348.伝わってる?

348.伝わってる?
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 私達は通常、分からないと思って話しかけているのではなく、わかるだろう、伝わっているだろう、という前提で話しかけています。

 たとえば母親は、言葉をはじめて耳にする赤ちゃんにも、伝わっているということを疑わずに話しかけています、「おはよ!」「いい子ね~」「おいしいおいしい」・・・などと。だから赤ちゃんは、やがて言葉を獲得していくのです。

 人間には、文法を獲得して言語を繰る機能が生得的に備えられているとは言え、思いをかけて話しかけられることなしでは、言語機能は育ちません。

 私達は、犬やネコ、ペットにも同じ思いで話しかけます。時には、花や木に話しかけることもあるかもしれません。それは、犬やネコ、植物に生き物としての共感性持つからです。子どもは、物に対しても話しかけることがあります。子どもには、物にも命があるような感覚があるのでしょう。それは、全てのもに霊(anima)が宿るというアニミズムに通じるものです。何れも、言葉よりも、気持ち、気息、生気といったものが優先されているコミュニケーションです。

 私自身、発語のある生徒さんにもまだ無い生徒さんにも同じように言葉を通してコミュニケーションをとります。その時、生徒さん自身に発語が有るか無いかは意識に上っていません。今こうして改めて振り返れば、「同じように」と言っても、
無意識のうちに、こちらも声の出し方やテンポを調整しているのだと思います。同時に、表情や仕草や動作も変えているでしょう。

 一方的に、機械的に投げかけた言葉は届かなくても、共感性を伴って発した言葉は伝わります。日々の生徒さんとのコミュニケーションにおいては、こちらの言葉の働きにも磨きがかけられます。

 

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なかのひと

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347.言葉って?

347.言葉って?
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 「○○くんは、言葉がないから」とか、「○○ちゃんは、話さないんです」、というような発言を研修セミナーで時おり耳にすることがあります。しかし、生徒さんが言葉を発しないからと言って、コミュニケーションが成立しないわけではありません。

 きのうこのブログで、ワシントン大学法の講演会の時のお話をしました。そこで行われた、ダウン症児のための早期プログラムのデモンストレーション。日本のダウン症のお子さんを対象に行われたのですが、もちろん、v.ドミトリーブ先生は英語で話しかけられました。お子さんにとっては、おそらくはじめての英語です。しかし、コミュニケーションは成立し、プログラム課題は先生の意図されたように進められました。

 「どうせ英語は分からないだろう」と言うような思いはまずもたれず、そのまま英語で指導されました。言葉を介しながら、目を見て、表情や動作で先生の意図することを示していきます。英語自体は分からなくても、言葉は通じるのです。言葉とは、そういうものです。

 今朝の教室ブログは、「気持ちをことばにのせて」というテーマでしたね。まさに、そのとおりです。「気持ち」以前の、「意識」をのせて、「生気」をのせて、と言ってもいいかもしれません。北原白秋の詩集にもありました、生まれて程ない赤ちゃんの息に新しい命の生気を感じるといった詩が(どこかで出会った詩で、出典が不明なのですが)。

 コミュニケーションの原点は、自己と他者が生気を交わすことにあります。

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346.失敗させないように

346.失敗させないように
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 もう20数年ほど前のことになりますが、ダウン症児の早期プログラムを実践し世界的に普及されたv.ドミトリーブ先生を研究所にお招きして講演会を行ったことがあります。講演の中で、教室のダウン症の生徒さん(4才位だったでしょうか)が
ステージに上がって、先生にプログラムのひとつを実践していただきました。

 課題は、積み木をカップに入れることだったか、なにかものを取り出すことだったかは忘れてしまいましたが、はじめての子どもに対してもまるで前からよく知っている子どもであるかのような対応ぶりで、先生の優しいまなざしと子どもさんのかわいらしさだけが今も印象として残っています。ほんの数分ですが、広い会場のステージに作り上げられた、先生と子どもさんのあたたかい世界が記憶の中に浮かんできます。

 その先生がおっしゃったことで、今でも日々の授業の中で思い起こされることがあります。それは、課題に対して子どもが失敗しないように指示をしましょう、ということです。

 たとえば色の取り出しで、赤・青・黄・緑の4つの積み木を並べて、「○色の積み木をください」という課題があります。その時にまず、一つずつ積み木を指で触れながら、そして子どもの視線を確認しながら、「これはあか」、次の積み木に触れながら「あお」、次の積み木に触れながら「きいろ」・・・といっしょに確認をしていきます。そして、さいごに確認した色の取出しからさせるのです。

「これは、あか、あお、きいろ、みどり。さあ、みどり ください」という具合に。

 数の学習においても、文字の学習においても同じことです。基礎学習に限らず、教科の学習やその先の学習についても言えるでしょう。熱心になるがゆえに、「これは?」とか「どっち?」とか「よく考えて!」とか迫りがちですが、ことに「学習」というもの自体への導入の段階では、ゆっくりとじっくりといっしょに課題にとりくんであげましょう。ものを並べたり、入れたり、取り出したり、ものの操作をいっしょに行ってあげましょう。しだいに手は添えなくても、気持ちはいっしょに行ってあげましょう。

 ことばよりも態度とまなざしで指示をしていきましょう。先ほどのステージでの子どもさんとのコミュニケーションも日本の子どもに対して、先生は英語でなされたのですから。

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345.1個ずつ、1個ずつ

345.1個ずつ、1個ずつ
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 秋から初冬の今、落ち葉拾いやどんぐり集めは、太陽の光を浴び、ピリッとした空気や風の冷たさを感じる格好の楽しみとなります。それと同時に、数の存在を感じ、数感覚を育むとても良い機会ともなります。

 机の上に積み木やミニチュアの果物などを並べて、いきなり「これはいくつ?」と尋ねたり、「~を ○つください」などと指示を出して数の理解をさせようとしても、なかなか数概念を獲得できないことが多いものです。心理テストで数の理解度を測るのならばそれでもよいのですが、数概念を育てるための学習として行うのならば、これは得策ではありません。

 数えることを求めたり、合計数を答えさせようとする前に、1個ずつ、1個ずつというものの操作やものの移動を遊びとしてたくさん行いましょう。カップの中に何かものを全部入れる、入れたらまた全部出す、そしてまた入れる、また出す・・・、ものの増えたり減ったりを自分の操作を通して心いくまで体験させるのです。

 発達テストの中に、カップの中に積み木を10こ入れさせたり、ものを並べて遊ぶようなことがあるかどうかを尋ねたりする項目があります。たいていの幼児は幼児期に、自然に遊びとしてそんなことを行っているからです。そんな遊びを通して、数感覚を獲得していっているのです。

 発達テストことにスクリーニングテストは、まずは被検児が通常の基準どおりに発達しているかを測るものですから、通常の幼児が発達のプロセスでたいてい行うこと自体がテスト項目となっています。言い換えれば、発達テストで問われる課題はたいていの幼児が通過していく課題です。

 ハンディのあるお子さんは、幼児期にまだ手先が器用でなかったり、集中力が十分でなかったり、ものの認知が明確でなかったりするために、このような遊びの時期を通過することなく、いわゆる「数学習」へと突入してしまうことがあります。ですから、いっそう数学習の進みが鈍くなってしまうのです。悪くすると、数ぎらいにさせてしまいます。

 数ぎらいにさせずに、1ステップずつ数の学習を進めていくためには、このたいていの幼児が行う遊びを十分に行うチャンスを作ってあげましょう。尋ねたり指示したりと迫らずに、ものを移動させたりものを並べたりすることを一緒に楽しんであげましょう。このような遊びの中で、数学習にとって不可欠な数感覚が育まれていくのです。

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341.ほめる

341.ほめる
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 ほめる、心からほめるって、むずかしいことかもしれませんね。心からほめなくては、相手に伝わりません。相手に伝わってこそ、ほめたことになります。

 大げさにほめただけでは、かえって空回りします。
 社交的なほめ上手もあります。それは、大人には伝わっても子どもには伝わりません。

 こちらが用意したプリントを全部やり終えた!「よく出来ました!」「すごいね!」「がんばったね!」これも、まあ、ほめことばです。全部やり終えることが目標である生徒さんにとっては、それは「すごい!」と評価すべきことでしょう。

 しかし、やり終えることは一応出来ている生徒さんであれば、取り立ててほめることではありません。ほめすぎるとかえって空回りします。やらせる側が全部やらせることが出来たことに安心し、自分をほめているようなものです。

 講師からの「生徒さんがやってくれました」「描いてくれました」「答えてくれました」・・・というような報告や記述は、私は改めるように指導しています。学習は、「やらせる」のでもなければ、「やってもらう」のでもありません。講師が舵取りをしながらも、共に学習に取り組んでいくのです。

 もちろん楽しく取り組んでいきます。しかし、楽しみながらも講師は真けんです。生徒さんがどこでつまずいているのか、こうすれば理解が進むか、ああすれば理解が進むか、もう少し繰り返すべきか、ここは引くべきか、常に感じながら、考えています。

 ですから、生徒さんの小さな変化にも気づき、本当に小さなことに対しても心からほめられます。なぜ、・・・それはこちらも本当にうれしいからです。生徒さんが自分でも手ごたえを感じたポイントを逃さずにほめるのです。そのためには、こちらも生徒さんと共に頭と心を動かしていなくてはなりません。

 大変な労力かと思われるかもしれません。でも講師業としては、そこが楽しいのです。

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37.心の軸(1)自分がほれ込んだものに懸ける


37.心の軸(1)自分がほれ込んだものに懸ける
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  

 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 一人ひとりの子どもの周囲には親御さんをはじめ、学校の先生、職場の指導者、療育機関の医師や指導者、生活の支援者などさまざまな人たちがいます。

 私は知的障害・発達障害の療育機関に携わる者として、今週はその理想的なあり方について考えてみたいと思います。

 これまで理想的な指導者を内に外に探し求め、何人かの方に出会えました。その結果、理想的な方たちの有する共通点に気がつきました。それは、精神面に軸となる確かなものを持っている、ということでした。

 療育のプロセスには良いときも厳しいときもありますが、それを乗り越えて継続できるには軸となる精神性をもっていることがとても大切です。それは使命感であったり、探求心であったり、メソッドや人との出会いであったり・・・・・さまざまです。

 中途半端だったり疑心暗鬼で行っている取り組みは、十分な力を発揮できません。療育そのものやひとつの教育法にほれ込んで打ち込んでいる方たちは、一本筋の通ったしっかりした療育を行っておられます。

 これは、単に年齢の問題ではありません。先輩方だけではなく、若い方にもすばらしい療育者はおられます。

 療育も人生と同様、山あり谷ありです。晴れの日もあれば曇りの日もあり、雨の日や雪の日もあります。途中で目標を見失わずにやり遂げるには、「ほれ込む」ということが不可欠であると私は思います。本物を目指すには、思い入れや、こだわりが大切。本当に自分が気に入ったもの、良いと思ったもの、ほれ込んだものなら、多少困難があってもチャレンジし続けることができます。

 一度決めたら、多少の困難があっても楽しみながらやり抜いていきましょう。きっと大きな収穫があるでしょう。これは、療育に携わろうとするこれからの若い方たちに望むことでもあります。

 「理想的な指導者」のポイント
 ・プラス思考 (逆:マイナス思考)
 ・ほれこんで主体的に取り組む (逆:教育法に一貫性がない、中途半端)
 ・感謝の気持ちがある(逆:言い訳やグチばかり)
 ・まじめで努力家 (逆:要領だけでこなす、お調子者)
 ・壁にチャレンジする勇気 (逆:初めから諦めている)
 ・豊かな自分の世界をもっている (逆:無趣味で感動がない)

 ・・・しかしいつも120%でやりきる人もいますが、疲れたなと思ったときは、一休み。気分転換はとても大切です。

* 写真は、観覧車の各ゴンドラ(釣りかご)を支えている支柱です。この一本
  にすべてを託してのっています・・・大丈夫? 大丈夫!!

造形リトミック教育研究所

知的障害・発達障害の療育に携わる指導者、
理想的な指導者について今週は考えてみたいと思います。

一人ひとりの子どもの周囲には親御さんをはじめ、学校の先生、職場の指導者、療育機関の医師や指導者、
生活の支援者などさまざまな人たちがいます。

その中で、療育機関の指導者について。
私は、次のように考えます。

これまで理想的な指導者を内に外に探し求め、何人かの方に出会えました。

その結果、理想的な方たちの有するいくつかの共通点に気がつきました。
 それは、精神面に軸となる確かなものを持っている、ということでした。
療育のプロセスには良いとき厳しいときがありますが、それを乗り越えて継続できるには
軸となる精神性をもっていることがとても大切です。それは使命感であったり、
探求心であったり、メソッドや人との出会いであったり・・・・・さまざまです。

 中途半端だったり疑心暗鬼で行っている取り組みは、十分な力を発揮できません。
療育そのものやひとつの教育法にほれ込んで打ち込んでいる方たちは、一本筋の通ったしっかりした療育を
行っておられます。
 これは、単に年齢の問題ではありません。先輩方だけではなく、若い方にもすばらしい療育者はおられます。

 療育も人生と同様、山あり谷ありです。晴れの日もあれば曇りの日のあり、雨の日や雪の日もあります。
途中で目標を見失わずにやり遂げるには、「ほれ込む」ということが不可欠であると私は思います。
本物を目指すには、思い入れや、こだわりが大切。
 本当に自分が気に入ったもの、良いと思ったもの、ほれ込んだものなら、多少困難があってもチャレンジ
し続けることができます。
また一度決めたら、多少の困難があっても楽しみながらやり抜いていきましょう。きっと大きな収穫がある
でしょう。これは、療育に携わろうとする若い方たちに望むことでもあります。

 「理想的な指導者」のポイント
・プラス思考 (逆:マイナス思考)
・ほれこんで主体的に取り組む (逆:取り組みが中途半端、教育法に一貫性がない)
・感謝の気持ちがある(逆:言い訳やグチばかり)
・まじめで努力家 (逆:要領だけでこなす、お調子者)
・壁にチャレンジする勇気 (逆:初めから諦めている)
・豊かな自分の世界をもっている (逆:無趣味で感動がない)

「ワンポイントアドバイス」
・・・いつも120%でやりきる人もいますが、疲れたなと思ったときは、一休みや気分転換はとても大切です。

 研究所ではスタッフに対して、「月々のテーマをまず私たちが楽しみましょう」と数十年間言い続けています。
指導者が楽しいと思って指導すると、生徒さんにとってもさらに楽しく興味のある指導が可能になります。
注意点としては、まだ経験の浅い指導者は「自分の好きなテーマ」を選ぶことがありますが、
これは考え違いです。
あくまで「テーマ」は一人ひとりのお子さんの今一番興味を引くものを選ぶ必要があります。
 昨年秋に、「コスモス」と「建築機械」を
同時に取り上げましたが、男の子でブルドーザーやクレーン車等が興味があるお子さんはまず
そちらを選ぶべきです。

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26.指導のポイント(9)


26.指導のポイント(9)「飽きる?」このことを常に頭の隅に

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー  

 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 「飽きる」ということ、療育について考える時これもとても大事なことです。

 発達障害をもつ子ども達について、とかく次のようなことがよく言われます。

・こだわりが非常に強い
・いつも同じでないと我慢できない
・いつもと違うとパニックになる

 そのために、療育者は同じことばかりを指導しているということがあります。しかし発達障害をもつお子さん達も、やはり「飽きる」のです。そのことを知って、療育に当たることが必要です。

 「飽きる」ということは別の観点からみると、「自分の好きな事をさらに先に進めてみたい」ということかもしれません。「探求心」とも言えます。

 たとえばある子どもは電車が好きで、中でも中央線が好きだとします。いつもの通り中央線に乗っていると、ある日新型の車両が来た、そこで新型車両に乗ってみた。こんなきっかけから、さらに別の中央線にも乗ってみたいと思うようになるでしょう。また、いつも使っている駅よりも、先に行ってみたいと思ったりするかもしれません。

 たまたま他の路線との連絡のある駅で見かけた西武線や南武線、横浜線などにも乗ってみたくなる。

 いつもは快速に乗っていたが、たまたま目の前を通り過ぎた特別快速や通勤快速に乗ってみたくなる。

 また目の前を通過した特急あずさや特急かいじなどに興味が広がったり。

 さらにまた通過しただけだけど、たくさんの貨物を連結して引っ張っていたディーゼル機関車や電気機関車に興味が湧いたり。 

 このようにプラスの流れが拡大していくことは、とても大きなチャンスです。無理に学習を進めることはリズムを崩したり、大きなストレスなったりするのでマイナスですが、慎重になりすぎて、また固定観念に捉われて、同じことばかりをやっていることには、チャンスロスという大きなマイナスもあります。そのことを意識していなくてはなりません。

 もしできるのであれば、許容範囲の中でちょっとしたサプライズとして、いろいろ小さなことからチャレンジしていきましょう。小さなきっかけから、お子さんの可能性が広がっていきます。

*写真は、大宮にある鉄道博物館にあった「人車」です。人力車ではなく、線路の上を人が引っ張る「人車」が存在したことを初めて知りました。驚きでした。
 現代の便利な乗り物にいたるまでの苦労、願い、思い、喜びのプロセスの歴史を感じました。

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25.指導のポイント(8)


25.指導のポイント(8)「記録は常に破られる?」

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 今の方法が最高ではありません。常に新しいものにトライし、超えていくことが求められています。

 コンピュータなどまだなかった30年以上前、私は中学生でした。その頃は手動のタイプライターを打っていました。当時はこのような機械を扱うのはは早くて中学生ぐらいからで、小さな子どもが使うことはまず考えられませんでした。

 しかし現在はタイプソフトなどの開発により、五歳ぐらいの子どもでもコンピューターのキーボードでブラインドタイプをします。こんなことも、決して珍しいことではなくなりました。

 オリンピックで記録がどんどん更新されるように、テクノロジーも次々にこれまでの壁を乗り越えて行っています。それによって社会もどんどん変わってきています。

 療育者も、それに伴って積極的に革新的なものに取り組んでいかなくてはなりません。
 
 今や、電子マネーで交通機関を利用し、また買い物をする時代となりました。かつてのお金の学習と今の学習とでは、当然違いがこなくてはなりません。これまでのように、お金の種類を知り、お金を財布から取り出す学習はほとんど不要になってきます。それよりも、お金(金額)の多少や価値を知ることが学習の中心になってくるでしょう。

 何よりも良いことは、これまでは自立した買い物は難しいと思われていた人たちにも買い物のチャンスや楽しみが広がるということです。

 買い物に行く、新しくできたお店を覗いてみる、自分の好きなものを選んで買う、買う楽しみを知る、お土産を買う、誰かにプレゼントする、・・・いろいろな楽しみが出てきます。生活自体に、張りが出てくるでしょう。

  大切なことは、楽しむことです。こんな青年がいます。幼児期から造形リトミック研究所に通っているダウン症の青年ですが、今は成人して社会参加しています。当時の常識からすると、彼が携帯電話を使いこなすようになるということは
おそらく考えられなかったでしょう。

 しかしこの青年は携帯電話が大好きなので、いえ携帯電話が彼の生活の必需品になっているので、時間さえあれば自発的に操作しています。特に天気予報が非常に気になるので、一日に何度も天気予報を携帯電話で確認します。友達や知人の住所や情報も携帯電話に入っていて、折に触れ適切に利用しています。メールや写メール、インターネット・・・携帯電話に関しては、私よりもはるかに詳しいのです。

 もちろんパソコンやSuicaも、クーポン券も貯まったポイントも使いこなしています。彼の生き生きと、楽しく張りのある生活は、教室の彼に続く生徒さん達の目標です。

 「楽しむ」という力は、本当に一人一人の可能性を大きく広げていきますし、日々進歩していくテクノロジーはそれを適切に用いれば、より多くの人たちの夢を少しずつ実現させる力となります。

 *写真:昨日、埼玉県大宮市にある鉄道博物館にいってきました。サプライズです!!すごいです!!中央になんとターンテーブルがあるではないですか!中央にある蒸気機関車(C57:3つの動輪がデカイ!びっくり!大きな汽笛も良かったです!)と周囲の歴代の電車が語り合っているようでした。神田にあった旧交通博物館からは大きく変わりました。年間フリーパスは大人3000円、小中高生1500円、幼児600円、目玉です!!日曜日で混んでいましたが、童心にかえって楽しめました。1日で見るには特盛りでした。また、行きます!!

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24.指導のポイント(7)


24.指導のポイント(7)「裸の王様」になっていませんか?

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 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 指導者が一番陥りやすいのは、固定観念や知識偏重の落とし穴です。そこに嵌っていては、ブレイクスルー(壁を突破すること)はできません。

 「病気を診て人を見ず」という言葉があります。知識に偏重すると、当たり前のことも見えなくなってきてしまいます。

 かねてから療育の世界では、「自閉さん」「ダウンちゃん」という言葉がよく使われてきています。親しみを込めて言われているのかもしれません。しかし私には、とても抵抗があります。

 もし自分の子どもだったら当たり前のことですが、「○○ちゃん」と名前で呼んでもらいたいと思います。「自閉症」や「ダウン症」である前に、一人ひとりには、「○○くん」「○○ちゃん」という名前があるのですから。

 「自閉症の○○くん」ではなく、「○○くんは、自閉症」つまり「○○くんには、自閉症状がある」という認識の方が
療育における子どもとの関わりとして、本質的であると思います。前者には、子どもを「自閉症」というひと括りで捉えてしまう危険があります。すると、指導書の規則ばかりがひとり歩きしてしまいます。

・自閉症だから、いつも同じ対応をしなくてはいけない(親や指導者が言ったことは、覆してはだめ)。

・自閉症だから、ルールどおりにしなくてはいけない(ルールを変えたら混乱する)。

・自閉症だから、いつも同じ言い方で分りやすく話しかけなくてはいけない。「くつ、は・く!」「手、あ・ら・う!」

 こういった指導に拘束されてしまっている状況を時おり目にします。そのたびに、私は思います。

「この子は何を望んでいるのだろう」
「どんなことに興味があるのだろう」
「どんなことにわくわくしたり、気持ちを惹かれるのだろう」
それが一人ひとりの「テーマ」です。「テーマ」は、人に生きる力を与えます。

 生徒さんが言葉で伝えてくれなくても、生徒さんの反応や様子を見ていたり、親御さんから日常のようすを伺うことでわかります。一人ひとりが生き生きと生きるための「テーマ」は、生徒さん自身が示しています。

 多くの生徒さんは本当に好奇心や学習意欲が旺盛ですから、人対人としてその意欲にしっかりと付き合って行きたい、それが私たちの療育です。こちらも図鑑や専門誌で調べたり、インターネットで最新情報を求めなくては対応しきれないことも多々あります。

 「自閉症である」とか「ダウン症である」とかという前に、まずはこのような人として共に生きるものどうしとしての学習を大切にしていきたいと常々考えています。

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23.指導のポイント(6)


23.指導のポイント(6)「逆」という冷静な眼

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 造形リトミック教育研究所 玉野摩知佳 

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 おはようございます。造形リトミック教育研究所の玉野 摩知佳です。

 行き詰まったときには「逆」を考える、これはひとつ思考の仕方の原点です。自ずと、思考に柔軟性が生まれます。

 学習指導での問題解決という視点で考えてみましょう。

・学習への不安が強い時期に自立を求める指導が優先する
 ←→実は傍らにいてあげて、やさしく安心できる指導が必要

・一人で考えるように指導する、「もっと考えて!」「ちゃんと考えて!」
 ←→実は言葉がけをして回答へと導いてあげる指導が必要

・全科目を平均的に解らせようとするする
 ←→実は1科目で何か成果を出させてあげる指導が必要

・指導者がどうしても教科書から離れられず、将来必要でないことを形ばかり指導している
 ←→実は教科書の内容を吟味、選択して指導することが必要

・学習中は注意を散らさないで30分、1時間と集中することを求める
 ←→実は障害のもつ器質的要素を理解し、本人の集中できる時間を計ってそこから集中時間を伸ばし、深める指導が必要

・姿勢が崩れたりだらけていると、「がんばれ!」とはっぱをかける
 ←→実は姿勢の保持困難や睡眠異常、その日暑かったり、泳いできたりなどで本当に疲れている場合もある。その時はプログラムを検討する。

・「早くやりなさい!」←→実はゆっくり進める指導が必要

・「この子にこんなことできますか!」力があるのにできることだけをやらせている
←→子どもの持つ力は一様ではなく、興味のあることや好きな教科の理解力や学習意欲は思いがけないほど大きい

・できるのに教科学習を全く無視している←→実は子どもの学習への欲求度は高い。興味に応え、知的好奇心を刺激するような指導が必要。理科も社会も。

 次のように、良い悪いでは判断しきれない「逆」もあります。

・経験的に、過去に指導した生徒さんと重ねてしまう
 ←→経験があるにもかかわらず、これまで指導した生徒さんと重ねられない

・いつも同じことだけをする(飽きる)
 ←→いつも違うことをしている(変化に対応できない・習熟しない)

 
 一見「熱心」というベールに隠れて、実は「逆」を行ってしまっている状況もあれば、状況に応じた判断の求められる「逆」もあります。名人と言われる人たちは思考が柔軟で、子供を中心にしてその時々の状況に最も合う形を選ぶことができる人たちです。私が師として尊敬している人から「目の前の子どもがテキストです」と教えられたことがあります。目の前の子どもが発している事柄を感性と分析力をもってキャッチしていかなくてはなりません。

 それに少し行き詰まった時には「逆」を考えて見ましょう。子どもから発信がストンと読み取れるかもしれません。「逆」というのは意外な近道なのです。

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