393.知的障害:書字への導入(記憶)
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
この1週間は、書字について改めえ考えてきました。巧緻性と空間の把握(構成も含め)の両方の機能が保障されれば、文字を書くことはできます。ただし本当の意味でのひとり書きのためには、さらに文字を正確に記憶していることが必要です。
巧緻性と空間の把握の機能が保障されていても、書くべき文字が頭の中になくては、ひとり書きにはいたらないからです。そこまででは、お手本を見て書くという模写の段階にとどまります。
しかし、なぞることはできても模写することはできないというケースがあるように、なぞり書きと模写との間の壁は意外に高いのです。しかも、空間の把握ができていないということは、傍から認識されにくいために、そこで大きなつまずきやストレスを抱えて文字嫌いや学習ぐらいになるケースは残念ながらとても多いのです。ですから、月曜日から昨日まで触れてきた書字へのプロセスはとても重要なことです。
それを踏まえた上で、本当のひとり書きへと進めるためには、1文字1文字を記憶していくことが必要です。「あを書きましょう」と言われて、「あ、あの文字だ」とわかって初めて、「あ」が書けるのです。
こう考えてくると、日頃文字を書くという行為において、私達はいろいろな機能を働かせ、いろいろな作業を連動的に行っているということがわかりますね。知的障害や発達障害をもつお子さんに対しては、この緻密な作用を細かく分析して、一つ一つ保障していってあげることが必要なのです。これが、特殊教育です。私はそこに、特殊教育の面白みと誇りを感じるのです。
さて、では文字を記憶するにはどうしたらいいでしょう。・・・書字のための巧緻性のトレーニングや空間認知のための学習をしている間に、文字の読み学習はどんどん進めていきましょう。
・五十音表を読む。
・「あひるの あ」「いちごの い」のように、基本単語と文字とを連動させてイメージで記憶していく。
・好きなものの名前と文字を関連させて、イメージで記憶していく。
・絵本の読み聞かせを通して、文字に触れさせる。
・興味のある看板やタイトルを通して、文字に触れさせる。
決して強要せずに、生活の中で文字にゆっくりと十分に触れていくことです。まずは、文字があるんだ(文字の存在)ということに気づかせ、興味を持たせ、見慣れていく環境を作っておかれると良いと思います。文字を覚える、学習するという前のそんな素地作りを大切にしていきましょう。
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造形リトミック研究所
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