22.指導のポイント(5)


「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 
 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  
 
22.指導のポイント(5)「教科指導、その他の指導どっち?」

 普通学級に在籍している生徒さんや、そうでなくても教科学習を中心としている生徒さんも、教室にはたくさんおられます。全科目を平均的に進められる生徒さんもいれば、勉強は苦手、がんばっているけれどなかなか効果が出ない、と困っておられた生徒さんもいます。

 後者の場合、どのように教科学習を進めていくか?

 まず一科目に絞って、成果を出させるように取り組みましょう。
「○○君は、漢字の読みが得意だ」、「算数の計算が早い」、「社会にはくわしいよ」・・・というような目標をもって。

 成果はもちろん自分の自信になりますが、親御さんから認められる、友達から認められる・・・というように周りの目が違ってきます。また親御さんにとっても、マイナスの充電(ストレス)を多少なりとも減らすという大きなメリットもあります。

 しかしながら発達が緩やか、また発達の偏りが大きくてなかなか教科学習になじみにくい場合は、思い切って教科以外でも好きなことからアプローチしていくこともひとつの方法です。 昔から「読み書き計算」と大切にされた3つのことがありますが、これは何も教科学習でなければ絶対学べないというものでもありません。

 たとえば電車が好きであれば、駅の名前で漢字の学習を、電車や路線の雑誌を使って文章の学習を、地名の学習を、名産品の学習を、歴史の学習を、機械や技術の学習を・・と広げたり掘り下げていくことができます。

 この時、親御さんや指導者など周囲も「これも学習だよ」「勉強だよ」「これでいいんだよ」という気持ちで見守り、一緒に楽しむことが大切です。「また電車?!」「駅名ばっかり覚えたって、役に立たないわよ」というような焦りをもったら、せっかくの集中、根気、持続、興味、探求の芽生えも台無しです。

 造形リトミック研究所ではいろいろなテーマを設けて、ちょっと簡単なことから、楽しみながら、知る面白さを感じることができるよう、一人ひとりの生徒さんの学習との出会いの場作りを心がけています。コンピューターと関連させたり、歌や音楽や身体表現によって楽しい演出をしたり。

 学習をコーディネートすることで、より確実に脳に定着させ、楽しいので繰り返し学ぶ、学習自身が遊びになっているような学習システムを開発することも可能と考えています。

造形リトミック教育研究所
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21.指導のポイント(4)


 21.指導のポイント(4)「集団指導、個別指導どっち?」

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」

おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  

 集団指導と個別指導、これはどちらもとても大切です。それぞれに意味と目的があります。ここでは、個別指導について考えてみたいと思います。

 個体における認知能力・基礎学習能力を育てる学習においては、個別指導が欠かせません。また、既に苦手意識を持っていたり、自信をなくしていたり、躓いてしまっている場合はいっそう個別のケアが求められます。

 これらの場合、集団教育ではメリットよりもデメリットが出てくる場合が多いからです。

・解らないのに置いていかれてしまった
・自分はやっぱりできないのではないか?
・常に他人と比較して、あぁ劣等感・・・
・将来に対して不安、自分はだめな人間ではないか?
・勉強ってやっぱりつまらない
・いじめられているのではないか?

・・・などマイナスの充電の要素が限りなく出てきます。

 人間は一人一人違います。たとえばネットでブログやオークションなどをちょっと覗くだけでも、これほど多種多様な趣味や嗜好があるのかと驚くばかりです。いろいろな世界のあることがわかります。日本人は世界でも屈指の個性派ではないでしょうか。

 「一人一人を伸ばす」ということ、そこに本気で取り組むには、やはり個別指導(最も非効率的ではありますが)が不可欠です。ここ数年、公教育でも「特別支援」つまり「特別な支援をすること」の必要性が強調されています。

 基本的なモデルは、医療での治療に近いとみてよいと思います。診察、診断、投薬、手術、治療計画や再発予防計画など、どれもすべてが個別です。

 学習においても、学習状況の分析、把握、指導計画、学習を支える生活リズムや心理的状態へのケア・・・ひとりひとりを対象として丁寧に教育を施す必要があります。しかもここで特に重要なことは、ひとりひとりの得意なところ、出来るところ、興味のあるところ、好きなところを把握し、積極的に認め、生かすことです。

 プラスを利用しながら、さらにプラスを伸ばす。プラスが増すことでマイナスを減らす、というのが鉄則です。

造形リトミック教育研究所

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20.指導のポイント(3)


20.指導のポイント(3)「全部を生かす、一部を伸ばすどっち?」

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  

おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 「全部を生かす? 一部を伸ばす?」

 これもやはり大切なことですね。

  きょうはこれを、「教科の学習」において整理して考えたい思います。
 冒頭の問いを言い換えると、「全部の科目にあたるか? 一部(ひとつ)の科目に絞るか?」となります。

 これは、お子さんによって異なります。
 勉強が好きなお子さん、すでに勉強の習慣ができているお子さんは、全部の科目に配分よく取り組んでいけばよいでしょう。

 しかしまずは一科目に絞って、学習の習慣をつけることから少しずつ進めていくのがよい場合もあります。

 ・勉強はあまり好きでない
 ・成績もなかなかふるわない
 ・特別興味のある科目がない
 ・毎日勉強する習慣がない、
 ・勉強の仕方が分からない
 ・いい成績をとったことはない、・・・のような場合です。

 このような状況は、ゼロからのスタートというよりもマイナスからのスタートです。お金で考えればただお金がないだけでなく、既に借金がある状況と同じです。また水泳に例えれば、ただ泳げないだけではなく、水への恐怖を持っている状況と考えれば分かりやすいと思います。

 このような状況で全科目をねらっていっては、マイナスの溝をさらに掘り進めてしまいます。では、どうしたらよいでしょう?

・机の上を片付けて、楽しい雰囲気で始めましょう。叱り付けて始めるのは禁物です。
・すぐにできそうなこと(簡単)から始めましょう → すぐに結果がでるように。
・「できた」(新しく知る)という実感が、次に進むエネルギーになるよう応援しましょう。

 例えば漢字学習。まずは傍らに座って学習に取り組むエンジンをかけてあげましょう(楽しい雰囲気で導入)。

 学習内容としては、書くことよりも読むことを優先しましょう。読むことは書くことに比べて、短時間で効果が出ます。やっているそばから、「できた」「できた」ということを肌で実感できることが必要です。5問できた、10問できた、半ページできた、1ページできた、・・・この達成感が大切なのです。

 自信や達成感は、前向きな意欲という恵みを与えます。ここで特に大切なことは、親御さんがあせらないことです。

「やらなくてはいけないことは、ほかにもたくさんあるのよ!漢字だけじゃないんだから!」

 でもあせらないことです。あせらず逆に、ほめることです。人はだれでも、他人に認められるとそれが大きな意慾となります。「すごいね」「できるじゃない」など何でもいいですからたくさんほめてあげて下さい。これは次への種まきです

 最終的には、人にほめられなくても自分から進んで目標を決めて努力するようになります。小さな目標を設定して、楽しく、簡単から取り組むことによって結果を感じられるように指導することがポイントです。

 そもそも人生の選択、進路の選択の、仕事の選択など、「選ぶ」ということは、逆に考えてみるとその他のこと捨てるということです。

 お店に入ってたくさんのメニューから自分が今食べたいものを選ぶということは、とりあえず今日は他のものは食べない、選ばないということですね。

 私はこのところ「鶏と野菜の黒酢アンかけ」をよく選びます。他にもおいしそうなメニューはたくさんあるのです。しかしそれは捨てて、「鶏と野菜の黒酢アンかけ」を選んだのです。他のメニューは今度のお楽しみです。あしからず

 
造形リトミック教育研究所

19.指導のポイント(2)


 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

知的障害・発達障害 個性と可能性を伸ばす

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19.指導のポイント(2)

「大きくとらえる? 細かくとらえる?」

 このことも、大切な見方の一つです

・物事を大きくとらえる
・物事を小さくとらえる
・鳥瞰図
・虫瞰図
・今をみる
・これまでをみる
・目先をみる
・生涯をみる(これから先)
・就学期間を考える
・社会参加から先を考える

 理想的には、大づかみに捉えて少しずつ確実にしていくといったイメージが良いでしょう。 

 私たちはどうしてもマイナス面が気になりますから、目の前の問題や小さな問題に捉われて、無理を押し付けたり、イライラしたり、先に進めずに足踏みをしたりしてしまうことがあります。
 
 しかしもっと、生涯という大きな視点で療育をとらえることが必要です。

 生徒さん一人ひとりの療育を考えるとき、ただ単に「今、○○ができるように」ということだけでなく,一人ひとりの生徒さんがどのような人生を歩み、どのような生涯を送るだろうかという、大きな視野を持つことが大切です。

 私たちの多くは義務教育を経て、高校や大学に進学し、就職し結婚し・・・という道をたどってきています。しかし、人生はそれだけではありません。ハンディを持つ方たちの、それとは違うすばらしい生き方が今ではたくさん紹介されています。造形リトミック研究所でも、20代・30代となってそんな人生を歩み始めている生徒さんが少なくありません。

 どのような道のりを歩むにしても、私たちに共通であるのは「生き生きと、日々幸福に生きること」です。その視野をもって、乳幼児期の療育、学齢期の療育、社会参加への療育、社会人の療育が考えられるべきです。

 そうすると、たとえ今出来ないことがたくさんあったとしても、それを全部乗り越えなくても良いことに気づくこともあります。また今それが出来なくても、全然気にしなくても良いことにも気づきます。

 また同じ課題(たとえば足し算)でも、何のために行うのか、どの段階まで行うのか、どのような方向性を持って行うのか、そういった判断が必要となってきます。

「幸福に生きる」ために、その目的のために課題が賢明に吟味、選択されるべきです。

 これは、ハンディがあるから学習しなくても良い、難しいことはしなくても良い、ということではありません。また、ハンディがあるからといって幼少のうちから人生を見限ることでもありません。まったくその逆です。

 私たちの多くは、学校の教科教育というあまりに限られたコースを生きてきています。それに合う人もいれば余りあわない人やまったく合わない人もいるのです。義務教育の大きな恩恵はありますが、その在り方は今、健常の子どもたちにとっても検討されなくてならない危機的な状況にもあります。

 療育者はともすると、自らが受けてきた学校教育の経験や視点から抜け出せずに、それをすべての生徒さんに当てはめようとしていることがあります。

 限られたコースから自由に抜け出し、解放されてコースを選択できる喜びを享受しましょう。目の前の努力は、基本的には生き生きと生きるための努力につながるものでなくてはなりません。

 そのための努力なら、惜しまず楽しみながらやっていきましょう。

 
造形リトミック教育研究所
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18.指導のポイント(1)


 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

知的障害・発達障害 個性と可能性を伸ばす

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* 新しく知るからのパートナー
* ちょっと簡単からのパートナー  

18.指導のポイント(1)

「プラス(+)を伸ばす? マイナス(-)を減らす?」

 このことは基本的で大切なことです。

・長所を伸ばす
・短所を改善する
・得意なものを伸ばす
・苦手なもの克服する
・興味のあるものを伸ばす
・いま必要とされるものを身につけさせる

 これは、この中のどれが正解かという問題ではありません。長所を伸ばしながら短所を克服していく、というのが理想的でしょう。しかし、実際にはなかなかそう上手くいくものではありません。大づかみで考えるとやはり、まずは「できること」や「好きなこと」、「興味のあること」を優先することです。

 「できた」「楽しかった」「おもしろい」という経験を重ね、常に気持ちが充電されていることが大切です。そうすれば当然、「ほめられること」が「「叱られること」よりも多くなります。否、相当悪い行為でもない限り、叱るようなこともないでしょう。

 学習する上での「わからない」「できない」「まちがえる」、注意欠陥、多動、自傷、・・・などは叱る対象ではありません。理解の回路の躓きや誤り、行動の背景、器質的な問題を考慮し配慮して、ケアをするべき対象です。まさにこれが治療教育であり、私たちが力を発揮するべきところです。

 ここでひとつ加えておきます。「できること」「好きなこと」「興味のあること」を優先する、というのはあくまでも「優先する」のであつて、「苦手なこと」「あまり好きでないこと」「興味のないこと」には触れない、ということではありません。

 前者に優先的に取り組むことによって、集中力や根気、探究心などプラスの態勢や意慾が養われます。また講師との信頼関係も育くまれます。そうすると、後者にも少しずつ取り組むことが出来るようになるのです。

 講師や親御さんのちょっとした工夫が、意外に大きな効果を生み出します。以前に紹介したような「素晴らしい引き立て役」を上手に活用して、「苦手なこと」「あまり好きでないこと」「興味のないこと」も上手に演出してみましょう。

「楽しい」「知る(おもしろい!)」「簡単」、造形リトミック研究所の3つのパートナーシップは、皆さんへのメッセージでもあり、講師としての確認項目でもあるのです。

 心理的なマイナスの壁をいかに低くするか、限りなくゼロに近づかせるか、この辺りの技量が本物を問われるところですね。私も、自分に再確認します。

 造形リトミック教育研究所

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16.テーマの力(1)


 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

知的障害・発達障害 個性と可能性を伸ばす

* 楽しいからのパートナー
* 新しく知るからのパートナー
* ちょっと簡単からのパートナー  

16.テーマの力(1)

 造形リトミック研究所には、月ごとのテーマ(≒モチーフ)があります。

 テーマにはそれ自身に大きな魅力があります。種類、色、形、味、音、存在感、名前、部品、部位、機能、、歴史や開発者の思い、研究の蓄積、自然の恵み、雄大さ、智恵・・・・・、ほんとうにさまざまな要素を個別にもっています。
そのひとつひとつの魅力が大きな魅力を創り上げています。

 それぞれのテーマに対して、一人一人はそれぞれに興味や経験をもっています。
自分がもっとも魅かれるテーマに出会えることはとても幸いです。それを自らの生涯のテーマとして楽しみ、追求していくことができれば、どんなに豊かな人生となるでしょう。

 造形リトミック研究所の今月のテーマは「鉄道」です。

・電車の顔
・快速電車
・都営副都心線
・特急電車
・新幹線500系「のぞみ」
・蒸気機関車
・・・・・・

「鉄道」といってもこのように複数の対象を用意しているのは、一人一人の生徒さんにとって最も心の動く対象を講師が選べるようにとの思いからです。造形リトミック研究所が当初から貫いてきている個別教育ならではの計らいです。

 画一的な教材でのマニュアルどおりの指導は、私たちの思いとは異なるところにあります。それはある意味、提供する側にとっては楽で効率が良いでしょう。しかし、ひとりひとりの個性や可能性をほんとうに伸ばす教育は実現しにくいと思われます。

 「創造性を伸ばす」「個性を伸ばす」、ひと言で言うことはたやすいのですが、実現するには大変に手間隙がかかります。一人一人の生徒さんとの対話(言語を介さない対話の場合もあります)、親御さんとの対話が、まずそのきっかけ(糸口)
を作ります。そこから、研究所と講師とが周到な用意をしてテーマと学習対象を提供します。

 「特別扱い」、どちらかと言うとマイナスの意味合いで用いられる言葉ですが、一人一人の育ったプロセスや好みは異なるのですから、私たちはより積極的な意味で一人一人の生徒さんを「特別扱い」していきたいと考えています。

 「特別扱い」=「オーダーメード」です。一人一人、正にその子(その人)の心が動くものを提供していくのです。子ども・・・大人もそうですが、よほどの必要性に迫られない限り、自ら取り組もうと思うのは自らの「心が動くもの」です。

 教育は、心を動かすことから始まるといっても過言ではないでしょう。そしてテーマには、「心を動かす力」があるのです。提供する側の私たちもテーマから力をもらって、楽しみながら十分手間隙をかけて、生徒さんのテーマとの出会いの場を創っていきたいと考えています。

 造形リトミック教育研究所

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