93.部屋の片付け(4)

知的障害・発達障害教室の造形リトミック教育研究所

93.部屋の片付け(4)
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」
  造形リトミック教育研究所  

*楽しいからのパートナー
*新しく知るからのパートナー
*ちょっと簡単からのパートナー 

 部屋の片付けについて、3回にわたってお話してきました。「床の上」「机」「本棚とおもちゃ箱」。お気づきかと思いますが、片付けのやり方は、実はどれもほとんど同じなのです。
・物を本来あるべきところに戻す。
・要らないものを捨てる。
 この2つです。

 お子さんは、3日間違うところを片付けていたことになりますが、実際は上記の2つ、つまり同じことをくり返しくり返し行っていたのです。このような、動きを通して学習したことは身につきます。それが、楽しくできていれば次にも続きます。生活の中で、時折、お子さんとのこのような作業を大切にしていきたいものです。

 ふだん親御さんがパッパッとやってしまえば早いものも、お子さんと一緒に行ってみることによってお子さんは学習したことを実践する場を得ることができます。

 机の上で行った弁別学習や、ものの名前(名称)、棚や引き出しの何段目(順序数)、棚の右・左・上・下・端(空間の位置)・・・。指示をするときの言葉の言い回しも含めれば、改めて学習の対象となる新鮮な言葉もたくさんあります。

 「要る、要らない」「まだ使える、もう使えない」「まだ新しい、もう古い」「古くなった」「小さくなった」「大きい消しゴム、小さい消しゴム」「短い鉛筆、長い鉛筆」「もったいない」「大きい箱、小さい箱」「浅い引き出し、深い引き出し」「端を揃えて」「一応、取っておきましょう」「もっと上」「もう少し上」「一番上、一番下」「まん中」・・・。

 片付けの場面では、対になる言葉を意外にたくさん使っていることに気づきます。また、空間の位置を示す言葉もたくさん使っています。

実践は、机の上で知識として得たこと(知得)を感得、体得する場です。たとえば一番上の棚にものを置くときには、「高いなぁ」と感じながら、背伸びをして置きます。また、一番下の棚にものを置くときには、「よいしょ」とかがみこんで置きます。こうして「高さ・低さ」を学んでいくのです。

 「短い鉛筆、長い鉛筆」は、瞬間的に分かるお子さんでも、「まだ新しい、もう古い」とお母さんが口にするのを聞きながら、「古い・新しいの基準は何か」と目を凝らして対象をみているかもしれません。こうして、次第に「古さ・新しさ」を感じていくこともできるのです。

 こんなことから、逆に机の上での学習を見直すことができます。「どっちが長い?「どっちが短い?」と迫る前に、学習の場でも次のようなプロセスをゆっくり経験させましょう。
・長いものと短いものとを作業的に分類させてみる。
・長短さまざまのものを順に並べさせて、長さの変化を見させる。
・作業の間に、「長い」「短い」という言葉を動作を伴いながら、充分に聞かせる。

 「長さ・短さ」を感じる時間を充分に作ってあげましょう。その感覚を得る前に「こ れ は、長い」「こ れ は、短い」と紋切り型で言われても、生徒さんは必死で暗記するしかないのです。ましてや、長短がおぼろげなうちに「どっちが、いくつ分 長い?」なんて聞かれたら、もうお手上げです。

 今日は、学習と関連させて「片付け」を見直してみました。でも、どうぞ構えずにリラックスして片付けをお子さんと楽しんでください。

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なかのひと

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