92.部屋の片付け(3)

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92.部屋の片付け(3)
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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 「片付け」の話題の3回目。お部屋も少しずつ、片付いてきたことと思います。きょうは、本棚とおもちゃ箱の整理です。

・本来、本棚に置くべきものでないものがあったら、あるべきところに収めましょう。
・破れた本があったら、テープで貼って直しましょう。
 ※要らないものをどんどん捨てることをこの2日間行ってきましたから、きょうは修理して、ものを大切にすることを示しましょう。セロテープでなくビニールテープを使えば1回の修理で長持ちします。

 お子さんに「ちょっと押さえていて」などと手伝わせながら、お母さんが中心になって行いましょう。破れた本をきれいに直してくれるお母さんに、お子さんは敬意を示すでしょう。

・おもちゃを分類しておもちゃ箱に収めましょう。
 ※机の上での学習としての弁別よりも、お子さんの気持ちに即した弁別学習が行えます。お子さん自身が、どんな理由で、どんなふうに分類するかは、とても興味のあるところです。

・壊れているおもちゃは直しましょう。お母さんで直せないものは、お父さんに頼みましょう。
 ※お父さんの出番です。困ったときには、誰かにお願いすることを示しましょう。お母さんにも、できないことや難しいことがあることを積極的に示しましょう。お子さんは、「なんだ、お母さんもできないのか」と落胆するより、むしろ安心するでしょう。「できないことがあっても、いいのだ」と。

 困ったときに、誰かにお願いする、お願いされた人はそれを快く引き受けてくれる、そして、お願いした人は引き受けてくれた人に感謝する、「信頼」が「信頼」をもたらす良い循環です。

 「また、壊したの。もっと大事にしなさいよ」というのと、どちらがお子さんの成長にとって有効でしょう。

 ※おもちゃはお子さんにとって大切なものです。その大切なものを、お母さんがていねいに扱ってくれることはお子さんにとってとてもうれしいことです。おもちゃを仲立ちとして、人の大切なものを大切にするという共感的対応を感得させることができます。物を大切にすると同時に、人の気持ちを大切にすることを教えることができるのです。

 片付けには、片付け以上の意味があります。

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なかのひと

91.部屋の片付け(2)

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91.部屋の片付け(2)
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 きのう床の片付けができて足の踏み場が確保されたなら、きょうは机の整理を行えるといいですね。きのうの片付けが楽しければ、きょうも二つ返事で片付けに取り組むでしょう。

 でももし、きのう片づけがはかどらずに少々叱られたり、大変な思いをしていたら、少し間をおきましょう。タイミングを見て次のチャンスを待ちましょう。

 ここでは、「こんなことができたらいいな」「学習でも、片付けでもこんな楽しみ方がありますよ」ということを紹介しているのですから、ムリをされることはありません。

 このブログの目的は、発達障害をもつお子さんとその親御さんのストレスを軽減し、安心して楽しく生活や学習に取り組んでいただくことです。そして、本来の力を充分発揮して生き生きと生活していただきたいというところにあるのですから。

 さて一応、片付け2日目としましては、机の整理。
・まず、机の上に散らかっているものをあるべきところに収めさせましょう。
・要らないものは、捨てさせましょう。
・捨てることが苦手でしたら、用意した大き目の箱に収めさせましょう。

・机の引き出しは、ひとつずつ取り出して中のものを開けて空にしましょう。
・要らないものは、捨てさせましょう。
・捨てることが苦手でしたら、用意した大き目の箱に収めさせましょう。
・小物は、小さな箱か仕切りを用意して、分類して収めさせましょう。
 ※百円均一のお店で予め仕切りを用意されると便利です。食器用の仕切りも重宝です。
・プリント類は、しわを伸ばしてファイルしましょう。
 ※多くのお子さんは、ホチキスや穴あけは大好きです。
・大きめの引き出しをひとつ確保しておいて、どこにも収まらないものや、不要だけど捨てきれないものを入れるようにフリースペースとしておきましょう。

 「これは、どこどこにね」「これは、もういらないね」「これは、どうする?」とお子さんのテンポで指示をして、てきぱきと片付けを進めましょう。必要に応じてどんどん手伝ってあげましょう。

 こうしたからといって、決して指示待ちの人間になることはありません。そのうちに、指示なしでもできるようになるでしょう。「きたないわね。片付けなさい!」とただ口で言うだけのほうが、いつまでも片付け方がわからず、また「片付いた」という達成感も得られず、結局は片付け方を教えてもらわなくては何もできない指示待ちになってしまいます。

 充分に手を出し、体も動かして教えてあげることです。一緒にやってあげることです。一人でできるようになるためには、その準備段階が必要です。準備なしでは、誰でもできません。

 「うちで甘やかしたら、外で困るから」ということをよく耳にします。でも、実は逆なのです。家で「こんなに手を貸していいのかしら」と思われるほど充分に手をとり足をとり教えたほうが、外では自立的にできるのです。口だけの注意が最も、自立を遠ざけます。どうぞ、安心して手伝ってあげてください。

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nan

90.部屋の片付け(1)

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「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
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 年末がぎりぎりに押し迫る前に、大掃除の前の片付けをしたらどうでしょう。来週、終業式前には学校からいろいろな荷物を持ち帰ることでしょう。

 今週は、勉強の代わりに片付けと、割り切ってもいいかもしれません。それほど、片付けは学習にとって大切です。性分にもよるでしょうが、散らかっていてはなかなか学習を始める気になれません。頭の整理もつきにくいものです。

 まず、どこを片付ければいいのか、部屋を見渡してお子さんと一緒に考えましょう。
・足の踏み場もないようでしたら、床の上。
・机の上
・机の引き出し
・本棚
・おもちゃ箱
・たんすの中
・その他

 それぞれの片付けをいつ行うのか、日付をふってみましょう。来る日も来る日も掃除ではイヤになってしまうでしょうから、3日間ぐらいにまとめましょう。

 たとえば、こんふうに。
 初日○月○日:片付けの計画と床の上
   ○月○日:机の上と引き出し
   ○月○日:本棚とおもちゃ箱
 ・・・タンスの中、つまり衣類の整理とその他は今回はおまけで、やっておいてあげても良いでしょう。

 今日から始めれば、火・水・木で終わり、金は予備の日となります。土・日はゆっくり遊べます。カレンダーにも書き入れてみましょう。日にちや時間に追われるのではなく、自分で生活を組み立ていく習慣ができるといいですね。

 そうすると同じことでも、あせることなく楽しみながら取り組めます。計画を立てることは、自分への予告でもあります。ことに発達障害をもつお子さんにとっては、予告は安心感を与え、ストレスの軽減につながって有効です。

 カレンダーは、まだ日にちの理解できていなくても、折に触れ使っていきましょう。予定を文字や絵で書き込んで、それにしたがって行動するように促せばよいのです。「今日は、○○をしたね」「明日は、○○だね」という言葉がけとそれに伴う行動で、カレンダーの見方も日にちの概念的なことも次第に体得していくことができるでしょう。

 さて、床の上の掃除。まず、要らないものを捨てさせましょう。捨てるのが苦手なお子さんの場合は、大き目の箱を用意しておいてそこに収めさせましょう。次に、ちらかっているものを本来あるべきところに収めさせましょう。「これは、引き出しの中ね」「これは、棚の上ね」「これは?」と次々に手渡して収納するように促しましょう。

 後から親御さんが直しても構いませんから、あまり細かいことは言わずにどんどん収納するように促しましょう。そろそろ限界だという手前で、ストップしてお母さんも動いて収納をしてあげましょう。そして、最後の1つか2つを再びお子さんにやらせて終了としましょう。

 これも学習と同じ、やりすぎないことが大切です。終えたら、おいしいおやつ。最高ですね。きれいにすることを楽しんでください。

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89.年賀状を出しましょう(5)

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89.年賀状を出しましょう(5)
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 おはようございます。
 
 年賀状のお話、
(1)年賀状を出す人を決める。
(2)郵便局:順番を待つ。
(3)年賀状作り:できる形で。
(4)書き損じはがきの交換:行動を広げる。
 ・・・と進めてきました。そして今日は、(5)年賀状の分類です。

 自分の年賀状は早々に用意し終えて、次はご家族の年賀状作りを手伝っている生徒さんもいます。りっぱなものです。その話を聞いて、直接生徒さんに向かって「それは、りっぱね」とほめたところ、「りっぱって言わないでください。ライオンじゃないから・・・」とのこと。

 その反応にはちょっと首をひねりましたが、「ライオンのりっぱなたてがみ」という言い方から、「りっぱ」はライオン限定のほめ言葉だと心得てしまっていたのかもしれません。なにしろ、造形リトミックの教室では幼児期から、「たてがみバサバサ雄ライオン・・・」と歌いながら、くり返しライオンを描いては、「りっぱなたてがみだね~」と言ってきましたから。苦笑いです。

 さて、余談はおき、どんな経緯でご家族の年賀状のお手伝いをすることになったのかまだ伺っていませんが、家族の中で役に立てる場があるということは、とてもすばらしいことです。それは、心も技術も大いに成長させることでしょう。時には、意図してそんな場を設定することにも意味はあります。

 (1)~(4)のプロセスを経て年賀状が完成したら、ご家族の分も含めて出す地域別に分類しましょう。まずは、お住まいの○○市宛の年賀状を選びましょう。
次に、お住まいの○○県(都・道・府)のものを選びましょう。市名を見ただけでは、何県かわからないようでしたら、教えてあげなが分類しましょう。

 その時、2枚のA4の用紙を用意して、1枚にはお住まいの県名を大きく書きましょう。もう1枚には、「その他」と書きましょう。そして、県内宛の年賀状は県名の書いてある用紙の上に置いていきましょう。県外宛の年賀状は、「その他」と書いた用紙の上に置いていきましょう。「○○市は、△△県。だからここに置いて」「××市は、違う県。だから、その他のところに置いて」と言う具合に。時間の許す限り、教えてあげながら丁寧に1枚ずつ分類していきましょう。

 さらに余力があったら、10枚ずつにまとめて輪ゴムでとめましょう。そして、できた束を10、20、30、40・・・と10の束を数えてみましょう。100枚を超えるでしょうか? 全部集めて持ってみたら、何十枚というはがきの重さや厚みを実感することができるでしょう。これは、実質的で、必要性のある有意義な数です。

 小学校(小学部)や中学校(中学部)、いわゆる義務教育を終えたら、実質的な数の学習を中心に行っていくことが必要です。学習のしはじめで、ブロックやチップを数えること自体が新鮮でうれしい時期は実生活との関連はそれほど求めなくてもよいのですが、基礎学習を終えたら生活に密着した必要性のある数に触れさせることが肝要です。切実な数に触れることで、本当の数を体験していくことができます。

 年賀状を出すという行為一つにも、これまでお話してきましたように、いろいろな数が含まれているのです。年賀状を出す人数、はがきの枚数、予備はがきの枚数、その合計数、いくらかかるか(金額)、家族全員のはがきの枚数、住所も含めれば郵便番号や地番、電話番号・・・。

 年賀状に限らず、生活の折々の事柄に楽しみながら積極的に関わっていくと、さまざまな実質的な数に触れることができます。また、数以外にもろいろな新しい要素に出会えます。今回は、年賀状に的を絞ってお話を進めてきましたが、新しい年には、こんな視点から折あるごとに楽しい学習を考えていきたいと思います。

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88.年賀状を出しましょう(4)

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88.年賀状を出しましょう(4)
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 おはようございます。
 
 年賀状に関連した学習の一環として、思いがけず、もう少し行動を広げることができました。ここでご紹介するのは、その一例です。

 もう社会人の生徒さんですが、教室で年賀状作りを半分ほど進めた後、「書き損じた年賀はがきは、郵便局で取り替えてきましょう」と促しました。「書き損じる」ということば自体はじめてかもしれなかったので、自分でメモ用紙に次のように書いてもらいました。

 「書き損じたので、取り替えてください。(3枚)」。「1枚5円で取り替えてもらえると思うので、5×3、15円払えばいいんだと思うけど・・・」と説明しました。九九の習得はまだなのですが、「かけ算ね」と言いながら、電卓でさっと「15円」という金額を出して納得できました。

 次の授業のときには、きちんと新しい年賀はがき3枚と交換手数料を支払った郵便局のレシートを持って教室に来ました。先週、授業を終えてすぐに郵便局に行ったようです。授業の終了が10:30で、レシートの時刻が11:23です。100円出して、15円支払っておつりが85円。レシートを見ると、いろいろなことがわかります。それにしても、彼の行動力は大したものです。

 その週、別の書き損じはがき1枚と練習用に裏面を使った古い通常はがき、この2枚をまた「郵便局で取り替えてもらいましょう」、と促しました。今度は自分の覚え書きとして「書き損じ、取り替える」とメモしました。今回も授業終了後、11:45には郵便局で交換できたようでした。ただ、彼の覚書メモの下に郵便局の方から次のようなコメントがありました。

「現在販売中の年賀はがきは同じものにお取り替えできますが、通常はがきは、年賀はがきには交換することができません。申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。」「○○郵便局」とゴム判も押してありました。

 上記のこと、皆さんはご存知だったでしょうか?私は、知りませんでした。一緒にコメントを読みながら、「そうなんだ。知らなかったね」と確認しました。彼にとっては、「年賀はがき」に対して、普通のはがきのことは「通常はがき」というのだ、ということも学習できました。

 郵便局の方のていねいな対応もあって、彼はこんなことでは全く気落ちしたりはしません。「先生も、知らなかったんだ」くらいに思っているかもしれません。でも、決して講師をとがめない優しさやマナーを彼は持ち合わせています。いい勉強ができました。

 はじめから「ムリ!」とか「できない!」と言わずに、できる形で、折あるごとにちょっと一工夫して取り組んでいくと、ゆくゆくはこんな成果にもつながっていきます。もし、自分ではじめてポストに投函できたなら、それも大きな成果です。どんなことでも、そのお子さんにとっての成果であれば良いのです。

 年賀状作りで、生き生きとした気持ちを育てましょう。成果は、後からついてきます。どうぞ、楽しんで行ってください。

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87.年賀状を出しましょう(3)

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87.年賀状を出しましょう(3)
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 おはようございます。
 だれに出すか、何枚出すか、そして年賀はがきの用意ができたら、今度は年賀状作りです。

 「まだ文字が書けない」「文字は書けるけど、はがきに書くような小さな文字は書けない」と言われるかもしれません。では、どうやったらできるかを考えてみましょう。

[表面]
・宛名ラベルを利用したらどうでしょうか?
 ラベルは年賀状にはふさわしくないかもしれませんが、それより、お子さん自身ができるということを優先しましょう。ラベルをシートからはがす、適当な位置に、曲がらないように貼る。ワンステップずつ、心を込めて丁寧に楽しく行いましょう。

・自分の住所と名前は、あらかじめ裏にプリントアウトしておいてあげたらどうでしょうか?

・この機会に名前ラベルを作っておいて、そのラベルを貼らせたらどうでしょうか?年賀状に限らず、他の折にも使えます。
  

[裏面]
・絵の年賀状にするのは、どうでしょう?
 色鉛筆かサインペンで描きましょう。筆圧がまだ弱い場合は、サインペンのほうが適当です。

・スタンプの年賀状にするのはどうでしょう?
 いもスタンプやオクラなど野菜のスタンプ、消しゴムのスタンプ、または市販のスタンプで楽しみましょう。

・貼り絵の年賀状にするのはどうでしょう?
 お正月らしいイラストや、気に入ったかわいいイラストを切って貼りましょう。お子さんによっては、切ってあげたものを貼るだけでもよいでしょう。

・1文字ずつキーの配置を教えてあげながら、パソコンで入力するのはどうでしょう?
 「あけまして おめでとう」「ことしも よろしくおねがいします」など、年賀状は、少ない文字数で打てます。枚数を指定する、「印刷」とリターンキーを押す、という諸々の操作をタイミングよく指示して、自分で行えるように仕向けましょう。パソコンへの導入のよいチャンスです。

 教室でも印刷のリターンキーを押すと、多くの生徒さんはプリンターの下に手を差し出してプリントアウトされるのを待っているほど、わくわくしてくるようです。

 「まだ、ムリ!」とか「できない!」というのは、療育では、禁句です(療育に限られたことではないかもしれません・・・)。どうやったらできるかを考えましょう。その方法を考える作業は、療育者にとって楽しい作業です。

 造形リトミックの教室では、生徒さんにも上のようにやり方の候補を示します。生徒さんは、「う~ん」と言ってしばらく考えながら、ぴんときたやり方があると「いいね~」と言って取り組みの意欲を示します。そんな生徒さんは、教室でも教室の外でも、何かにつけ前向きです。

 ちょっとしたひと工夫で、楽しみながら世界を広げていくことができます。自分が年賀状を出していると、年賀状を受け取ったときの気持ちもまたひと味ちがったものとなるでしょう。出した相手から、返事が来るのも楽しみとなります。

 年賀状作りも、社会参加の一歩です。

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86.年賀状を出しましょう(2)

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 おはようございます。
 「年賀はがきは、どこで買えばよいでしょう?」お子さんに質問してみましょう。まずは、郵便局で買うことを教えてあげましょう。その後に、コンビニやスーパー、またポストを置いているお店でも買えることをお子さんの理解の力に合わせて教えてあげましょう。

 年賀はがきを買うのがはじめてなら、コンビニやスーパーではなく郵便局で買うと良いでしょう。「郵便局」という名称を知り、どんなところなのか意識して見ておくことは良い経験になります。ただなんとなくお母さんの用事で付いていくのでなく、自分の目的で行くことが大事なのです。

 はじめは、郵便局ってどんな雰囲気のところなのか、何があるのか、何を売っているのか、そんなことを自分なりに感じて来れば十分です。あまり教え込もうとしないことです。これからも折あるごとに、用事を作って行けばよいのですから。

 順番待ちの番号札を取ることもいいですね。順番を待つということを学ぶチャンスです。競争と違って、自分の力とは無関係の順番ですから、そんなに一番にこだわらずにすむのではないでしょうか?

 何でも一番でないと大騒ぎになってしまうんです、というお子さんの問題を抱えている親御さんがよくおられます。学校やご家庭では、お友達や兄弟と競ってしまっても、郵便局は学校や家庭とは様子も異なりますから、周りの大人の人たちとは競うという気持ちは生じないかもしれませんね。「あと、何人だね。もう少し、待っていようね」「順番だね」と声をかけてあげましょう。

 落ち着いているときに、「順番」とか「待つ」という言葉を十分聞かせておいてあげることがとっても大切なのです。「待つってこういうことなのか」「順番ってこういうことなのか」ということを、何となくでも感得できるように。

 そして、いつもの「1番じゃなくてはダメ!」と気持ちが高ぶっているときに、「順番だよね」「待つんだよね」という言葉をそっと、かけてあげましょう。待てたときの経験を思い出して、少しでも、気持ちを押さえられるようになるかもしれません。

 「1番でなくてもいいんだ」「待っていれば、自分の順番が来るんだ」ということを徐々にでも体得できるといいですね。

 また順番には関係なく、じっと待つこと自体が苦手でしたら、好きな絵カードなどを持っていくなど、何か工夫をしましょう。かつての単語カードのように、リングで綴じたものは扱いやすく携帯にも便利です。もしあまり長く待つようでしたら、別の機会に出直しましょう。待ちすぎて、気持ちが続かなくなってしまっては逆効果ですから。

 今日は、年賀はがきから少しお話がずれてしまいましたが、年賀状作りと関連して、こんな経験も問題解決に生かせればと思います。

 ではあしたは、実際に年賀状を作ることのお話です。

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85.年賀状を出しましょう(1)

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 おはようございます。
 「年賀状は、12月25日までにお出しください」、と郵便局にありました。お子さんも年賀状作りをしてみたらいかがでしょう。まず誰に出すのか考えましょう。
 
 名前をあげることは記憶の再生としての機能トレーニングになります。だれかひとり思いつけば、それに連なって複数の人を思い起こすことができるでしょう。再生が再生を呼びます。筆記能力が高ければ、思い出すままに自分でメモすればよいのですが、そうでない場合は隣でメモをとってあげましょう。

 ランダムに思いついたら、次はお名前を見て分類してみましょう。先生、お友達、親戚、そのほか。小学校のときの友達、小学校のときの先生、お父さんの方の親戚、お母さんの方の親戚、○○関係の人・・・など、だんだん細かく分類できるようになるでしょう。

 それらを表にすると、視覚的に把握しやすくなり、自分との関係がいっそうよく理解できます。そんな捉え方を経験しておくと、不意に「○○くんは、どこの友だち?」とか「○○さんは、いつの友だち?」と問われても何を聞かれているのか理解して、答えることができる可能性も出てきます。

 「○○さんは、どっちの親戚?お父さん?お母さん?」と問われたときも同様です。場合によっては、「父方か母方か」なんて、そんな分け方があること自体知らなかった、というケースもあります。おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばあさんの関係が理解できていない、ということも稀ではありません。こんな折に、そのようなお話ができるのも良いチャンスです。

 分類した表ができたら、全部で何人の人に出すのか、数えてみましょう。人数がわかったら、年賀はがきを何枚買ったら良いのか考えましょう。枚数の決め方は、いろいろあります。

・ぴったりの枚数を買う。
・書きまちがえた時のことも考えて、何枚か多く買っておく。
 ※そうすると、いざ書く段になっても、書きまちがえることを必要以上に嫌わなくなります。
・何枚多く買うかを考える(妥当な数)。
・では予備を含めて、全部で何枚買えば良いのか?

「年賀はがきは、1枚いくらでしょう? ○枚買うから、全部でいくらになるでしょう?」教えてあげながら、紙に式を大きく書いて、金額を求めましょう。かけざんをまだ学習していなくても、「こういうときはかけざんをするんだよ」とかけざんの式を書いて見せてあげましょう。答えは、電卓で求めても構いません。

 自分の必要に応じた数を経験させることはとても大切です。自分にとっては無関係な文章題に出てくる数字より、ぐっと身近なものとなります。数の習得や操作にはある種の切実さが必要なのです。

 金額がわかったら、バラバラと広げたお金の中からその金額分のお金を取り出して、ぴったりの金額を財布に入れて、年賀はがきを買いに行きましょう。

「年賀はがきはどこで買うの?」(あしたに、続きます)

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84.もうじきクリスマス(5)

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 おはようございます。
ほんとうに、もうすぐクリスマスですね! 街はクリスマスの装いでいっぱいです。大きな街路樹にもイルミネーションの火が灯りました。電飾で彩られたおなじみのサンタクロースやトナカイも姿を現しました。

 この時季は、お菓子のパッケージや包装もクリスマスのデザインに変わります。折込の広告にも、クリスマスのイラストがいっぱいです。デパートの広告はもちろん、スーパーも電気屋さんも靴屋さんもレストランも、クリスマスムードでいっぱいです。「商業ベース」と批判する前に、今のこんな時季をお子さんと楽しんでみましょう。

 今日は、コレクションへの導入のお話です。コレクションというと、切手、コイン、お菓子のおまけ、シール、貝、リボン、カード、などがオーソドックスでしょうか。でも、集めるのは、何を集めてもコレクションには変わりありません。コレクションはりっぱな趣味です。やりようによっては、生きがいにもなります。

 「こんなもの集めたって」と思われるようなものでもたくさん集めて整理すれば、自慢のコレクションとなり得ます。形になれば、自分も眺めていてご満悦でありましょうし、他の誰かに見せることもできて張り合いができます。

 今、特に集めたいものが何もないのであれば、クリスマス関係の絵や写真を集めてみたらどうでしょう。

・お菓子のパッケージのイラストを切り取る。
・広告に載っているクリスマスのイラストを切り取る。
・広告のクリスマス関係の品物の写真を切り取る。
・街のクリスマスのようすを写真に撮ってきて、プリントする。

 切り取ったら、画用紙など、同じ大きさの台紙に分類してはりましょう。後からファイルできるように、上部、または左右どちらかには、余白を残しておきましょう。

 貼り方は、お子さんの発達段階に合わせて、どんな貼り方でも構いません。台紙に日付を書いて、その日集めた分ずつ貼っていってもいいでしょう。または、何日か集めて、種類ごとに貼っていってもいいでしょう。サンタやトナカイでも、いろんな形や様相のものがあることを楽しめるでしょう。

 切る・貼るという作業もお子さんのできる範囲で、無理なく行わせましょう。広告にたくさん並んでいる品物をテープ状に切っておくと、チョキンと一度切りさせることができます。これなら、やれるお子さんも多いでしょう。場合によっては、お子さんとお話しながらお母さんが切ったり貼ったりするのを見せるだけでも良いのです。

 のりづけを手伝わせたり、貼ったものを押さえるようにとんとんとたたかせても良いでしょう。「サンタさんをあつめて」「トナカイをあつめて」「お星さまをあつめて」「ケーキをあつめて」・・・と同じものをあつめさせることもできます。

 もしお子さんが、クリスマスと関係のないものを集め始めたら、それはそれでよいのです。お子さんが何を集めようとしているのか興味をもってみてみましょう。お子さんの好きなものを把握できれば、お母さんにとっても大きな収穫です。「うーん、おもしろい!」と言って、それをコレクションとして形になるよう手助けしてあげましょう。

 親御さんとのこんな楽しい作業がコレクションへの手ほどきになるかもしれません。たとえ、これっきりのこととなってしまってもそれはそれでまたよいのです。できたものは、どこかにとっておきましょう。いつか、なつかしく眺める日がくるかもしれません。

 いずれにしても、お母さんと楽しく過ごした時間はクリスマスの思い出と共に、心に何かほっとするものを灯してくれることでしょう。

 
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83.もうじきクリスマス(4)

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 おはようございます。

 クリスマスには、ご家庭でパーティーや会食をなさいますか?ケーキやちょっとしたごちそうでお祝いなさるのなら、どなたかお客さまをおまねきしてはいかがでしょうか?おじいちゃん、おばあちゃんや、おじさん、おばさん、ご近所の方。どなたか、おひとりでもいいのですから。

 それは、なぜ?
 ・・・発達障害をもつお子さんに限られたことではありませんが、弟や妹が誕生したときの生活の変化が後々まで尾を引いて、生活上の問題行動として妨げになってしまっていることがあります。下のお子さんが誕生するとき、上のお子さんには生活のこんな変化が突然に訪れます。

・お母さんがいなくなった(出産のための入院)。
・場合によっては、おじいちゃん、おばあちゃんの家に預けられた。
・場合によっては、おじいちゃん、おばあちゃんが自分の家に来た。
・お母さんが知らない子(赤ちゃん)を連れて家に戻ってきた。
・知らない子を中心とするような生活が始まった。
・お母さん、お父さんなど周囲の大人の目や手が知らない子に取られるようになった。

 上のお子さんは、まさにこのような変化の中に突然に投げ出され、大きな不安の海で溺れそうな状況になります。よく聞く赤ちゃんが返りもこんなときに現れます。それが一過性のものとして通過できる場合もあれば、後々まで、

・下のお子さんへの強いライバル意識
・生活の変化への大きな不安や恐怖
・お母さんと離れることへの不安や拒否
・お母さんが、他者と親しくすることへの不安や拒否
・他者が家に来ることへの大きな不安や拒否
 などとして現れ、状況の受容や不安の解消ができないままに抱えている場合があります。

 上記のひとつ「他者が家に来ることへの大きな不安や拒否」を少しでも軽減してあげる、ひとつの糸口となるように、このクリスマスに来客への接待を試みてみてはいかがでしょう。

 ただし突然の来客は不安を助長するだけですから、予め予告をしましょう。「クリスマスには、○○をお呼びして、クリスマス会をしましょうか?」とまず同意を得ることから始めましょう。招待状を書いて出したり、電話で声をかけたりすれば、いっそう招待することを意識化することができるしょう。

 そして、クリスマス会の用意を一緒に行いましょう。「○○が来てくれるから、ツリーを飾りましょう」「食事の用意をしましょう」「プレゼントを用意しましょう」と、来客を楽しみにするようにしむけるとよいでしょう。

 当日は、来客のためにお子さんにも何かお手伝いをしてもらいましょう。
・料理を一緒に作る
・テーブルのセッティングをする
・来客用のスリッパを用意する・・・

 パーティは、時間的にあまり長くならないように、来客の前で叱られるようなことがないように、大人中心の会にならないように、配慮しましょう。来てくださる方にも、招待の意図をお話しておかれるとさらによいでしょう。

 クリスマスという楽しい機会だからこそ、こんな試みもいつもよりは良い結果が期待できるかもしれません。でも、お子さんがまだ来客を受け入れられrないような場合は、無理をせずまた別の機会に譲りましょう。あせることは、ありませんから。

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