381.国語の読解学習~

381.国語の読解学習~
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 講師から、「読解の学習で、理由や気持ちを問われる問題が苦手な生徒さんの指導について」という報告がありました。発達障害をもつ生徒さんに多く見られるケースです。

 その生徒さん、理由や気持ち以外の問題には確実に対応できているのでしょうか?まず、そのあたりを確認してみる必要があります。多くの生徒さんは、学習に対してとても熱心に取り組んでいます。正答を捜そうと、一生懸命にテキストを目で追います。そして、前後の言葉の配置から、答を導き出してきます。

 そのようなやり方で見当をつけて解答しても、かなり正答率は高いのです。しかし、正答したからといって、必ずしも文意を把握できているとは言えないケースがあります。

 その確認のためには、

・一段落のみ読ませて、読んだ直後にその段落の内容について、テキストを見せずにかんたんな質問をしてみましょう。テキストの文言どおりでなくても、自分の言葉で正しく答えられれば文意は大体把握できていると言えます。

 生真面目な生徒さんは、大意を自分の言葉で答えることより、一字一句テキストをたがえずに解答欄に書き写すことの方が得意ですし、その方が安心できます。しかし、本当に理解するという点においては、大意を自分の言葉で言えることの方が求められているのです。

・段落の中の一文について、まずそこから助詞をのぞいて単語のみを取り出し羅列して提示しましょう。そして、それを助詞を含めた文に再構成させてみましょう。再構成することができたら、語彙のつながりや接続助詞のもつ意味の把握ができていることとなります。

 主格や目的格の助詞はもちろん、接続助詞の意味やニュアンスが感覚的に捉えられていないと、語彙(単語)の理解はできていても、文意の理解はできていない、ということはあります。

 その確認の後に、理由や気持ちの把握の学習が位置づけられます。(つづく)

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380.テレビニュースから学ぶ(2)

380.テレビニュースから学ぶ(2)
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 ニュースの映像を通して、日常生活より少し広がった世界や日常生活を大きく超えた世界に接することのメリットについて、昨日お話させていただきました。映像を通してイメージが広がることによって、語彙も広がります。また、その語彙に伴う感情や立場の異なる人の気持ちを理解する力も育まれます。

 映像とお子さんとの仲立ちとなるのは親御さんの言葉がけです。名画でも名曲でも解説があると理解や感動が深まるように、ニュースの映像にもお子さんの理解しやすい語彙体系で親御さんが解説をしてあげましょう。説明的であるよりは、「わあ、すごいわね」「たいへんだねぇ」「びっくりしたわね」「きれいだねぇ」「すごいわねぇ」・・・などと共感的な
話しかけの方がよいでしょう。

 丸暗記でない限り、学習は感情を動機付けとして、また感情をエネルギーとして営まれています。国語の教科書は読めるけれど、意味を理解し、感じることができないというケースは発達障害をもつ生徒さんに多く見られますが、ものの名前を知識として知っていても、そこに感情が伴いにくいのです。

 私達は通常、気持ちを表す言葉だけでなく、ものの名前に対してもイメージや思い出や思い入れなどの独自の感情を込めています。その人固有の部分もあれば、他者と共有している部分もあります。共有している部分があるから、他者と言葉の疎通ができるのですが、また固有の部分があるからその人の個性も出るのです。

 「気持ちを育てる」「感情語を育てる」、これらは発達障害の多くの生徒さん方にとっての課題となっていますが、これらを知識として教え込んでも無理が生じます。日々の生活の中で、親御さんが自身の気持ちを動かしながら、少しずつお子さんの気持ちもそれに共鳴して動くように仕向けてあげましょう。

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379.テレビニュースから学ぶ

379.テレビニュースから学ぶ
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 私たちの得る情報の80%は、視覚から得るものだと言われています。この寒い冬、このブログでも雪の話や最低気温氷点下の話などをいたしましたが、テレビニュースでも北陸での雪かきの様子や、東北で除雪車が雪を海に捨てている様子が報道されていました。毎日毎日の雪に、「生きていくのって、大変ですね」と雪かきで疲れた腰をなでながらつぶやいているおばあさんの姿もありました。

 教室では、♪「ゆきーだ ゆきだ、ゆきーだ ゆきだ、ゆきだるまー」と楽しく歌いながら雪だるまを描いていますが、雪に対する思いはさまざまだということがわかります。「西日本から北日本の日本海側では大雪の警戒が呼びかけられています」という言葉の意味も、映像をみることによって一目瞭然です。「北陸」「東北」という言葉にもイメージが伴うようになります。

 イメージを持つことによって、言葉に感情が重なってきます。ご家庭で一緒に映像を見ながら、「すごい雪だね」「住んでいる人たちは、大変だね」と気持ちを込めてお子さんに語りかけることによって、他者の気持ちへの理解も少ずつ進むことでしょう。

 折々にフィットした映像と親御さんの生きた言葉を通して、お子さんの言葉と言葉に伴う感情を少ずつ育てていきましょう。言葉育ては、日々の小さな積み重ねです。
 

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378.生活の中の数学習

378.生活の中の数学習

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 きのうの朝は、関東地方の各地でこの冬一番の寒さとなったそうです(読売新聞1月14日)。練馬で氷点下2.2度、横浜で氷点下0.3度、宇都宮で氷点下5.0度を記録。この寒さは18日頃まで続く見通しとのこと。

 関東地方と甲府、静岡の一週間の天気予報にも、最低気温の随所に0度やマイナスの記号が見つけられます。ざっとながめて、一番低いのはやはり宇都宮のマイナス5度でしょうか。宇都宮では今日から連日、最低気温はマイナスです。宇都宮って、寒いのですね。

 生活の中で見られる、「マイナス」。生徒さん方にも、ぜひこの「マイナス」に注目させてあげたいと思います。新聞に書かれた極々小さな文字ですが、まず集中させて見させましょう。興味があれば、どんなに小さな文字でも生徒さんは認知します。そして、大きめに罫をとって、グラフを書かせましょう。一週間の最低気温を追った折れ線グラフです。

 0度を中心に、プラスとマイナス。算数の教科書の順番からすれば、足し算や引き算がまだ十分でない生徒さんでも、マイナスの数の面白さはきっと把握するでしょう。足し算、引き算ばかりが算数ではありません。生活の中の生きた数を楽しみながら、数の面白さを実感させてあげたいと思います。

 また、中学での数学の素地として、マイナスの数に実感を持って触れさせておいてあげることも有効です。実感が持てることについては、丸暗記ではなく、理解ができるのです。逆に言えば、実感が持てないから、丸暗記になってしまうのです。

マイナスの数では、絶対値が大きくなると気温はどんどん下がる、寒くなる。グラフ上では、どんどん0度から寒い方向に離れていく。

 中学に入っていきなり、「プラス」だの「マイナス」だの「絶対値」だの、初めて聞くような言葉で説明されても戸惑いますが、グラフ作りのような作業を通してそんな言葉を聞き慣れておくだけで、数学への親しみは変わってきます。

 さあ、この寒さに震えているだけではなく、楽しく学習しましょう。

 

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377.何でも学習!

377.何でも学習!
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 寒いですね!ニュースによると、西日本から北日本の日本海側では大雪の警戒が呼びかけられています。年間の平均気温も東京では1月が最も低く、ある年の記録によると5.2度となっていました。2月も同じく5度台で、3月8.5度、そして4月になるとぐっとあたたかく14度前後となるようです。

 きのうの東京の風も、まるで氷の上でも渡ってきたかのように冷たい風でした。そんな中でも、生徒さんたちは元気に教室に通ってこられます。暖かくして生徒さんを待ちましょう。がんばって来たかいがあるような授業を用意しておきましょう。思いっきり楽しんで行ってもらいたいものです。

 生徒さんと歌い、絵を描き、工作をし、大きな声で読んだり、数えたりしていると、暑くなってきます。最初の生徒さんの授業の途中では暖房を切るようです。生徒さんたちは、すごいエネルギーです。こんな寒さも暑さに変えてしまいます!

 この時期、寒さ自体が学習の材料にもなります。
  ・1年間の平均気温の学習
  ・日本各地の天気:雪マーク(雪だるま)を見つけられます!
  ・日本列島の天気図
  ・降雪量:北陸地方70cm,東海地方(岐阜県)60cm,北海道の日本海側50cm・・・、
   ものさしで横線や縦線を測る長さとはまた違った[cm]の感覚ですね。これは、雪の深さです。自分の体のどの辺までの深さなのでしょう?「ひざまでだね!」「胸まで、埋まっちゃうよ!」というように数値を体感してみましょう。

   北陸、岐阜、北海道・・・、耳にするだけですぅっと雪景色が広がってくるような地名(言葉)ですね!行ったことがなくても、私達はどこかでこれらの地名とその雪景色を関連させて見たり聞いたりしているのです。季節ごとの何気ない見聞きが、言葉の感覚を育てていきます。

 さあ、「寒い、寒い」とばかり言っていられません。体を暖めて、寒さの中でも元気に過ごしましょう。

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376.家庭学習は整理から

376.家庭学習は整理から
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 東京でもきのうは、雪が舞いました。そんな寒い中、3学期も本格的にスタートしましたね。学期の初めは、学校からの通知のプリントも多いことでしょう。また、授業が進めば、各教科のプリントも増えていくことでしょう。

 よく親御さんから、「通知や教材や提出物の管理ができないんです」「かばんの中がぐちゃぐちゃなんです」という問題があげられます。つい最近もそのお話があり、ひとりの生徒さんと授業の中でさっそくファイル作りをしました。

 市販の透明のビニールファイル(紙ばさみ)に気に入ったイラストを貼ってビニール(ブックカバー用)をかけたかんたんなものです。教室ではパソコンからイラストを出しましたが、イラストは広告や雑誌からの切り抜きでも、絵葉書でも、また折り紙を利用したきり絵でも、自分の絵でも何でもいいのです。

 自分だけの楽しいファイルにすることが目的です。「さあ3学期は、プリントは全部このファイルに入れてこよう!」という気持ちに本人がなれればいいのです。

 ファイルはまず1冊から始めましょう。科目や用途ごとにファイルを分けることも可能ですが、とにかくプリントを鞄につっこまずに、ファイルに入れることから
練習しましょう。「何でもいいので、とにかくそのファイルに入れる」、それだけを約束にしましょう。

そして帰宅して一息ついたら、鞄の中の整理を一緒にしてあげましょう。鞄の中のものを全部出しましょう。教科書、ノート、筆箱、給食の用意、ハンカチ、そしてファイル。そのまま使うもの意外は全部出しましょう。

 教科書とノートは本立てに立てます。筆箱は所定の位置に、洗濯物は洗濯置き場に。そして、ファイルの中身を整理しましょう。まずは親御さんがリードして整理しましょう。ゆっくり説明しながら。最初は、手を動かすのは親御さん主体でいいのです。お子さんにはその様子を見せるだけでいいのです。

 鞄の中をカラにしてファイルの中を整理すること、これが家庭学習の第一歩です。短時間で気持ちよく行いましょう。学習態勢づくりの「1」から始めたいお子さんには、しばらくはこれだけでも十分です。
新学期で、お互いに気持ちがフレッシュな今、新しいことを始めるチャンスです!

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375.両親、家族の協力

375.両親、家族の協力
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 今年も、生徒さん方からたくさんの年賀状をいただきました。

・生徒さんがシールを貼った年賀状
 親御さんがお子さんの力を上手に生かして、できる形で年賀状に仕上げていらっしゃいます。

・生徒さんが一生懸命に書いた年賀状
 文字の数だけ鉛筆で丸い枠が書かれ、はがき一面に文字が埋められていました。昨年になって、驚くほど文字にまとまりの出てきた生徒さんからです。

・教室で制作した干支の絵をプリントになさった年賀状
 教室で行ったことがご家庭に浸透し、ご家族で生かし楽しんで下さることは理想的です。生徒さん一人ひとりの個性ある布版画の「トラ」がさらに1枚の年賀状にアレンジされて再登場です!

・親御さんからのコメントの添えられた年賀状
 お子さんに対して何を求め何を喜びとしているのか、一言のコメントは親御さんの思いと講師の思いとの確認の場となります。

・ご一家の写真の年賀状
 ご両親、ご兄弟姉妹の笑顔の写真。日常の生活や外出先での様子が伺え、ほほえましくあたたかい気持ちになります。

 お子さんの好きなもの、お子さんにとって良いと思われるあらゆるものを経験させてあげようとしていらっしゃる親御さんの熱意とお子さんへの深い思いがあふれています。夫妻の協力、家族の協力、思いをひとつにしたこの在りようには、感じ入るものがあります。

・親御さんとはまた別に自身で書かれた年賀状
 ご両親からの年賀状とは別にもう1枚、自身で年賀状を下さる生徒さんもいらっしゃいます。自立している自信と頼もしさを感じます。

 すばらしいさまざまな年賀状をありがとうございました。成長を心より喜び望んでいらっしゃる親御さんの期待にしっかりお応えできるように、この年の初めに気持ちを新たにしています。

 

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374.両親のささえ

374.両親のささえ
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 今日は成人の日です。成人式は、親からの自立、つまりこれまでに育まれたものをもって社会人として自立するという意識を形式化して明確にする儀式の日です。

 今、若者が職に就くのが難しい状況ですが、それでもそんな状況を切り拓き、希望を持てる人間に育っててもらっていたら、親御さんはじめ、これまで育まれた人的・物的環境に感謝しましょう。

 きのうテレビで、「もうひとつの箱根駅伝」という番組を途中30分ほど見ました(全部見られなかったのが残念でしたが)。若者の全力での挑戦には感動するものがありますが、その背後には監督やメンバーやこれまでの指導者、そして親御さんの大きな支えがあります。

 番組は、昨年競技で予期せぬ棄権を経験し今回再挑戦した選手とその両親をクローズアップしていました。競技生活では挫折する時もあります。親と顔を合わすことができないような心理状況の時にも、親は黙って背後から息子を支え本人が乗り越えるのを待ちました。その間の両親からの何通かの短い励ましの手紙の言葉が、息子を支え大きな力となって今回再び競技に臨むことができたのです。

 息子への深く強い愛情もさることながら、父(夫)と母(妻)双方の、思いをひとつにした在りように大きな力を感じました。両親がひとつとなっていること、その在りように子どもは大きな支えを得るのでしょう。

 その在りようは、成人した後も自身が自立した大人として歩んでいく上での理想となる美しい在りようです。そしてそれは、いつまでも大きな支えの力となっていくことでしょう。

 教室の一人ひとり生徒さんの親御さんにも共通のものを感じます。またあした、お伝えしたいと思います。

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373.部屋の片付け

373.部屋の片付け
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 きのうこのブログに訪れて下さった方の中で「一番多い検索キーワード」は、「発達障害 部屋片付け」だったとのことです。かつても、このテーマに触れたことがあります。

 きょうは、始業式ですね。お昼をすませて少し休んだら、部屋の片付けをなさるいいタイミングですね。

 まずは、机の上や引き出しの中、それから本棚、おもちゃ、その他。というような順序で。お子さんが学校に行っている間に、机の引き出しの中でも片付け始めておいてあげるのも、ひとつ方策です。

「見て、こんなにきれいなったよ。お昼食べたら、続きをいっしょにしようね」と誘導してあげられます。少しやり始めてあると、人は動きやすいものです。「0から1」へがむずかしくて、つい腰が重くなるものです。でも、「1」ができていれば、「2,3,4・・・」とは進めやすいものです。

 片付けは、どんどん手伝ってあげましょう。短時間でメドを立てることが大切です。飽きるまで、またイヤになるほどやらせないのがコツです。

 整理整頓のために、たとえばブックエンドや小さなケースなどが必要でしたら、ご家庭にある何かを工夫して用いたり、あたたかいうちに買い物に行って整えるのも楽しいことです。

 そしてひと段落したら、おやつにする・・・。
 3学期を気持ちよくスタートさせてあげましょう。

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372.学習は作業です!

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 そう、学習はまず「作業」です。考えることよりも、まず取り組むことから始めましょう。机に向かいたくない、鉛筆を持ちたくない、教科書を開きたくない、・・・もしそんな状況であるならば、「よく考えてごらん」という学習は少々ハードルが高すぎます。

 はじめは机に向かうことで、「よし」としましょう。そして、教科書とノートを科目ごとに揃えて本立てに整理する、鉛筆と消しゴムを鉛筆箱にきれいにおさめる、・・・などの簡単なことを短時間(5分から10分)行うだけで、「あしたから、勉強しようね」とその日は気持ちよく終わらせましょう。

 そして、次の日から、少しずつ学習に取り組ませていきます。といっても、「よく考えて」という学習は、まだ早すぎます。問題の少なめのワーク1ページ(または半分)でもノート1枚(または半分)でもいいですから、答をどんどん教えてあげながら書き込むことから始めましょう。

 書くのが苦手であるのなら(※)手を添えてあげても構いません。苦手な文字を必死で書くこととワークやノートを埋めることとを同時にやらせようとしないことです。無理をさせれば、勉強から遠ざかるばかりです。

(※書字は書字として、別の場で手指の巧緻性トレーニングと認知の基礎
トレーニングを行って、書字能力を保障してあげることが必要です。闇雲に励ましたり、がんばらせてできるものでは
ないからです。)

「勉強って、こうすればいいのか、なんだかんたんだ」という体験を十分に積ませてあげましょう。

 これが作業としての勉強です。まずは、「かんたん」から。そして、できて「うれしい」「楽しかった」。やがて、答を写しながらでも「あっ、わかった」「こうなんだ」ということで、「知る」ことができます。そこにたどり着くまでは、あせらずに、「かんたん」「楽しい」という体験を十分に積ませてあげましょう。

「えっ、写すだけでいいんですか?」「そう、いいんです」。3学期は心に決めて、このような作業学習だけに絞るのも方法のひとつです。もし今、学習がこじれてしまっているとしたら、これくらいの仕切り直しが必要です。

 さくらが咲く頃には、もう少し楽に机に向かうようになっていることでしょう。ご家庭で仲よく学習に取り組めるようになっていることでしょう。数ヶ月後が楽しみです。

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