334.ソーシャルスキル:見きわめを
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
「ソーシャルスキル」という言葉やそのような分野が既にオーソドックスになってきています。不適切な言動を単に問題行動として否定的に捉えるだけでなく、「分からないこと」「知らないこと」は教えてあげようという取り組みに変わってきたことは評価すべきことだと言えるでしょう。
しかしここで見きわめなくてはいけないのは、「分からなかった」からまたは「知らなかった」から不適切な行動をとってしまったのか、それとも「分かっていた」「知っていた」けど不適切な行動をとってしまったか、ということです。
一月ほど前でしょうか、「万引き」について、警察と学校とが協力して生徒の指導に当たるという、記事を新聞で見かけました。異例のことだそうです。万引きの指導とソーシャルスキルの指導とがイコールかどうかは別として、本質的には同じ問題を擁しています。
「万引き」が悪いことだということを知らない生徒は、まずいないでしょう。しかし、それほど悪いとは思っていない生徒はいる可能性があります。悪ふざけ、ゲーム感覚で、○○もやってるよ、くらいの軽い気持ちでいる生徒。そういうケースでは、「万引き」は犯罪であり、被害者である店は倒産に追い込まれるほどの深刻な問題であることをしっかりと教えるべきでしょう。
問題なのは、「万引き」が悪いことだと重々知りながらも、犯してしまうケースです。そういうケースでは、「万引きは犯罪です!」とテキストとしていくら指導しても意味がありません。なぜならば、「万引き」は悪いことだからこそ「万引き」をするのですから。
後者においては、「万引き」いう行動を引き起こす背景にある心理状況や、生活状況を教育の立場から見直し、そこに目をやり、気持ちをかけ、具体的な対応をしなくてはなりません。
屈折した心理、満たされない心理、自己受容できない状況、自信の喪失、不安定な生活、ゆとりのない生活、受容されていない状況、ストレス、孤独・・・。そこに気づき、そこに援助の手を差し伸べない限り、問は解決しないでしょう。
ソーシャルスキルについても同様です。単に教えれば解決する問題と、そうではない問題とがあります。その見わめが大切なのです(つづく)。
造形リトミック教育研究所
>>ホームページ http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール