333.厚い参考書

333.厚い参考書
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

 「物知り」のつづき、学究肌の生徒さんのひとりです。
 ちょうど先週の授業のときのこと。担当講師の都合で、いつものパソコンの授業はなしで勉強だけとなりました。当日になりましたが、その旨を予め生徒さんにFAXでお知らせしておきました、
 「今日はパソコンの授業ありません。ですから、パソコンは置いてきてください。勉強だけ行います。急なお知らせですみませんが、よろしくお願いします」。いつもノートパソコンを、時にはプリンターまで持ってくるのです。

 その日教室で待つていると、急なお知らせにも躊躇なく対応し、パソコンは持たずに来ました。しかし、重そうな鞄です。中から自信たっぷりに取り出したのは、参考書や問題集です。FAXに「勉強だけ」とあったので、今日こそとばかりに持ってきたのでしょう。

・小2用の計算ドリル:全部やり終えてあります。筆算は繰り上がりや繰り下がりを行った鉛筆の形跡があります。横式の計算は電卓を使ったとのこと。

・漢字検定10級の問題集:途中まで書き込んであります。

・中学社会実力アップ:これは分厚い参考書です。地理・歴史・公民の分野別にかなり詳しくまとめられています。一番の興味はこの中の歴史だそうです。どこを勉強したいのかと尋ねると、「昭和」とのこと。「おばあちゃんが大正生まれで、ぼくが昭和生まれなんです」、昭和を選んだ理由はそこにあるようです。独特の切り口ですが、自分の生まれた「昭和」について知りたいというのは肯けることです。学ぶ動機付けの原点が自分にあるというのは、大したものです。

 これらの問題集や参考書は親御さんが用意されたものではなく、自分で本屋さんで見つけて購入したものです。こちらが指定したものでもありません。自分の今の学力もよく心得ています。学年へのこだわりもありません。

 そして、興味のあるところを満たしてくれる参考書がどれであるかもよくわかっています。きっと真剣な顔つきで、書店にずらっと並んでいる本の中から選んできたのでしょう。これほどの意欲はどこから生み出されるのかと、感心します。

 こちらも、この努力と向学心に十分に応えていかなくてはなりません。まずは、日本の歴史の縦軸として、縄文・弥生時代から大正・昭和・平成と時代の並びを示し、昭和がどこに位置するのかを理解出来た上で、横軸として昭和を取り上げようかと考えています。学習の進め方も、最初はこのくらい大雑把です。舵取りをしながらも生徒さんの反応で行方は定まっていきます。さあ、楽しみです。
 

造形リトミック教育研究所
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