3328.~まずは歌から~
「知的障害・発達障害をもつ生徒さんの 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック・発達支援教室 Elephas(エレファース)
・・・明るく、楽しく、さわやかに・・・
~今日のElephasブログ:「かけ算カード」(12月9日)~
おはようございます。武蔵境教室の伊藤です。
N君はいま九九の暗記に挑戦しています。
歌を覚えることが得意なN君は、ご家庭やエレファースでの学習を通して
「さぁざんがぁーきゅうっ!」と、九九の歌をすぐに覚えてしまいました。
けれども「3×3=」のプリントを前にしても、答えの「9」を書くことができません。
まだ歌・音と九九・数字が離ればなれになったままのようです。
ある日の授業の冒頭、N君の目の前に細長い画用紙を置きました。
画用紙には「3×1」「3×2」…と3の段が印刷してあります。
「これなに?」N君は興味津々です。
「かけ算のカードを作るよ!」
作業を通して、かけ算の音と数字をゆっくりと、確実に結びつけることにしました。
一列につながった3の段の細長いカードを
「さんっいちぃがぁっ」と言いながら、ハサミで1枚1枚切り離していきます。
すべてを切り終えたら、カードを裏返して九九の答えを書いていきます。
このときカードの裏返し方を間違えると、答えの数字が逆さまになってしまいます。
N君はカードを何度もめくって向きを確認し、九九の歌をうたいながら鉛筆で答えを書いていきます。
授業が終わりました。
輪ゴムでまとめた3の段のカードの束を見て、N君はとてもうれしそうです。
「4の段も作りたい! 5の段も作りたい!」
◇ワンポイント・メッセージ◇
私たちが、数唱を覚えるときもそうでしたね。最初は数字とも個数とも関係なく、ただ数え歌として楽しみました。最後まで言えるだけでとても嬉しかったものです。その内、1対1の対応を感覚的に把握してものと数詞が結びつき、やがて順序数と集合数との別が理解できるようになり、数詞と数字が結びつき、数経験の中で数の概念化が進んでいきます。N君は今九九で、そんなプロセスをたどっているところですね。