385.否定語は使わない

385.否定語は使わない

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 電車の中でこんなことがありました。
 発達障害かと見受けられる成人の女性ともう高齢なお母さまの2人連れ。何かお話しているようでしたが、その女性にとって言われたくないことの発言がお母さまにあったようで、女性は少々気勢も荒くなっています。

 娘さんはお母さまに「言わないでよ」、「もう言わないでよ」とくり返し訴えています。お母さまとしては穏やかに話されているのですが、娘さんの違っていることについてはくり返し訂正をしています。訂正されるたびに、娘さんは気を荒げます。

 「ここはまず、”そうだね、そうだね”と聞いておいてあげればいいのですよ」、とお母さまに申し上げようかとも思いましたが、次の駅で降りて行かれました。降り立ったホームでも、まだその話は続いているようでした。

 発達障害の方に限られたことではありませんが、誰しも失敗したこと、負の状況、否定されることは受け容れがたいのです。でも、それが事実であれば受け容れ、越えていかねばなりません。負を受け容れることによって、成長があります。

 しかし、それが出来るのは精神的に確たるものを持ち、知的にも整理して考える力のある場合です。または、精神的にも知的にもよき援助者に恵まれた場合です。

 それが難しい場合、その力の度合によって対応を加減していくことが必要です。たとえ事実であっても、事実をそのまま突きつけただけではかえって事態を悪化させてしまう場合があります。

・たとえ事実であっても、相手が受け容れられる範囲で、受け容れさせることです。場合によっては、事実との相違が多少生じても。
・同じことの表現でも、否定語は避けることです。「~が出来ないから」を「~ができるように」というように。

ex.「この漢字が書けないから、練習しないと困るでしょ」と、「この漢字が書けるように、練習したら大丈夫よ」とでは、どちらが気持ちが軽く、明るく、練習する気持ちになるでしょう。いい気持ちで練習すれば、練習の成果も上がるんです!

・負の状況について、「でもこうすれば大丈夫!」という解決策を同時に提示してあげることです。

 発達障害の方はおうおうにして生真面目です。いい加減ではないので、うまくいかないと困るのです。人一倍、困るのです。「まあ、いいか」で片付けられないところがあります。
そんな気持ちを理解してあげることは、大切です。必要以上に困らせないように、こちらもあわてずに洋々と構えて、肯定語でていねいに対応してあげましょう。「大丈夫」というメッセージを常に発信してあげましょう。
 

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