330.安心して学習を
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
算数の学習、お金の学習、半額の学習、生活の学習を兼ねて、クリーニング店の半額セールチラシを使いました。チラシに、定価と特価が分かりやすく表示されていますから、まさに一目瞭然です。「半額だといくら?」と問われても、最初から答が出ているようなものです。生徒さんも安心して学習に取り組めます。
一応、割り算の式を立てて計算機で半額の値段を求める。計算した答とチラシの特価を見比べて、同額になっていることを確認する。当たり前でも、「おんなじだ!合ってた!」というときはうれしいものです。
安心して学習できることは何より大事です。安心していれば、
・落ち着いて取り組めます
・イライラしないで取り組めます
・楽しんで取り組めます
・何より頭がよく働きます
・次の意欲へとつながります
しかもちらしは、少しでも多くのお客さんを集めようと、その内容やデザインに力を結集していますから、
・パッと見て、気持ちが引かれる
・雰囲気が伝わる(クリーニングなら清潔感!)
・目的・主張がすぐ分かる(たとえば、半額!)
・内容が分かりやすい(金額の比較)
・言葉が明確(単語または単文表現)
この問題、文章題だと「洋服をクリーニングに出します。クリーニング店は今ちょうど半額セールです。上着のクリーニング料金の定価は380円です。半額だといくらになるでしょう?」となりますが、文章題を見ただけで頭のスイッチを切りそうになる生徒さんも時にはいます。
「洋服をクリーニング屋さんに出すよ」・・・上着、ズボン、スカート、セーター、コートなどの文字が立て一列に並んでいるのが目に入って、洋服のイメージがわきます。
「今、半額よ」・・・「半額」の大きな文字が赤字に白抜きであるのを示します。
「上着、定価は380円」・・・明確に表示されているので、見れば納得です。
「半額だと?」と言いながら特価の表示を指で示します・・・定価、特価、半額、の仕組みが何となく分かってきます。
そして、割り算の式の中に数字を当てはめさせます。割り算をしながら割り算の意味を把握させていくのです。
文章題を読ませて「じゃあ、何算?」と尋ねても、なかなか分かるものではありません。安心した状況で、効果的な教材(時にチラシ)を使って学習に向かう気持ちを引き出し、自ずと考える(頭を使う)ように働きかけます。
楽しみながら、分かるように働きかけます。逆に言えば、分かるから楽しいのです。先生が面白いことを言うから、楽しいのではありません。
小学校の5年生で教室に入られた生徒さんがいらっしゃいます。絵画や工作のときは生き生きとしていても、いざ算数となると・・・、わざとではなく本当に眠ってしまうのだそうです。これは、「わがまま」で片付けられる問題ではありません。分からないことを「がんばりなさい。がんばりばさい」で押されてきてしまうと、体が防御し、拒否してしまうのです。
でもあきらめないで、楽しみながら、少しずつ、もう一度学習していきましょう。
造形リトミック教育研究所
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