336.ソーシャルスキル:ぼくが1番!(つづき)
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
「何でも自分が1番でなくては気がすまない!」というケース:(つづき)もうひとつは、気持ちが満たされていない場合です。
兄弟のいる場合、家庭の中でも誰が1番かということでもめることもあるでしょう。とくに上のお子さんにとっては、下のお子さんはライバルです。弟や妹は、ある時まではいなかった存在。その突然現れた存在にお母さんを奪われ、独占されるような状況になってしまうのですから、上のお子さんとしては、黙ってはいられません。
しかも下のお子さんの誕生前後には、上のお子さんはたいてい特別な状況下に置かれます。おばあちゃんとお留守番。慣れないおばあちゃんの家に預けられる。説明も予告もないままに、自分の生活状況がどんどん変わっていきます。
こんな場合での自己主張は、赤ちゃん返りや母子分離不安や人見知りなどいろいろな形で現れますが、「ぼくが1番!」というのもその一つです。絶対に弟や妹に、1番は譲れないというガンとした主張です。
「自分に1番に目を向けてもらいたい」「自分に1番に気持ちを向けてもらいたい」「自分を1番に大事にして欲しい」という欲求の表れです。
「お兄ちゃんだから(お姉ちゃんだから)がまんしなさい」というよりは、その自己主張を受容し気持ちを満たしてあげましょう。1番にしてあげましょう。気持ちが満たされれば、その気持ちは下の兄弟のほうへ自然に向けられるようになります。「○○ちゃんが先でいいよ」というように。
兄弟間のライバル意識のほかにも、思うように何かが出来ない・・・たとえば絵が描けない、なわとびができない、勉強がわからない、友だちと遊べない、かけっこが苦手・・・というようなことによるストレスで、「ぼくが1番!」という自己
主張が過度になることもあります。
その場合は、「できない」という状況に出来る限り追い込まないようにしましょう。出来ることをもっと伸ばして、ほめてあげましょう。自信を持たせてあげましょう。苦手なことは、無理やりにやらせる必要はありません。さりげなく、援助をしてあげましょう。または、できるところから少しずつ克服させていきましょう。そうしてストレスをとり除き、気持ちを満たしてあげることです。
小言や注意が多すぎて、お子さんがストレスをためていることもあります。器質的な「イライラ」とは異なり、環境から生じる「イライラ」です。その「イライラ」がストレスとなって、「ぼくが1番!」とそれをストレスのはけ口にしていることもあります。
決められたことをしない、時間を守らない、だらしがない・・・、気になるところはたくさんあると思いますが、一つずつ直していきましょう。小言や過度の注意で、行動がよくなることはまずありません。
ソーシャルスキル、行動を直す前に、まず気持ちを満たしてあげることが先、ということもあるのです。
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