343.捨てちゃった?!
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
きょうの授業「お金の管理」から:
お金の管理の学習のために、レシートの貼り分けを毎日行っている社会人の生徒さんがいます。A4用紙の半分のスペースに1日分のレシートを少しずつずらして貼り重ねていくのです。その欄の下には、その日の合計金額を書き、1日の予算の中に納まっているか、オーバーしてしまったかを自己チェックします。
「予算-使った金額」が、プラスだったらOK。マイナスだったら使いすぎ。マイナスの場合は△をつけて、いくらオーバーしたか金額を明確にします。でも近頃では、前日はオーバーしても翌日は控えめだったので、まあOKという感覚も身についてきたようです。
1週間に一度教室でレシートチェックをしているので今日もざっとながめてみると、20日に靴を買って、24日にまた同じ店で同じ金額の靴を買っています。職場の友だちにでもプレゼントしたのかとも思いつつ尋ねてみると、「大きさが合わなかったからまた買いました。前のは捨てました!」とのことです。えっ?!捨てちゃったの?!えっ?!
「本当は、23.0だけど、前のは23.5で、5違うから」・・・それはそうだけど。
「で、ゴミ箱に入れちゃったの?もう、ごみやさんに出しちゃったの?」
「それは、会社の○○さんが知っています」
私もそれなりにも講師ですから、「なんでぇ?」「どうしてぇ?」「ダメでしょう~」「もったいないでしょ!」・・・とは言いません。一歩街に出ると、学習課題は、本当にいろいろありますね。でも困りながらも、どこか笑みがこぼれてしまうのです。もちろん、人事だからではありませんし、ばかにしているのでもありません。何ともほほえましいというか、自分で一生懸命に考えているんだな、と純粋なものも感じます。
彼は休みの日には、会社で必要なものをよく買っているのです。今回の靴も仕事用の上履きです。会社用のティッシュペーパー、掃除用品、修正液など文房具、職場の方のためにめがね拭き、・・・。休日にも仕事や職場のことを考えているなんて、見上げたものです。
さて、今回はこの出来事を通して何を学べるでしょうか?
・靴は、店頭で履いてみてから買うということ
・サイズの数字の違いのみに反応しているのか、それともたとえ0.5の違いでも本当に大き過ぎたのか
・靴は中敷や靴下の厚さで多少の大きさの調整はできるということ
・サイズを間違えたのなら、取り替えてもらうこともできるということ
・倹約するという意識をより明確にすること
・もったいないという意識を育てること
・困った時には、誰かに相談するということ
こう考えてくると、今回の出来事の一番の問題は、「靴のサイズを間違えて買ってしまっても、本人は困っていない」というところにあるのかもしれません。「倹約」「もったいない」という意識を育てることが最優先かもしれませんね。困っていないから誰かに相談することもないし、「もったいない」という意識がないからすぐに捨ててしまうし、「倹約」の意識がないからダブルで買うことにも抵抗がない。
靴に限らず、お金の管理の学習としては、「倹約」「もったいない」というこの2つの意識を育てることがとても大切なようです。今回のことで、私も認識を新たにしました。それにしてもあの靴、今頃どうなってしまっているのでしょう・・・?みんな帰って誰もいない夜の会社のゴミ箱に、さびしく捨てられている様子が目に浮かんできてしまいます。
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