397.助詞の学習

397.助詞の学習
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 「明日午前はいない、昼(   )出かける予定なので。」
 「明日午後はいない、昼(   )出かける予定なので。」

 (  )の中には、「まで」と「までに」のどちらが入るのでしょう?これは、きのうのなぞなぞではありません。小学校6年生の国語の問題です。単元「言葉って、おもしろいな」からの出題です(教科書わかるわかるテスト:朋友出版)。

 「学校の教室(   )勉強する」
 「学校の教室(   )いる」
 (  )の中には、「に」と「で」のどちらが入るのでしょう?先の午前・午後の問題の前の問いに比べて、これは、かんたんですね。午前・午後の問題では、講師としても一瞬ドキッとしました。落ち着いて考えて、納得しましたが。

 ところが、国語を不得手とする発達障害をもつ小6の生徒さんが、5問中5問全部正解しました。二者択一の問題ですから、まぐれもあるかもしれません。でも、全部まぐれとは言えません。しかも、両方を読み比べて考えている風もありましたから。答えの理由までは明確に説明できなくても、きっと理解して正解したのだと思います。

 幼児期から、語彙が少なく、言葉での表現や理解に困難を示す生徒さんでしたが、在籍する普通学級の進度に合わせて国語の学習も進めてきました。教科書の読みをご家庭でも繰り返し、市販のワークには2回ずつ取り組み、理解しいくい問題には再度取り組む。意味の流れを把握させるためには、必要に応じてオリジナルワークで補充する。

 こんな進め方で、対応してきました。本人の好きなのはやはり漢字の問題ですが、読解や文法、言葉の言い回しの学習にも嫌がらずに取り組んできました。

 ここまで取り組めてきた理由は、教室でもご家庭でも叱らずに、また回答を迫らずに指導してきたことにあります。わからないところは回答を示し、短時間で効率よく学習を進めてきました。ですから本人も困らずに、またイライラすることなく取り組めたのでしょう。

 理解が不十分なところはまだまだあります、しかし、この6年間、たくさんの文章の読み書きに当たってきました。

 言葉を駆使するその量と経験が、言葉の自然な流れを獲得させてきたのでしょう。量だけでなく、質的経験から得るものも大きいと思います。理解が不十分だからと言って初歩的な文章にとどまっていては、学習能力もそこでとどまってしまいます。内容的にも難易度的にも年齢とともに更新させていくことは必要です。

 そんな中で、助詞も言葉の自然な流れとして獲得されてきたのでしょう。もちろん、まだ完璧ではありません。でも言語能力を駆使することによってこそ、言語能力は発達していくのです。発達したところで少し戻り、基礎を固めながら、さらに発達を促していきましょう。ここであせらず、楽しみながら。

 
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造形リトミック研究所
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