311.好きこそものの・・・
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、特殊教育においてはまさにこのことを実感する場面が多いのです。
「好きなことしかやらない」とか、「自分勝手」とか、「わがまま」というのではなく、気持ちがふっと向いたもののにしか、知的な機能を働かせにくい、というところが発達障害の生徒さんにはあります。発達段階によっては、与えた情報や働きかけが伝わらずに、目の前をさっと通過してしまうような状況も常なのです。
呼んでも返事をしない、振り向かない、というのも一例です。が、それは、決して無視しているのでも人嫌いなのでもなく、情報が情報として認識されていないのです。一見「自分勝手」に見える行動や対応も、実は本人の意を越えたものなのです。つまり無視する以前に、呼ばれているということ自体に心が反応していないのです。
しかし、日々の人との交わりや学習の積み重ね、また日常の行動や運動によって、情報化の機能は徐々に増し、対応の幅が広がり、柔軟性が出てきます。その中でも、この「固執」が、脳の機能を育む大きな契機となっているということが大いにあるのです。ですから、そのプロセスにおいては、「固執」とも見えるような「好きなものへの集中」にも上手に付き合ってあげましょう。
電車、アニメ、お気に入りの絵、はさみで切る、物を並べる、コレクション・・・、「またそれぇ?!」と思ってしまうこともあるでしょうが、その好みの世界を一緒に楽しんであげましょう。
ここでこんなお話をするのは、先日土曜日の授業で、そんなことを改めて認識するようなことがあったからなのです。(つづく)
造形リトミック教育研究所
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