3523.~ルートを辿る~
「知的障害・発達障害をもつ生徒さんの 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック・発達支援教室 Elephas(エレファース)
・・・明るく、楽しく、さわやかに・・・
~今日のElephasブログ:「わからなかったことがわかったとき」(7月24日)
おはようございます。統括本部の福沢です。
Ⅰさんとのある日の授業、繰り上がりのある足し算から始めました。
Ⅰさんから、「足し算はブロックを使ってやりたい」と言われたので、ブロックと10の枠組を用意しました。
Ⅰさんは、5+7の計算をするとき、ブロック5個とブロック7個を端から順に、1、2、・・・と数え始めました。
何題かやった後に、6+9という問題になりました。
講師は、一言だけⅠさんにアドバイスしました。
「Ⅰさん、6個のブロックから1つもらって、9個の方にあげたらどうかな?」
そして、9個のブロックに1個足して見せました。そのとき、Ⅰさんが嬉しそうに
「10になった、あと5個あるから15だね、わかった!!」と大きな声で叫ぶように言いました。
今まで10のかたまりを作るのがわからない、と言ってやりたがらなかったⅠさん。
そこから、自分で10のかたまりを作って、20問もある足し算を楽しそうにやってしまいました。
「5と5で10、だから・・・」、と1つ1つ講師に説明しながら、本当に楽しそうでした。
その声はお迎えにいらしたお母さまに聞こえ、お母さまはブースまでいらして、
「あまりに楽しそうなので見に来てしまいました」とおしゃっていました。
帰るときに、Ⅰさんは「私、これ得意だから」と笑顔で言っていました。
わからなかったことがわかったときの喜びは、こんなに生徒さんをきらきらさせるものだった、
ということを思い出させてくれた、すてきな1日でした。
◇ワンポイント・メッセージ◇
分かった時、また「こういうことなんだ」と納得できた時、その喜びは生徒さんにとってとても大きなものです。授業を面白くするコツは、学習課題について、「分からせてあげること」。面白おかしいことで、気を引くことではありません。言ってみれば、ある種“コツ”というよりは、まずは講師が本当に真摯に課題に向き合うこと。どの様に示したら、この生徒さんは理解に至るだろうかと真剣に考えることです。そして、課題の解き方、つまり考え方のルートをワーク化します。それを紙面で行うこともあれば、具体物を活用して行うこともあります。いずれにしてもそのルートを繰り返し、繰り返し、辿らせます。そうして、体得へと導きます。Ⅰさん、体得したこのことは、きっと忘れないことでしょう。