3623.~変わる~
「知的障害・発達障害をもつ生徒さんの 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック・発達支援教室 Elephas(エレファース)
・・・明るく、楽しく、さわやかに・・・
~今日のElephasブログ:「Kさんの挑戦」(11月18日)
おはようございます。武蔵境教室の伊藤です。
折り紙をわたそうとすると、Kさんは机の上に出していた両手をさっと腰の後ろにまわし、うつむき加減で首を左右に振りました。「できない・したくない・講師にしてほしい」、というサインです。
「大丈夫ですよ。Kさんもできますよ」と講師は声をかけ、Kさんの目の前で折り紙をやぶりました。
びりびりと大きな音がしました。
その日の造形の課題は、来年の干支・うしの立体工作です。
いわゆる牛柄模様は、白い画用紙に黒い折り紙を貼って表現します。
折り紙をハサミで丸や四角に切るのではなく、手で自由にやぶって作ります。
ところで、ふだんのKさんは、鉛筆やプリントを机の上にまっすぐに並べて置いています。
授業中もプリントの端を何度か丁寧にそろえています。
文字や絵も、そのほとんどが縦横斜めの直線によって構成されています。
曲線は少なく、枠や紙面いっぱいを使った四角い文字や絵が整然と並んでいます。
「折り紙を手で自由にやぶる」
Kさんにとっては大きな挑戦です。
「大丈夫ですよ」と声をかけて、Kさんに折り紙をわたしました。
手を添えていっしょに作業をすることにしました。
おそるおそるといったKさんの手を通して、紙がやぶれる際のかすかな抵抗がゆっくりと伝わってきます。
「できましたね。こっちもやぶってみましょうか」
くりかえすごとに、Kさんの手が徐々に力強くなっていくのがわかりました。
机の上がおおきな牛柄模様になっていました。
「つぎはKさんだけでやってみましょうか」
もうKさんは大丈夫でした。
折り紙を両手でしっかりと持ち、勢いよくやぶることができました。
対面シートの向こうから、びりびりと大きな音が聞こえてきました。
◇ワンポイント・メッセージ
Kさんの変化が、ゆっくりと伝わってきますね。できない・したくない・講師にしてほしい~おそるおそる~手(の動き)が徐々に力強くなっていく~勢いよくやぶる、びりびりと大きな音が聞こえてくる、・・・。これもスモールステップ。1時間の授業の中のさらに限られた時間の中で、Kさん、変わることができたなんてすばらしいですね。折り紙を手で自由にちぎる、自由って意外と難しいのです。しかも自己の型を崩して。
おはよう