307.療育はつづく
「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所
今日午前中は、台風による大雨、多くの学校では休校のようですね。
さて昨夕は、17年間余りにわたって造形リトミック研究所で療育に携わった講師の歓送会を行いました。17年間といえば、当初幼児だった生徒さんが成人され、仕事に就くまでに成長されています。
こちらの研究所では、0才が27~28才へと、1才がはたちへと、幼児が小6・中学生・成人へと、小1が高校生・成人へと、小学校低学年生が30数才へと・・・という例が各教室に少なくないのです。
各年代には、各年代の療育課題があります。発達課題から認知課題へ、認知課題から教科前課題へ、教科前課題から教科課題へ、教科課題から作業課題へ、作業課題から社会参加課題へ、社会参加課題から生活充実課題へ、生の展開・探求から受容へ・・・、最終的には講師も、失礼ながら親御さんもまだ到達していない段階への学びへと続いていきます。
各段階の学習は、まさに虹の色が徐々に混ざり合いながら変化していくように、重なりながら、時には戻ったり、また大きく前進したりしながら変容していきます。講師は、あせらず、またひとつ段階に安住して停滞しないように留意しながら、療育を進めていきます。
療育、もしくは特殊教育(といっても良いかもしれません)、特殊教育は、生き方の舵取りのうえに成立します。言語学習も文字学習も数学習も、・・・すべての学習は、その子が、その人が生きるために必要な形で提供され、展開されます。
特殊教育としての言語学習は、通常の語学学習とは異なり、必ずしもテキストの1ページから始めるわけではありません。ページを大きく飛ばすこともあれば、テキストの後ろの方から始めることもあります。言語学習は、生きる上での表現やコミュニケーションの手段となるように、表情、仕草、サイン、カード、文字・・・あらゆる方法を試みて進めていきます。
文字学習も然りです。ひらがながいつも漢字より優先されるわけでもなければ、筆順や巧緻性が必ずしも優先されるわけではありません。文字は情報の獲得手段であり、表現手段であります。その子、その人にとって有効であるように学習を展開させていきます。
数学習も然りです。1から10までの数の概念化が不十分でも、100円、1000円というお金を扱っていきます。10.000円くらいまで扱うことによって、1から10まで、1から100まで、そして数の仕組み自体が獲得できることがあるのです。
1から10までの数の理解が不十分だからといってそこで足踏みしていると、それ以上進むことは往々にして困難です。不十分でも次に進むことによって、その前の学習が可能となることがあるのです。
そこに特殊教育の醍醐味があります。特殊教育はまさにその子(その人)が生きるための学習です。学習プログラムを停滞させることなく推し進めていくと、生徒さんは生き生きとしてきます。そして、学習が長続きします。次から次に課題や興味が発生してくるからです。
活性化された生は、刻々と学習課題を提供してくれます。そのメッセージを聞き逃すことなく、見逃すことなく、生徒さんに思いをかけ、関心を持って療育に当たっていくのが講師の役割です。
先輩の講師の経験を引き継ぎ、次の療育をさらに進めていきたいと思います。新しい生の形がある限り、特殊教育も変容し、つづいていきます。
造形リトミック教育研究所
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