314.母子分離不安
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
先週末は、「人見知り」について考えてみました。「人見知り」は、母親と赤ちゃんとのしっかりした二者の関係が形成された証です。第三者によってその関係が崩される時に赤ちゃんは不安を覚えて、他者から目をそらしたり、母親にギュっとしがみついたり、ワッと泣き出したりします。それが「人見知り」です。そんな状況から、赤ちゃんが第三者を受け入れ世界を広げていくことが出来るのは、信頼できる母親の後ろ盾があってこそです。
母子分離不安についても同様のことが言えます。母子分離は、お子さんがお母さんに支えられてこそ乗り越えていかれる課題です。
何らかの状況で、基本的信頼関係(母子の二者関係)が確立していなかったり、いったん形成されていても何らかの事情でその関係が不安定になっていたり、またこれから立ち向かおうとする対象(入園だったり、新しいお稽古事であったり、お留守番であったり、初めての人であったり・・・)が、その子どもにとって乗り越えるには大きすぎる存在であったりするときに、母子分離不安は起こります。
その時に必要なのは、叱ったり、励ましたりすることではありません。また、お母さんがこれまでの子育てに問題があったのかと悩むことでもありません。状況に即して、母子分離できるように支え、共に乗り越えていってあげることです。
では、具体的にはどうしたらよいでしょうか?
・まずは、お母さんが不安にならないことです。と言われても難しいかもしれませんが、自分にも、お子さんにも「だいじょうぶ」と言ってあげましょう。
・就園やお稽古ごとの開始のように、時期が予測できるものであれば、少しずつ準備していきましょう。
言っても分からないだろうと決めつけるのではなく、「春から幼稚園に行くのよ、楽しみね」「こんどから、○○へ行くのよ、楽しみね」と折に触れ楽しそうに予告していくことです。可能であれば、幼稚園などに足を運んでどんなところか見せてあげましょう。
・就園に際しては、園側でも慣らし保育の期間を設けるでしょうが、ご家庭でも一人で過ごす場や時間を短時間ずつ体験させていきましょう。
母親の姿が見えない部屋での一人遊び・お父さんとの外出・お父さんとのお留守番・同居ではないおばあちゃんとのお出かけ・おばあちゃんとのお留守番・・・など。
・既に就園され、毎朝泣いているようでしたら、帰宅したときに充分に身体的接触をもって気持ちを充足してあげましょう。
甘やかしすぎ?、というような心配は要りません。甘やかしすぎるくらいで、結構です。「ひとりでがんばってるね」とか「あしたは、泣かないで行けるよね」というような言葉かけも不要です。朝の不安と翌日への心配をかえって増長するようなものですから。
・お稽古ごとなどで、母子分離の猶予が可能な状況であれば(当教室もそうですが)、無理やりに引き離さないことです。
「今日はひとりでやるのよ」ではなく、「ママもいっしょに行こうかな?」くらいの言葉がけをしてあげた方が、結果的には早く母子分離できます。子どもが「離れたくない、離れたくない」と言っているときに、親御さんの方が「離そう、離そう」とすると、子どもはいっそう離れなくなってしまうものです。
不安がなくなったら、または不安より楽しさの方が勝っていたら、またお母さんとの関係に充分満足したら、お子さんは自ら離れていきます。こちらの教室でも、その時間は、お母さんの存在を忘れてしまうくらい魅力的な授業にしていきたいと日頃から思っています。
教室で、お母さん以外の他者(講師)を信頼し、コミュニケーションを楽しめるようになることは、母子分離トレーニングから始まり、他者との関係性を広げ育む良い機会ともなっています。
造形リトミック教育研究所
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