に対して不安、自分はだめな人間ではないか?
・勉強ってやっぱりつまらない
・いじめられているのではないか?

・・・などマイナスの充電の要素が限りなく出てきます。

 人間は一人一人違います。たとえばネットでブログやオークションなどをちょっと覗くだけでも、これほど多種多様な趣味や嗜好があるのかと驚くばかりです。いろいろな世界のあることがわかります。日本人は世界でも屈指の個性派ではないでしょうか。

 「一人一人を伸ばす」ということ、そこに本気で取り組むには、やはり個別指導(最も非効率的ではありますが)が不可欠です。ここ数年、公教育でも「特別支援」つまり「特別な支援をすること」の必要性が強調されています。

 基本的なモデルは、医療での治療に近いとみてよいと思います。診察、診断、投薬、手術、治療計画や再発予防計画など、どれもすべてが個別です。

 学習においても、学習状況の分析、把握、指導計画、学習を支える生活リズムや心理的状態へのケア・・・ひとりひとりを対象として丁寧に教育を施す必要があります。しかもここで特に重要なことは、ひとりひとりの得意なところ、出来るところ、興味のあるところ、好きなところを把握し、積極的に認め、生かすことです。

 プラスを利用しながら、さらにプラスを伸ばす。プラスが増すことでマイナスを減らす、というのが鉄則です。

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